25日、ダウ平均は2日連続で1か月半ぶりの1万ドル割れを示現してから、反発に転じました。
しかし。
ご存知の通り、米7月の耐久財は民間航空機の増加で前月比プラスを達成しただけ。民間航空機を除いた非防衛資本財=コア資本財と呼ばれ、企業の設備投資を示すものですが、こちらにいたっては、なんと8.1%の減少を示す悪化ぶり。
↓企業の設備投資は米4-6月期GDPで大幅増を遂げてましたが・・・。
米7月新築住宅販売件数も、火曜の中古住宅販売件数に続き、過去最低を更新しちゃいました。ただでさえ暗雲が立ち込めつつある米経済は、黄色信号が点滅して赤に変わりつつあるかのようです。
米国野村証券のザック・パンドル米エコノミストは、耐久財受注後にレポートで「企業の設備投資は国内総生産(GDP)で数少ない成長けん引役だったが、ついに力尽きてきた可能性がある」と指摘。またコア資本材の出荷だけでなく受注で急減した点に着目し、7-9月期のGDP見通しを1.7%から1.5%へ下方修正しました。
こんな惨憺たる数字が並んだために、本日のNY市場では「Dワード」が炸裂。つまり
Deflation=デフレ
Disappointing=失望的
Disruptive=破壊的
Double-dip=二番底
ただし、さすがに
Depression=恐慌
という言葉は、憚られましたが・・・。
まさに金融市場版「Dデーと」なった25日。歴史的にDデーと言えば、ノルマンディー上陸作戦を意味しますね。ナチス支配下に置かれた、絶望の西ヨーロッパを救出する突破口を開いた輝かしい日でした。本日は同じDデーでも、米経済のブラックホールに足をかけた日に。この日を境に、米国に低迷の時代の幕が開くことにならによう、祈るばかりです。
↓ノルマンディーは歴史の転換点となりましたが、現代ではどうなることでしょう。
それでも、ダウ平均が反発した背景には、27日に米4-6月期GDP改定値の発表を控えたほか、世界で最も注目を集める一人、バーナンキFRB議長の重要スピーチを予定していたためでしょう。
このスピーチは、ワイオミング州のジャクソン・ホールで開催されるエコノミストの年次イベントで行われます。2、7月と半期に一度ずつ米議会で証言するように、FRB議長が米経済についての見解を表明することが多いため、FRB議長が金融政策の見通しを示唆する場として有名なんです。
↓ビッグ・ベン、世界の中央銀行家に囲まれた舞台で何を言う、早見優。
ちなみにバーナンキ議長の去年の発言は
「深刻な世界景気の後退からようやく底入れし始めている」
→8月11-12日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明で、「経済活動は底入れしつつある」とした文言を踏襲したものです。
「金融市場崩壊への懸念も大いに後退した」
「短期的に成長を再開する公算が大きい」
→声明文の文言を繰り返しプラス成長が近いことを示唆するとともに、金融市場の改善に言及しました。
「(回復ペースについては)初期において緩やかに留まるだろう」
→背景に失業率の高止まりや企業や家計による借り入れの困難さを挙げております。また、金融機関が一段の損失を受けるリスクも指摘し慎重な見方を残しました。
今年のジャクソン・ホールでの発言では、追加緩和策について言及するかに注目が集まっております。2007年のリーマン・ショック前夜では、「必要があれば対応する(act as needed)」と発言し直接利下げを行なうサインを点灯させませんでした。さらに「FRBの責務は投資家保護ではない」とも述べていましたっけ。その後どうなったかは、歴史が証人となっております。今回は発言が飛び出すでしょうか・・。
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