Sandy Left, But The Damage Is Everywhere.
温帯低気圧に変わったとはいえ、フランケンストームやスーパーストームの名を欲しいままにした「サンディ」。マンハッタン南端部では、4メートルを超える高波に襲われ、ストリートを覆う水かさは約13フィート(33cm)に達しました。1960年に「ダナ」で記録した26cmを余裕で超えていったんですよね。
バッテリー・パーク/ブルックリンのトンネル入口は、完全に水没。
バッテリーパーク周辺の1 New York Plazaでしょうか。地下へ連なる階段も冠水で塞がれています。
NY市内を統括する電力会社コンソリデーティッド・エディソンにおいて、14丁目付近にある変電所が爆発したために42丁目周辺から以下は停電に見舞われてしまいました。世帯数にして、約200万世帯が電力供給停止に見舞われたということです。我が家から対岸のマンハッタンを臨むと、停電地域は42丁目以北と正反対にも真っ暗闇に包まれ・・異様な光景に息を呑みましたよ。ニュージャージー州など米北東部全体では800万世帯を超えるというので、まさに未曾有の事態です。
停電は、34丁目に住む友人の話によると最低あと2日続くもようです。電力だけでなくインターネットが断たれ、さらにシャワーも浴びれず、30ブロック歩いて別の友人宅に避難したといいます。残念ながら川向かいとあって歩ける距離にいない私には、フェイスブックなどを通じて励ますことしかできません。マンハッタンで停電に遭った友人方も我が家に来る手段が断たれているため、尋ねてくることもなく。非常にもどかしい気持ちでした。
エンパイア・ステート・ビルディングをはじめ、42丁目以下は自家発電ができるビル以外は全滅。
洪水だけではありません。マンハッタンから1時間以上の距離にあるクィーンズはロッカウェイにて大火災が発生。ウッディ・アレンの映画「ラジオ・デイズ」、伝説のロックバンドであるラモーンズの曲「ロッカウェイ・ビーチ」で知られる地域で少なくとも50世帯が巻き込まれ、200人の消防隊員が出動したといいます。
洪水、停電、倒木、火災とあらゆるダメージを与えたサンディ。関連被害総額は以前から指摘されているとおり、2011年の「アイリーン」の158億ドル(1兆2545億円)を超え、200億ドル(1兆5880億円)に達する勢いです。ABCは、最大で450億ドル(3兆5730億円)いう数字をはじき出してますね。「カテゴリー1」から温帯低気圧に勢力を縮小し風速も最大48mから37mへ落としながら、この経済損失は大きい。2005年に湾岸地域に上陸したカテゴリー5のハリケーン「カトリーナ」が仮に米北東部を襲っていたらと思うと、背筋が凍ります。「カトリーナ」の勢力はというと最大風速78m、米本土上陸時点での最大風速でも65m。被害総額は、報道ベースで1250億ドル(当時の円換算で14兆7000億円)、ウィキぺディアによると1080億ドル(12兆9600億円)でした。
見逃せないのが、2009年5月に提示されたこの記事や、2010年11月に提示されたこの記事。フランケンストーム「サンディ」が2012年に米北東部を席巻する前、洪水被害を食い止めるためのプランが提示されていたんです。しかも、対策費用は110億ドルと計上されていました。「サンディ」での経済損失推定額200億ドルの、ほぼ半分です。NY州知事のクォモさんには、そろそろ重い腰を上げてもらわないといけませんね。
2009年のカンファレンスで、洪水からNY市を守るための防護壁が計画されていたんです。
サンディが通過しても、すぐに都市機能が戻るわけではありません。
まずはNY市内の大動脈である地下鉄をはじめ、交通システムは麻痺状態。ニューヨーク州都市交通局(MTA)のジョセフ・ローター会長は「サンディは地下鉄からバス、ロングアイランド・レイルロードやメトロノースまで、あらゆる輸送機関、地域にいたって交通システムに大損害をもたらした」と説明しております。マンハッタンからブルックリン、クィーンズなど、各地のトンネルが冠水したほか、148丁目から207丁目にある6ヵ所の納車庫も被害を免れませんでした。
従って、運行再開はローター会長いわく「a little at a time(少しずつ)」、段階的になるとか。MTAが創設されてから108年の歴史で最大の大損害をこうむっただけに、サービス再開のメドがたつのに時間がかかりそうです。我が家がある7番線の駅近くで作業にあたっていたMTA職員も、「11月1日まで封鎖しているかもしれない」と明かしてましたし、サンディが去っても人々が通常生活に戻るにはもう少し先の話でしょう。
NJ州とNYを結ぶパストレインの駅、構内に水が怒涛のごとく押し寄せたか如実に示してます。
ニューヨーク証券取引所、およびNASDAQは31日から通常取引を開始すると発表しました。地下鉄をはじめ公共機関がストップしている以上、関係者は出勤するのにタクシーに頼らざるをえないでしょう。そのタクシーも、数に限りがありそうです。
NYSEは幸い、大きな被害を免れオープニング・ベルから通常取引を開始へ。
過去に取引停止した例をみると、アノマリーは下落を示唆しています。
無事だったNYSEとは反対に、イエローキャブの打撃は無視できない状況です。
NJ州ホーボーケンにある停車場をみると、どれもすぐに機能を果たすとは思えず。
我が家があるロングアイランド・シティも、イーストリバーが近いだけにこのような事態に。
大きな被害に苛むニューヨーカーに、サンディはひとつだけ贈り物を残してくれました。
嵐の後、MTAをはじめNY市は復旧作業をはじめ残された課題が山積みですが、問題を認識し解決策を講じるという希望につなげられるよう、努力していきたいですね。
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