Is ’The Town’ An Unofficial Tribute To ’Set It Off’?
ベン・アフレックが1998年に「グッド・ウィル・ハンティング(Good Will Hunting)」でアカデミー脚本賞を受賞してから、15年後に同じ舞台に立つ栄誉に恵まれたのが、「アルゴ(Argo)」で安堵しております。
彼の監督第1作目は素晴らしい作品とはいえ・・・「グッド・ウィル・ハンティング」が陽の目を見る2年前、1996年公開のある映画作品と酷似しているから。
サウンドトラックを通じて出会ってから、10代だった私には鮮烈な印象を残しました。その映画とは、「セット・イット・オフ(Set It Off)」。監督は、F・ゲイリー・グレイ(F.Gary Grey)です。ゲイリーといえば、サミュエル・L・ジャクソンとケビン・スペイシーの手に汗握る演技が観るものを釘付けにした「ネゴシエーター(The Negotiator)」、シャーリーズ・セロンとマーク・ウォールバーグなど、アカデミー俳優が共演した「ザ・イタリアン・ジョブ(The Italian Job)」といえば、ピンと来る方も多いことでしょう。
1998年公開の「ネゴシエーター」。サミュエルとケビンの一騎打ちにしびれました!
ゲイリーは、ミュージック・ビデオ監督としてキャリアをスタートさせ、スティービー・ワンダーといった大御所から当時ラッパーの新星だった2パックなど、アフロ系アメリカ人アーティストとの仕事を経て映画界に進出したのです。だからこそ、初期の作品である「Set It Off」は、仕事で携わったドクター・ドレやら映画「シカゴ」でアカデミー助演女優賞にノミネートされた女優であり、前身はラッパーのクィーン・ラティファーが姿を現します。主演はウィル・スミスの現在の妻、ジェイダ・ピンケット(結婚後はジェイダ・ピンケット・スミスに改名)。ジェイダ自身はラッパーではなかったとはいえ、親友の2パックによるつながりが大きかったのかもしれませんね。
「ザ・タウン」はボストンでも有数の犯罪エリア、チャールストンで暗躍する白人男性4人組・銀行強盗団のストーリーでした。「セット・イット・オフ」はいいますと、カリフォルニア州ロサンジェルスを舞台とした4人組の銀行強盗を軸に描かれます。ただし、こちらは黒人女性。ある日女性の1人が勤める銀行に黒人男性が組織する強盗団に押し入り、関連性を疑われた女性は解雇の憂き目に遭います。さらに、仲間内の1人の弟が誤って強盗容疑で警察官に射撃され・・・失意に沈む女性達は、世の中を見返すため、いっそのこと自分達で銀行強盗を働くことを思いつくのでした。
【以下、ネタバレ注意です】
この2作品、大事な部分で5つもの共通点が存在するんです。
1)強盗団は4名
2)運転手はそろって大柄
3)主役の恋人役は、強盗団が襲う予定あるいは襲った銀行の管理職
4)LAPDあるいはFBIに囲まれた絶対絶命シーンで、運転手が犠牲になって主役と準主役の逃亡を援助
5)ラストシーンでの、主人公から恋人への謝罪
興味深いことに、映画情報サイトIMDBで「ザ・タウン」のページをみると、類似作品として「セット・イット・オフ」を取り上げていないんですよね。
この中のどの作品より、「セット・イット・オフ」が近いのに・・。
確かに「ザ・タウン」は「セット・イット・オフ」とスケールが違い、最後の大仕事は銀行ではなくボストン・レッドソックスのホーム「フェンウェイ・パーク」という奇想天外ぶりでした。主人公の母親の悲劇、戦慄が走るギャングの闇、地域にはびこる恐怖の連鎖を描ききった力作に間違いありません。ボストン育ちのベンがカリフォルニア州出身のブレイク・ライブラリーに口すっぱくボストン訛りの習得を求めたほか、親友役のジェレミー・レナーが役作りのため刑務所に赴きボストン・ギャングと交流するなど、それぞれが努力が結実した名作です。
「ザ・タウン」はベン・アフレックとピーター・クレイグがチャック・ホーガン著書「プリンス・オブ・シーブス(Prince Of Thieves)」を元に脚本をまとめました。「セット・イット・オフ」は、タカシ・バフォードとケイト・ラニエが原作・脚本をそれぞれ担当しており、それぞれオリジナルは異なります。
ギャング映画なんで、所詮似通うのは当然ですが・・・「セット・イット・オフ」製作側してみれば、「ザ・タウン」は非公式のトリビュートという認識でお茶を濁しているんでしょうかね。
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