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Mt.Gox騒動の裏で、値を戻す仮想通貨

by • February 27, 2014 • Latest NewsComments (0)2139

Cryptocurrency Shows Resilience In The Middle Of  Mt. Gox’s Big Trouble.

「H」の文字がバックルに大きく張り付いたベルト。日本ではアルファベット以上の意味があっても、ステータス・シンボルとして愛用されていました。なぜか。もちろん老舗高級ブランド「エルメス」の商品に価値を見出したから。 逆にいえば、エルメスという信頼の証が作るベルトでなければ大流行したかは疑問が残ります。

そう、価値の創造は利用する人々の間で決定される。ビットコインも、同じことです。

ビットコインについては、第1人者のこの方のコラムをお読み頂くとして、筆者が関心を持ったのはその利便性です。
1)格段に低い手数料
2)送金・決済がスピーディ
3)国内だけでなく国外でも利用可能

海外に居住する者としては、例えばアマゾンで買い物して商品を日本に配達依頼することはできません。海外へ送金したい場合、銀行によって異なりますが1回につき45ドル(4590円)に及びます。でも、ビットコインの取引所兼電子ウォレットの「コインベース」であれば、送金は無料。現状の銀行を介した海外送金ですと営業時間内に銀行に赴き、紙切れに送金額やらあなたの情報、指定先の銀行のスウィフト・コードも調べて記入しなければいけませんが、ビットコインであれば相手先のeメールアドレスかビットコインのウォレット・アドレス(例:1F1tAaz5x1HUXrCNLbtMDqcw6o5GNn4xqX)さえ分かればOK。しかも海外の銀行間は1週間以上かかる場合もあるんですがビットコインは長くて1時間程度ですから、スピードの違いは歴然としています。もちろんビットコインとしてでなく、指定した通貨に換算して送金できるのです。

売買の手数料は、以下のとおり。
bitcoin
(出所 : Coinbase)

翻って、アメリカ国内で投資ツールとして一般的な株式の1回当たり取引手数料はこちら。
stock fee
(出所 : Scottrade)

取引コストは、インターネットを除けば雲泥の差なんです。

人々がビットコインの価値を見出しているからこそ、取引所であるいは採掘(コンピューターを使ったアルゴリズムの演算処理)によって取得する人々が増加する過程で、マウント・ゴックス(Mt. Gox)の無期限引き出し停止、取引停止、突然のサイトアクセス不能の騒動は大きな痛手となりました。

ニュースに反応し、例えばCNNマネーは「Mt.Gox site disappears, Bitcoin future in doubt(マウント・ゴックスのサイトが消え、ビットコインの未来に疑問符)」、LAタイムズ紙も「Bitcoin virtual currency is on verge of collapse(ビットコイン、仮想通貨は崩壊寸前)」と報道。Mt. Goxのビットコインの価値は2013年の高値から55%も急落する事態を招いたこともあり、メディアとして当然のことでしょう。

では、ビットコインをはじめとした仮想通貨に余波が及んでいるかというと。

marketcap

(出所 : coinmarketcap.com、26日時点)

かつては取引の8割を担っていたMt.Goxの不祥事をめぐるメディアの糾弾とは裏腹に、切り返しをみせています。

世界で6ヵ所ある仮想通貨取引所のなかで、取引高がドル建てだけでも全体の34%まで低下していたから?そもそも社員がたった10名の会社で、かつて愛好家の間でひっそりとゲームカードの取引所として営業していただけに、無理がたたるリスクを見込んでいた?

Mt. Goxについては2011年からセキュリティー違反を確認していただけでなく、2013年5月時点で米国土安全保障省はMt. Goxの子会社の決済口座の差し押さえに踏み切っていました。金融サービス会社としての登録を怠ったからです。さらに今回の不祥事も加わり米検察当局をはじめ、マネーロンダリングと消費者保護防止でガイドラインを作成していたNY司法省も動き始めたのも、至極納得。いくら中央銀行や政府の裏付けが必要ないからとはいえ、違法行為が発生すれば摘発可能ですもの。

Mt. Gox騒動に他取引所が素早く火消しに回ったのも、こうした伏線があったからでしょう。ビットコインを取り扱うコインベースをはじめBTCチャイナ、ビットスタンプ、クラーケン、ブロックチェーン・サークルのCEOは共同声明を発表。Mt.Goxによる顧客への信用侵害は同社のみに帰するもので、仮想通貨の弾力性と価値を反映しないとの見解を強調するとともに「排除すべき参加者だった」と指摘しています。

迅速な対応だけでなく、2013年終盤に世界最大の取引量に躍り出たBTCチャイナの名前を確認して市場関係者にとって鎮静剤となったのかもしれません。中国人民銀行が2013年にビットコインの取引禁止を発動させたものの、これまでどおり取引を継続する確約とも受け取れますから。またカナダに次いで世界で2台目となるビットコイン用ATMを設置する香港では、Mt. Gox問題の渦中にも関わらずサイインプンにビットコイン・ショップが今週、誕生する運びになっていました。これまでビットコインの買い手が抱えていた、取引所で購入したビットコインを電子ウォレットに移すまでのトラブルを解消する画期的な店舗と位置づけています。

あるいは、この方の言葉もビットコイン市場関係者の心に響いた?

ネットスケープ・ナビゲーターなどで知られるソフトウェア開発者で、ベンチャー・キャピタルの共同創立者であるアンドリーセン・ホロウィッツのベンチャー・キャピタルをマーク・アンドリーセン氏も、黙っていません。同氏は仮想通貨市場に5000万ドル出資した億万長者。彼は1月時点にニューヨーク・タイムズ紙のディールブックに寄稿しただけでなく、Mt. Gox騒動につきCNBCにも見解を示し2011年に破産したMFグローバルに例えます。メッセージは「顧客にとって考えられない悲劇だが、仮想通貨市場の技術や他の取引所の破綻を意味しない」。

そもそもビットコインはまだまだ市場参加者が少なく、変動が相当激しい問題点が横たわっています。同時に、Mt. Goxの不祥事で整備すべきポイントにスポットライトを当てたことも事実。米上院議員をはじめアメリカではビットコイン廃止を目指す動きもどんどん出てくるでしょうが、ビットコインをはじめ仮想通貨という歯車が回り続けていることは確実です。

(カバー写真 : themalaymailonline)

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