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「大き過ぎて裁けない」という慣例なしは、本当か

by • May 7, 2014 • Latest NewsComments (0)1346

‘No Such Thing As Too Big To Jail ‘ Sounds Too Good To Be True.

ホルダー米司法長官が5日、司法省のサイトに掲載されたビデオ・メッセージで「大き過ぎて裁けないという慣例はない(No Such Things As Too Big To Jail)」と断言しました。

クレディ・スイスやBNPパリバに対し、米国富裕層向け脱税ほう助問題で訴追する可能性をちらつかせたわけです。ビデオでこそ、名指しは避けていましたが。

ちなみに一部報道によると、税金逃れ目的で訪れた富裕層顧客向けに秘密のエレベーターが存在し、一部の従業員以外はその存在すら知られていなかったとか。まるで映画「007シリーズ」並みですね!巨額脱税といえば映画「ザ・ウルフ・オブ・ウォールストリート」が思い出されますが、ベタに粘着テープに貼りつけプライベート・ジェットでスイスに上陸、というのは相当時代遅れなんでしょう。

1980年代は、アナログな時代でした。
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(出所 : Nowcreativefusion)

6日の米株相場を振り返ってみると、S&P500のセクター別で金融こそ最下位のパフォーマンスでした。AIGの決算が大寒波の余波で減益・減収だったほか、ホルダー発言も材料視する声も、確かにあったんです。

でも、ちょっと待って下さい。マーケットが本気にしていたなら5日のザラ場で反応していたはずですよね。ビデオ・メッセージという、誰からも質問を受けない舞台というのも気になります。何より、「『大き過ぎて裁けない』なんてものはない」と言うなら、金融危機後の住宅ローン担保証券をめぐる数々の不正販売で米大手銀がこぞって和解金で幕引きし刑事訴追を免れたのは何だったのかという話です。

WSJ紙のコラムニストも、額面通り受け止めていません。
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(出所 : Marketwatch)

時期を考えると、風当たりに耐えきれなくなったオバマ政権の苦肉の策としか見えません。中間選挙を控え、支持率は過去最低付近の体たらく。オバマさん自身が年次記者ホワイトハウス晩餐会で、民主党議員から頼りにされていない現状を連想させるべく「サーシャ(次女)がキャリア・デーにクリントン元大統領を講演者に招いたんだ」と、自虐ネタをぶつけてくるはずです。ホルダー米司法長官も、金融機関への対応の甘さが指摘されてましたしね。

仮に大きな金融機関を吊るし上げたところで、金融市場を混乱させ景気回復の芽を摘みかねません。経済こそが米国民の関心事とのデータもありましたし、そんな危ない橋を渡ったりしないでしょう。クレディ・スイスとも10億ドルで和解するとのニュースもありました。

ホルダー米司法長官の発言後も、VIX指数は落ち着いてます。
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奇しくもホルダー発言に合わせ、米国外の口座を通じた脱税の網の目を塞ぐ新法「外国口座税務コンプライアンス法(FATCA)」につき、米財務省が完全執行を7月1日から延期するとの報道が伝わってきました。2015年丸々、見送られる方向です。次の年は2016年の米大統領選ですから、票取りカードに温存するんでしょうね。

(カバー写真 : U.S. Department Of Justice)

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