Ferrari Will Go Public In IPO, Fiat Chrysler To Spin Off.
イタリア高級車の代名詞、フェラーリを手に入れたい——こんな欲望に駆られる人々は、少なくないでしょう。成功者の証であるだけに、やすやすと所有できない逸品ではありますが、この方法なら比較的お手頃な価格で自分の物にできるかも？
2015年に株式を通じ、フェラーリを取得する道が開きました。ニューヨーク証券取引所に上場する見通しです。
フィアット・クライスラー・オートモビルのセルジオ・マルキオンネ最高経営責任者（CEO）が29日、NYSEに13日に上場してから初めて本社がある英国で開催した取締役会後に発表した声明で、1969年に傘下に収めたフェラーリを分離・独立（スピンオフ）する計画を明らかにしました。声明によると「クライスラーとの統合がニューヨーク証券取引所（NYSE）での上場完了した今、2014−18年の事業計画を堅持しビジネスと株主の価値を最大限に活かすため別々の道を模索することが適切」と説明しています。フィアット・クライスラー株は、一時18％以上も急騰しました。
新規株式公開（IPO）で、フェラーリ株の10％が放出する計画。フィアットは、調達した資金を480億ユーロ相当に及ぶ向こう5年間の事業拡大戦略に充てると説明しています。残りの90％は、創業一族アニェッリ家を中心にフィアット株主に分配される方針です。
スピンオフと同時にフィアット・クライスラーが発表した7−9月（第3四半期）決算では、為替変動を除いたベースでの売上高が前年同期比14％増の236億ユーロでした。利払い・税引き前利益（EBIT）は7.4％増の9億2600万ユーロと、市場予想の9億3700万ユーロに届かず。焦点となる金融事業を除く純債務は114億ユーロと、前年同期比17.5％増加していました。成長を目指す上で、負債が重荷と化していたのは想像に難くありません。
7−9月期の販売台数は9.7％増の110万台で、北米のクライスラー部門がけん引していました。特に「ジープ・チェロキー」は、年初来から過去最高の販売台数を記録していたのです。そうなると今回、マセラティ、アルファロメオ、ランチアなどのブランドから世界屈指の人気を誇るフェラーリのスピンオフを選んだ理由が浮かび上がってきます。そう、フェラーリには足元で売上を支えるSUVのラインナップがありません。マルキオンネCEOと対立して退任を余儀なくされたフェラーリのルカ・ディ・モンテゼーモロ前会長も、SUV生産で真っ向から反対したと言われています。
マセラティは、SUV「レバンテ」を投入していました。
（出所：Maserati levante forum）
スピンオフは、親会社に逆らった罰なのでしょうか。それとも、フェラーリも望んだ選択肢だったのか。いずれにしても、個人投資家には夢のフェラーリを我が物にするチャンス到来です。
（カバー写真：Mohammed Nairooz）
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