ECB Is Ready To Take More Action, According To Draghi.
欧州中央銀行(ECB)定例理事会では、市場予想通り政策金利を0.05%で据え置いた。上限金利の限界貸出金利も0.30%、下限金利の中銀預金金利もマイナス0.2%で維持している。
今回、記者会見の導入部分で使用される声明文に複数の重要な文言を追加した。
「理事会は経済指標と分析を考慮した上で、注視するとともに適切な金融政策のスタンスを評価し続けていく」
「定例理事会はECBスタッフおよびユーロシステム委員会メンバーに対し、必要な場合に備え適時、追加措置を準備する任務を確認した」
質疑応答ではなくあえて声明文に盛り込んだということは、ドラギ総裁が説明したように理事会メンバーの承認を得た証左である。国債をはじめ社債など買入対象の拡大一段と歩み寄ったとかたちだ。バランスシートにも、以下の文言「2012年序盤の規模へ向かっていくと予想する」を挿入している。理事会メンバーの間での意見対立をめぐる報道を火消ししており、ドラギ総裁も質疑応答で「意見が食い違うのはまったく自然なこと」と観測を否定した格好だ。
理事会メンバーの間で、「政策への懸念はなかった」とも明言。
(出所:CNBC/ECB)
一段の措置をめぐって、ドラギ総裁は質疑応答で条件として 1)的を絞った長期流動性供給(TLRTO)、カバードボンドや資産担保証券(ABS)の買入など既存の枠組みを不十分と判断した場合、2)インフレ見通しが悪化した場合——の2つを挙げた。
BNPパリバのユーロ圏担当チーフエコノミスト、ケン・ワトレット氏は、結果を受けて「12月に何らかの追加措置を発表する」と予想。バランスシートが2012年序盤すなわち2012年3月時点の約3兆ユーロを目指す上で、追加措置に踏み切る条件として1)に挙げた既存の政策だけでは「少なくともしばらくは目標を数千億ユーロ下回る公算」にとどまる見通しだ。2012年3月を約1兆ユーロ下回る現状では、既存の政策では達成がほど遠い計算となる。もちろんECBが国債買入を後ろ倒しにすればするほど買入対象の資産は増加し、TLTROも景気改善に従って拡大する期待があるものの「インフレ減速のリスクをはらむ」ことを考えれば、ECBが国債買入をためらう根拠は少ないと言える。
2)のインフレ見通し悪化の条件は、12月4日の定例理事会で公表されるECBスタッフ見通しで下方修正が予想されており、クリアする公算が大きい。ただし国債買入に限れば、障害が立ちはだかるのも事実。スペインとイタリアの債務問題に対処するため2012年9月に発表された国債買入プログラム、アウトライト・マネタリー・トランスアクション(OMT)に対し、リスボン条約の適法性を欧州司法裁判所が最終判断を下すのが2015年1月半ばと目されているためだ。欧州司法裁判所が「違反」と結論づけるリスクは低いものの、ワトレット氏は「まず12月に発表し翌年1月7日の理事会で詳細案を提示するという9月当時のようなシステムを導入するのではないか」と予想した。
——以上の結果を踏まえ、欧州株は独DAXが9377.41(0.66%高)、仏CAC40は4227.68(0.46%高)、英FTSEは6551.15(0.18%高)とそろって上昇して引け。ユーロドルも約2年半ぶりの安値をつけ2012年8月以来の1.24ドル割れを示現しており、追加緩和に向けた淡い期待が表れていました。
(カバー写真:AFP)
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