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1月FOMC、豪雪の天候とは裏腹に見通し良好

by • January 26, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off5102

January FOMC Won’t Be As Eventful As The Snowstorm.

27—28日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)は、冬の嵐”ジュノ(Juno)”の猛威が注目されてばかりであまり相場の潮目を変える会合になるとは予想されていません。前回2014年12月にイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長が記者会見で「向こう2会合にわたって利上げしない」と明言してましたし、今回はその記者会見や経済・金利見通しも予定しませんしね。ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙のFed番、ヒルゼンラス記者も出口路線に変更なしと報じていました。

そうはいっても気になるFOMC。BNPパリバは、以下のように予想しています。

・大きな変更はなし
・労働市場の改善を示す文言は当方の予想である6月利上げをサポートする一方、海外動向をはじめドル高、低インフレへの文言変更はネガティブ
・フォワードガイダンス「相当な期間(considerable period)」、「忍耐強くなれる(patient)」など据え置きへ、利上げ開始から1—2会合前に変更となる見通し

主な米経済指標、FOMC会合ごとの変化。

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(出所:BNP Paribas)

モルガン・スタンレーのエレン・ゼントナー米エコノミストも、大幅な修正を予想せずともインフレ動向に注目しています。

インフレはというと、米12月消費者物価指数(CPI)が6年ぶり水準に落ち込みコアCPIも軟調。原油安が続くなかでは、少なくとも上半期いっぱいは下振れのリスクが高い。マーケットベースのインフレ率も、下方トレンドをたどる公算。Fedスタッフによる5年先5年物ブレークイーブン・インフレ率は足元で1.75%であり、前回の2014年12月FOMC当時の2.01%をはじめ過去10年間の平均2.65%を大幅に下回っていました。

マーケット・ベースでも調査ベースでも、インフレは下振れが顕著に。

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(出所:Morgan Stanley)

そうなれば、2013年7月開催のFOMC声明文のようにインフレの文言変更を余儀なくされる可能性が浮上します。同年6月のFOMCでは、テーパリング開始へ突き進むFedがインフレ鈍化を無視した結果「インフレ連動債市場で反乱が起こった」。当時と同じく、足元のCPIが 1)国際貿易動向の減速、2)ドル高——などの影響を受け下押し圧力を受けていますから、変更の余地がありますよね?ただし、2013年7月当時は実質金利の上昇に反映されるように金融市場は引き締め的でした。足元は労働市場が一段と改善するほか実質金利は低下しており、変更へのハードルは当時より高いとも言えます。

ゼントナー氏いわく、忘れてならないポイントは”長期的な目標と金融政策戦略をめぐる声明(Statement on Longer-Run Goals and Monetary Policy Strategy)”。最後に大幅な変更に踏み切ったのは2012年1月で、長期的なインフレ目標値”2%”を導入しました。あれから特に変更を加えられていませんが、足元はインフレ下方圧力が加わる状況。2014年10月FOMC議事録で「インフレが目標値以下で推移する場合は、上回って推移するときと同じく打撃が大きい」と明記していたように、今まで比較的軽視してきたディスインフレ懸念に配慮する余地が出てきています。

市場のコンセンサスと違って利上げ開始時期を2016年1月と予想するモルガン・スタンレー(*加筆:2016年1月から3月へ変更)だけでなく、今年6月の利上げを予想するJPモルガンのマイケル・フェローリ米主席エコノミストも、予想していました。ただしフェローリ氏は、「忍耐強くなれる」へ文言をシフトさせる移行期だった2014年12月とは異なり、今回は役目を終えた「相当な期間」を削除されると予想しています。

”長期的な目標と金融政策戦略をめぐる声明”に話を戻せば、金融市場の動向をどのように政策決定と結びつけるかについて、明確化する場合も考えられます。いずれにしても第1弾の利上げ織り込み度が後退するなか「相当な期間」が外され、労働市場への改善を強調すれば利上げ前倒しを連想させ米株売り・米債売り・ドル買いで、”長期的な目標と金融政策戦略をめぐる声明”でディスインフレ懸念が盛り込まれば、利上げ先送りのサインと捉え米株買い・米債買い・ドル売りで反応する可能性を残します。

(カバー写真:MTA)

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