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中国が再び利下げ、コンテナ大手は世界貿易の縮小を警告

by • March 1, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off2664

China Cuts Interest Rates Again While Maersk CEO Warns World Trade Growth.

中国人民銀行は28日、25bpの利下げを実施しました。1年物貸出金利は5.35%、1年物預金基準金利も2.5%に設定。2014年11月に約2年ぶりの利下げを実施して以来、2回目となります。2月の預金準備率を引き下げと併せ、過去4ヵ月で3回目の緩和策に踏み切りました。

声明では、商品価格の下落に伴うデフレ圧力の高まりを挙げ成長を押し上げるべき「余地を与えた」と明記。ただし「中立的で適切な」金融環境を与え、「金融政策の変更を意味しない」としています。

全国人民代表大会の開幕を5日に控えた利下げという意味合いは大きく、メディアでも大いにタイミングにつき議論されていることでしょう。2015年成長率目標は7%以下に定める可能性があるので、尚更です。もうひとつ、製造業購買担当者景気指数(PMI)も政策決定に影響を与えたと考えられます。2014年11月当時も、中国11月HSBC製造業PMIが景気判断の分岐点を割り込んでいました。

中国2月HSBC製造業PMIこそ50を回復し4ヵ月ぶり高水準だったとはいえ、製造業センチメントが力強さを取り戻したかは不透明です。中国国家統計局が利下げ直後の1日発表した中国2月製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.9で、市場予想の49.7、および1月の49.8を小幅に上回っていました。春節の連休を背景に企業活動が減速したものの、2014年10月以来続く前月割れを4ヵ月でストップさせています。とはいえ、2ヵ月連続で分岐点の50には届かず。特に雇用は47.8と2013年2月以来の低水準だったほか、輸出受注は50割れを維持しています。生産も前月の51.7を下回り、51.4でした。2月非製造業PMIは53.9と1月の53.7から上昇したものの、春節の押し上げ効果を見捨てておけません。

世界の工場と化した中国製造業とあって、分岐点割れでは人民銀も対応。
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(出所:Steve Jurvetson/Flickr)

また、春節明けの流動性に考慮した措置とも解釈できます。春節前にも、対応策として10省・都市のみに利用を承認していた短期流動性ファシリティー(SLF)の対象を全国に拡大し、地方の中小金融機関の流動性に配慮する策を打ち出していました。2014年11月に利下げを断行した当時も、思い起こせば新規株式公開(IPO)での流動性ひっ迫が話題になっていたものです。

バークレイズのJian Chang中国担当主席エコノミストは、政策決定を受け「今年前半に預金準備率の引き下げがさらに2度行われ、4−6月期に再度ベンチマーク金利を25bp引き下げるとの予想を維持する」との見解を寄せていました。

モルガン・スタンレーの金利・為替ストラテジストであるKewei Yang氏は、1)成長減速、2)外貨準備の減少、3)低インフレ、4)実質金利は比較的、高水準、5)不動産市場は向かい風に直面、6)株式市場の急伸一服、7)Fedの政策——を踏まえ「預金準備率の引き下げより強力な政策を打ち出す環境が整っていた」と指摘。今後も、「緩和策は続く」と予想しています。

Yang氏が指摘した外貨準備の減少に絡み、貿易収支も忘れてはなりません。中国1月貿易黒字は過去最高だったとはいえ、輸出入そろって減少したことは記憶に新しいですよね。ここに来て、海運大手が貿易動向に黄信号を発しています。

世界における海運の15%を占めるマースクのソーレン・スコウ最高経営責任者(CEO)は、世界貿易の動向に警告を与えました。中国をはじめブラジル、ロシアなどBRICsを成す国々の経済が失望に終わると予想。同社の貨物量の伸びは、2013−14年の4%増から「3−5%増」のレンジ下限以下にとどまるリスクを挙げています。

日本や中国など、アジア株は中国の利下げを受けて上昇で反応。伸びが限定的な理由は、過剰流動性の限界をにらんでいるかのようです。

(カバー写真:WSJ)

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