Don’t Be Fooled By The Wage Growth In March.
米3月雇用統計は桜散る結果となり、6月はおろか年内利上げの可能性すら取り沙汰されつつあります。
お先真っ暗な米雇用統計の希望の星は、時間当たり賃金でした。前月比0.3%の上昇を示し、2008年11月以来の高水準となる1月の0.5%増を意識する水準でしたからね。
ただし、手放しで賃金上昇トレンドに入ったと喜ぶのは時期尚早です。
まずは、米3月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)にご注目。米2月雇用統計・NFPで4分の1を占めた食品サービスが今回、0.9万人増に過ぎませんでした。食品サービスと言えば、低賃金で知られていますよね。食品サービスを含む娯楽・宿泊の非管理職・時間当たり賃金をみると、3月に12.35ドル(約1480円)に過ぎません。全体の20.82ドル(約2500円)を大きく下回っており、低賃金の雇用鈍化こそ時間当たり賃金の伸びが2月分を上回った一因と考えられます。ちなみに、マクドナルドは約9万人の従業員に対し、7月1日から賃金を10%引き上げると発表しました。平均時給は約10ドルへ引き上げられる計算となり、7月に時間当たり賃金を押し上げそうです。
マクドナルド従業員、15ドルへの賃上げを要求には届かず。
(出所:Stephen Day/Flickr)
時間当たり賃金の伸びにも、格差が忍び寄りつつあります。生産労働者・非管理職の場合は前月比0.2%増の20.86ドル(約2500円)、前年比は1.76%増でした。それぞれ、管理職を含めた全従業員の前月比0.3%増、前年比2.1%増を下回っています。つまり管理職が全体を押し上げたといっても、過言ではありません。週当たり賃金をみると、明白になります。
▽全従業員
3月は857.67ドル(約10万2900円)、2月の857.73ドルから0.6セント下落、前年比は3月に2.1%増
▽生産労働者・非管理職の週当たり賃金
3月は702.98ドル(約8万4400円)、2月の703.32ドルから34セント下落、前年比は3月に1.8%増
ちなみに週当たり賃金は、2月からそろって鈍化していました。2月は全従業員が2.6%増、生産労働者・非管理職で2.5%増だったんですね。賃金動向は加速を示していない上に格差まで広がりつつあり、6月利上げ観測が立ち消え年内利上げ懐疑論が高まってもおかしくないでしょう。
(カバー写真:peoplesworld/Flickr)
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