Senate Democrats Block Obama’s Trade Agenda.
安倍首相とオバマ米大統領の蜜月ぶりは、どこへやら。
米上院は12日、米大統領に貿易促進権限(TPA、ファスト・トラック)を付与する法案を協議する上で必要な投票を実施しました。結果は賛成52、反対45。他ならぬ民主党からの反対を受け必要な60票を確保できず、環太平洋経済連携協定(TPP)妥結がまた一歩遠ざかったかたちです。
ハリー・リード米院内総務(ネバダ州)を中心とする民主党・米上院議員は、5月末に期限切れを迎える米連邦輸送建設計画の延長をもって道路や橋梁の修繕を推進するため、駆け引きの糸口として異議を唱えたと考えられます。また、国家安全保障局(NSA)による通話記録の情報収集阻止も狙ってきたことでしょう(ニューヨーク連邦高等裁判所は5月7日、NSAの一連の記録収集につき「愛国法」を逸脱した「違法行為」との判断を下しました)。
ワシントン・ポスト(WP)紙によると、反旗を翻したロン・ワイデン議員(オレゴン州)をはじめとする民主党の一部グループは、ファスト・トラック協議開始に際し 1)貿易調整支援(貿易協定により解雇された従業員の保護)、2)為替操作国への取り締まり、3)貿易条件を確固たるものにする方策——も投票にかけるべきと主張。共和党のミッチ・マコーネル米上院議長(ケンタッキー州)は、ファスト・トラックと貿易調整補助への投票を支持した程度だったため、ファスト・トラックの協議開始という初めの一歩でつまずいてしまいました。民主党からの支持は、トム・カーパー議員(デルウェア州)のみだったといいます。
ワイデン議員、労働者保護を目指し為替操作国にも目を光らせる。
(出所:Mike Theiler/Reuters)
2)の為替操作国への取り締まりをめぐっては、ファスト・トラック付与法案に関する超党派の声明にて明記されていたことが思い出されます。そうはいいながら企業寄りの共和党だけでなくオバマ米大統領にとっても、中国との貿易摩擦を激化させかねず譲歩しづらいところ。共和党はワイデン議員を中心とする民主党グループではなく、リード米上院院内総務が求める輸送建設計画の延長などで妥協を見出すことになるのでしょう。2016年米大統領を視野に入れたせめぎ合いは、熱気を帯びつつあります。
(カバー写真:AP)
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