NFIB Small Business Optimism Slides In June.
米連邦準備制度理事会(FRB)の労働市場情勢指数に含まれる米6月NFIB中小企業楽観度指数は94.1となり、市場予想の98.3を下回った。前月の98.3を超え、少なくとも2014年3月以来の低水準を示す。
発表元である全米独立企業盟(NFIB)のウィリアム・ダンケルベルグ主席エコノミストは、結果を受け「年初からの楽観度指数の改善に歯止めをかけた」と振り返った。景気後退につながる兆候は見られないものの「下半期入りの経済成長は、活力を失ったものとなる」と予想。項目別の鈍化は「広範囲にわたっており、短期的に成長加速は見込めない」とまとめた。
NFIB中小企業楽観度指数、2014年12月の水準には届かず。
(出所:NFIB)
内訳をみると、12項目中プラス圏にのせた項目は7項目。そのうち「求人件数」、「設備投資を拡大させる」、「賃金を拡大させる」を含む5項目が直近で最低だった。さらに在庫に関する2項目は、マイナスに反転。また「経済がより良くなる」、「黒字トレンドにある」はそろって悪化しており、全体的に楽観モードが後退している。以下は、項目ごとの変化。
「求人件数」24%→ 前月の29%から上昇、直近で最低
「設備投資を拡大する」23%→前月の25%から低下、直近で最低
「賃金を拡大させる」11%→前月の14%から低下、直近で最低
「事業拡大に良いタイミング」9%→ 前月の14%から低下
「雇用を増加させる」9%→ 前月の12%から低下、直近で最低
「売上が拡大する」4%→ 前月の7%から低下、直近で最低
「販売価格の上昇」5%→前月の6%から低下
「在庫を拡大させる」−4%→前月の4%から悪化
「在庫満足度」−4%→ 前月の0%から悪化
「信用状況が緩和する」−4%→ 前月の−4%と変わらず
「経済がより良くなる」−9%→ 前月の−3%から悪化
「黒字トレンドにある」−17%→ 前月の−7%から悪化
▽米6月輸入物価指数、マイナス基調へ反転
米6月輸入物価指数は前月比0.1%低下し、市場予想の0.1%の上昇からサプライズの低下を示した。2014年6月以来のプラス圏を回復した前月の1.2%(1.3%から下方修正)から、再びマイナス基調へ戻している。前年比は10.0%の低下と前月の9.6%から悪化し、2009年9月以来で最大の落ち込みを見せた3月の10.9%、4月の10.7%に近い低下幅を迎えた。
前月比での内訳をみると、エネルギーが0.7%上昇し、前月の10.8%から減速しつつ4ヵ月連続でプラスに。石油を除いた場合は0.2%低下しており、前月の±0%から再び低下トレンドに切り返した。前年比では2.3%低下し、2009年10月以来で最低を示す。食品・飲料は前月比0.6%低下し、あらためてマイナス基調へ戻した。自動車・部品も0.1%低下し、前月の横ばいからマイナスへ反転。一方で資本財は±0%となり、前月の0.1%で6ヵ月連続の低下トレンドにブレーキを掛けた。消費財は2ヵ月連続で±0%。産業財は前月の4.8%上昇から0.1%に鈍化しつつ、3ヵ月連続で伸びた。
BNPパリバのローラ・ロスナー米エコノミストは、結果を受けて「全体的に鈍化が目立つ」と指摘。米6月消費者物価指数は0.34%、0.19%」を予想した。ブルームバーグのエコノミスト予想平均は、それぞれ0.3%と0.2%。5月は0.4%、0.1%だった。
——米6月NFIB楽観度指数は、予想外に弱含みました。2008年時点で中小企業はGDPの46%を担うだけに、明るいサインとは到底言えません。米6月輸入物価指数もあらためてマイナスへ反転し、インフレ圧力の後退を表しています。米6月小売売上高も市場予想以下だったため、オバマ政権での米大統領経済諮問委員会(CEA)の元委員長でシカゴ大学のオースタン・ディン・グールスビー教授は、CNBCに出演しFedが9月に利上げを行う余地は狭く「12月がメド」との予想を維持していました。
(カバー写真:Reuters/Investing)
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