Wage Growth Is Up, But Pay Gap Remains.
米7月雇用統計は、9月利上げ織り込み度を高める内容と判断されました。おかげで、ダウ平均は一時100ドル安に。9月利上げ観測の高まりを反映したのかS&P500の10セクタ—別ではエネルギーのほか、素材が押し下げています。ディフェンシブ銘柄の王道、公益が上昇するのみ。NY時間午後12時半過ぎの段階で、リスク・オフ相場の様相を示しました。
今回、目を引いたのは時間当たり賃金の伸び。6月の前月比横ばいから0.2%へ上昇し、前年同月比でも2.1%と6月の2.0%から改善していました。当サイト恒例の非管理職VS管理職の動向をみると、引き続き賃金のけん引役は管理職という格差社会の横顔が浮き彫りになっています。
▽全従業員(管理職を含む)の時間当たり賃金
前月比0.2%増の24.99ドル(約3120円)>6月は±0%
前年比2.1%増>6月は1.9%増
▽生産労働者・非管理職の時間当たり賃金
前月比0.1%増の21.01ドル(約2630円)>6月は±0%
前年比は1.8%増<6月は1.9%増
▽全従業員(管理職を含む)の週当たり賃金
前月比0.5%増の864.65ドル(約3120円)>6月は±0%
前年比2.4%増>6月は2.0%増
▽生産労働者・非管理職の週当たり賃金
前月比0.1%増の708.04ドル(約8万8510円)>6月は±0%
前年比は1.8%増>6月は1.6%増
生産労働者・非管理職の賃金は6月から改善が目立ちますが、伸びの違いは一目瞭然ですね。ゼロヘッジによると、景気後退入りした2007年12月から外食サービスの職は140万人増加した半面、高賃金で知られる製造業職は140万人減少したといいます。労働市場の構図の変化も、賃金の格差を生んでいるのでしょう。
もうひとつ、賃金格差が明白になった理由が潜みます。今回、失業率をみると16−19歳で大幅に低下していました。6月の季節要因がはく落したと考えられるだけでなく、経験不足の労働者が職に就いたことで生産・非管理職労働者との賃金格差が広がった可能性を残します。
一方で、20歳以上の失業率は上昇。特に45−54歳という所得が高いとされる年齢層が3.8%と6月の3.5%から弱含みが目立ち、次いで35−44歳も4.1%と6月の3.9%を上回っていました。
明るい材料もありました。今回はフルタイムの雇用が増加しパートタイムが減少しています。おまけに、不完全失業率も改善。9月利上げ派のJPモルガンのマイケル・フェローリ米主席エコノミストは「経済指標と金融市場の動向次第で、9月利上げが先送りされる余地が残る」と慎重なスタンスでしたが、米8月雇用統計が底堅ければ次回会合での船出が意識されます。
(カバー写真:erin m/Flickr)
Comments
米7月雇用統計は巡航速度、9月利上げ織り込み度は上昇 Next Post:
共和党大統領候補・第1回討論会、トランプがカードを切る