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米7月住宅着工件数、一戸建てがけん引し約8年ぶりの高水準

by • August 18, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off2197

Housing Starts Surge To The Highest Level Since October 2007.

米7月住宅着工件数は年率120.6万件となり、市場予想の118.0万件を超えた。前月の120.4万件(117.4万件から上方修正)を0.2%上回り、2ヵ月連続でリセッション入り前に当たる2007年10月の高水準に達している。

内訳をみると、6月とは反対に一戸建てがけん引。前月比12.8%増の78.2万件となり、大幅に3ヵ月ぶりの増加を示した。2007年12月以来の高水準を遂げている。複合住宅は17.0%減の42.4万件で、1988年以来の水準へ拡大した前月の増加分をほぼ半減させている。前年比での住宅着工件数は10.1%増と、前月の29.9%増から減速。4ヵ月連続で前年比プラスを迎えた。一戸建てが19.0%増と4ヵ月連続で増加した半面、複合住宅は3.2%減と前月の54.8%減から反転。5ヵ月ぶりに減少した。

4大地域別では、前月に続き2地域で増加。中西部が20.1%増の17.9万件、南部も7.7%増の58.9万件とそれぞれ2ヵ月連続で増えた。一方で、複合住宅のシェアが高い北東部は27.5%減の16.1万件と前月の55.2%増から減少。西部も3.1%減の27.7万件と、減少に転じた。

米7月建設許可件数は111.9万件となり、市場予想の125万件に届かなかった。2007年1月以来の高水準を記録した前月の133.7万件(134.3万件から下方修正)を16.3%下回る。ニューヨーク州で住宅建設向け減税策が期限切れを迎え、北東部では60.2%と減少が目立った。

内訳をみると、北東部に押し下げられ複合住宅が前月比31.8%減の44.0万件と4ヵ月ぶりに減少した。6月は1990年以来の高水準を記録したものの、増加幅を完全に打ち消している。一戸建ても1.9%減の67.9万件で、5ヵ月ぶりに減少した。建設許可件数の前年比は7.5%増と、前月の30.0%増(速報値ベース)から減速しつつ8ヵ月続けてプラス。一戸建てが6.1%増だったほか、複合住宅は9.7%増だった。

米7月建設中件数は前月比2.0%増の90.8万件となった。増加トレンドを維持するなか、件数ベースでは少なくとも2009年以来の高水準を達成。一戸建てが3.5%増の38.9万件と5ヵ月連続で増加したほか、賃貸需要を背景に複合住宅が1.0%増の51.9万件と11ヵ月連続で増えた。

JPモルガンのダニエル・シルバー米エコノミストは、結果を受け「一戸建てが好調で全ての地域で増加していたものの、一戸建ての建設許可件数は減少し着工件数以下にとどまった」と指摘。住宅着工件数が現状の高水準を保つ可能性は低いと見込む。さらに「これまで増加を支えて来た複合住宅は、NY州の税制優遇策の失効を背景に減少する見通し」。すでに北東部の複合住宅・建設許可件数は4ヵ月連続で増加した後、7月に74%と大きく落ち込んでおり「2008年当時のように向こう数カ月は減少していく」と予想した。

——米8月NAHB住宅市場指数が好調だったように、米7月住宅着工件数は目覚ましい増加を遂げました。ただし、足元のペースを維持できるかは微妙な情勢。マイホーム購入に向けた準備期間が延びるなか、住宅価格が上昇を続け、金利まで上昇してしまえば失速は回避できないでしょう。

(カバー写真:Mark Hogan/Flickr)

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