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米9月ADP全国雇用者数、大企業がけん引し3ヵ月ぶりに20万台乗せ

by • October 1, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off2533

Large Companies Boosted Private Jobs In September.

米9月ADP全国雇用者数は前月比20.0万人増となり、市場予想の19.0万人増を上回った。前月の18.6万人増(19.0万人増から下方修正)を超え、3ヵ月ぶりに20万人の大台に乗せている。2010年2月以来の増加トレンドは維持。なおADP全国雇用者数は民間のみであり、政府を含まない。

ADP全国雇用者数、年初来で4回目の20万人乗せ。
adp
(出所:ADP)

内訳は、以下の通り。

▽企業規模別
中小企業 9.3万人増、増加トレンドを維持<前月は16.6万人増
大企業 10.6万人増、10ヵ月連続で増加>前月は2.1万人増

▽業種別
サービス業 18.8万人増、3ヵ月ぶりの高水準>前月は17.2万人増
(米8月ISM非製造業景況指数の雇用は、前月の59.6から56.0へ低下)
・貿易/輸送/公益 3.9万人増、3ヵ月ぶりの高水準>前月は2.5万人増
・金融 1.5万人増、3ヵ月ぶりの高水準>前月は1.4万人増
・専門/ビジネス・サービス(派遣を含む) 2.9万人増<前月は3.0万人増

財生産業 1.2万人増<前月は1.5万人増
(米8月ISM製造業景況指数の雇用は前月の52.7から、51.2へ低下)
・製造業 1.5万人減、7月に続き減少<前月は0.4万人増
・建設 3.5万人増、直近で最高>前月は1.8万人増

ADPとともに統計を担当するムーディーズ・アナリティクスのマーク・ザンディ主席エコノミストは、結果を受けて「米国の雇用はエネルギー産業および製造業の雇用減少を乗り越え、力強さだけでなく持続的なペースを保つ」と振り返った。20万人という大台を回復したこともあり、「最大限の雇用は目前」と評価する。ADPのカルロス・ロドリゲス最高経営責任者(CEO)は「従業員1000人以上の大企業が、今回の伸びの半分以上を占めた」と説明。その上で「大企業は世界的な需要鈍化やドル高の悪影響を消化し始めつつある一方、中小企業は米経済の逆風や消費者信頼感の鈍化を懸念している」とまとめた。

JPモルガンのダニエル・シルバー米エコノミストは、内容に対し「米雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)の速報値とADP全国雇用者数の誤差は、4.3万人」と指摘し、その前哨戦たる数字に疑問を寄せる。ただし「9月の米雇用統計・NFPはこれまで、ADP全国雇用者数と近い」と指摘。米9月ADP全国雇用者数自体、同社の米9月雇用統計・NFP予想の「22.5万人増、民間就労者数の22.0万人増とも大きくかい離していない」との見解を示した。ブルームバーグでの米9月雇用統計・NFP予想は、20.3万人増。民間就労者数は19.5万人増であり、米9月ADP雇用者数の結果とほぼ整合的だ。

——米9月ADP全国雇用者数は20万人乗せで、あらためて年内利上げの機運を与えた格好です。7−9月期は2011年以来のマイナス幅を記録したとはいえ、ダウ先物は7−9月の期末に235ドル高だった上にNY時間の午前7時30分現在で100pの上昇を記録。9月FOMC以前のように利上げを見据え、再びリスク・オン相場の様相を呈し始めています。ちなみに、本日オックスフォード・エコノミクスのエイドリアン・クーパー最高経営責任者(CEO)は、都内で講演し「12月利上げの確率は65%」とおっしゃってましたね。

その一方で、中国9月製造業PMIが47.2と6年半ぶりの低水準だったほか、フォルクスワーゲン・ショックもあって米9月ADP全国雇用者数の製造業はさえません。ドル高、世界景気の鈍化は言わずもがな、国際通貨基金(IMF)の世界経済見通し(WEO)改訂版でエマージング国を中心とした下方修正が鮮明になれば、米国にも影響が及ぶのか。基本的に米国は年末商戦を控えるほか、米上院が12月11日までの暫定予算案を通過させたため政府機関の閉鎖という2013年の悪夢は回避される見通し。米国内だけで言えば、目下の悪材料は後退しました。

米上院が暫定予算を採決する以前、ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙のジョン・ヒルゼンラス記者とのインタビューでイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長と足並みをそろえ、NY連銀のダドリー総裁は年内利上げに言及した点も注目。9月30日には、米債市場の流動性不足すら懸念に値せずと受け流し、むしろ流動性確保に向け債券市場の規制を変更する余地があるとも語っていました。彼は6月FOMCを含めどちらかと言えばハト派寄りと考えられるだけに、Fedが利上げ方向を見据えている様子が伺えます。

(カバー写真 : Gianfranco Blanco/Flickr)

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