September 11, 2010 events at ground zero and the City Hall

カリフォルニア州銃乱射事件で、米国は右傾化するのか

by • December 6, 2015 • Latest News, NY TipsComments Off3506

How California Shooting Have Affected Americans.

カリフォルニア州サンバーナディーノ郡で2日に発生した銃乱射事件で、2人の射殺された容疑者がイスラム教スンニ派過激派組織イスラム国(IS)の支持者だったと報じられています。IS傘下のラジオ局アルバヤンが明らかにし、パリ同時多発テロ事件の流れを組むものだったとも伝えていました。米連邦捜査局(FBI)のコミー長官はワシントンで開いた記者会見で、「テロ組織に感化された可能性がある」と発言しています。

パリ同時多発テロ事件後、ジョージタウン大学の教授は1)NY同時多発テロ事件以降テロ対策費に相当な予算を割り当ててきた、2)フランス在住のイスラム教徒と違い米国への敵対心は低くシリアでIS陣営に参入していない——などを理由に米国で波及するリスクは低いとの考えを示唆していました。残念ながら的外れだったようです。

2011年以降、米国はシリア難民を1500人程度しか受け入れておらずドイツの約9万2991人(2012年〜2015年9月)を大きく下回っていました。しかし、オバマ米大統領は2016年に1万人へ引き上げる方針を表明済み。こうした状況下、アメリカ人の多くは楽観的な見方に傾くよりパリ同時多発テロ事件でNYでの息を飲む惨状が目に浮かんだのかもしれません。全米50州のうち、実に31州の州知事はシリア及びイラクからの難民受け入れ中断の意志を表明。別の報道では32州とも伝えており、いずれにしても受け入れを継続する州はカリフォルニア州やニューヨーク州をはじめざっと15、6州に過ぎません。

大半は共和党知事州ながら、モンタナ州やニューハンプシャー州など民主党知事の州も含みます。
toprightnews
(出所:Top Right News

11月19日には、米下院で289対137で難民審査厳格化法案を可決しました。リベラル派であるはずの民主党からも、47名が支持に動いたかたちです。米上院は感謝祭の休会開けで審議を開始する見通しながら、オバマ米大統領は拒否権を発動すると公言しており、情勢は不透明です。

パリ同時多発テロ事件後、米国本土へ忍び寄る脅威を確認しただけにアメリカ人は一段と警戒感を高めつつある。米大統領候補の支持率に、明確に表れています。不動産王で暴言王のドナルド・トランプ候補は、イスラム教徒の監視を目指したシステム導入に言及。草の根保守強硬派ティー・パーティーの支持率を集めるテッド・クルーズ米上院議員(テキサス州)も「戦時下にある(at a time of war)」と煽る有様です。

おかげで、支持率は直近でトランプ候補(青 30.8%)とクルーズ議員(黒 13.5%)の上昇が目覚ましい。

realclearpolicits
(出所:Real Clear Politics

オバマ米大統領の穏健な外交政策は、ブッシュ前米大統領の反動とも言われてきました。現状の共和党・米大統領候補への支持率動向は、ネオコンが台頭した時代へのカムバックを示唆するのでしょうか。

【追記】

オバマ米大統領は、事態を重く見て6日夜に任期中で3回目となるオーバル・オフィスでの会見に臨みました。テロ対抗措置を呼びかける内容であり、足元の世論形成を無視できなかった様子が伺えます。5日のビデオ演説では銃規制強化をめぐり米大統領令の活用を目指すと発言するなど、対応に焦りを感じさせますね。

(カバー写真:Viktor Nagornyy/Flickr)

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