Service Sector Sentiment Slipped Again In January.
米ISM非製造業景況指数やマークイットが発表した景況感指数をおさらいしていきます。
米1月ISM非製造業景況指数は53.5と、市場予想の55.1を下回った。12月の55.8(55.7から上方修正)以下となり、2014年2月以来の低水準。製造業景況指数は4ヵ月連続で2009年以来の分岐点割れを示すなか、サービス活動も足並みをそろえつつある。
内訳をみると、ヘッドラインを押し下げたのはビジネス活動で前月から6ポイント以上も急低下している。新規輸出受注と仕入れ価格は、前月から分岐点割れへ戻した。そのほか新規受注や在庫も下振れし、受注残や入荷時間が改善する程度だった。詳細は、以下の通り。
・ビジネス活動 53.9、2010年3月以来の低水準>前月は59.5、6ヵ月平均は59.5
・新規受注 56.5、4ヵ月ぶり低水準<前月は58.9、6ヵ月平均は49.4
・雇用 52.1、2015年1月以来の低水準<前月は56.3、6ヵ月平均は56.2
・新規輸出受注 45.5<前月は53.5、6ヵ月平均は51.3
・在庫変化 51.5<前月は53.0、6ヵ月平均は52.8
・仕入れ価格 46.4、3ヵ月ぶりに分岐点割れ<前月51.0、6ヵ月平均は49.4
BNPパリバのデレク・リンゼー米エコノミストは、結果を受け「15業種のうち10業種が拡大を報告し、前月の11業種から低下した」と指摘。サービス業にも景気減速の波が押し寄せており、「米1月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)が12月から減速し17.5万人増になるとの当方の予想と整合的」とまとめた。
▽米1月マークイット製造業PMI確報値は下方修正、約2年ぶり低水準
米1月マークイット・サービス業PMI速報値は53.2となり、市場予想および速報値の53.7以下にとどまった。前月の54.3にも届かず。2013年10月以来の水準へ低下している。引き続き、統計が開始した2009年後半からの平均値55.8にも届いていない。内訳をみると、生産の落ち込みが激しく1年ぶりの低水準だった。一方で、新規ビジネスは改善し、雇用も4ヵ月ぶりの高水準となる。製造業と合わせた総合PMIは53.2と、速報値の53.7から下方修正された。前月の54.0以下となり、こちらも約1年ぶりの低水準となる。
クリス・ウィリアムソン主席エコノミストは、結果を受けて「ドル高のほか金融市場の悪化に加え、世界経済の不透明性、米大統領選が打撃となり、製造業だけでなくサービス業にまで悪影響を与えている」との見解を寄せた。雇用こそ4ヵ月ぶり高水準だったものの「未処理受注が足元で低下しており、雇用が力強さを維持する上では数ヵ月以内の需要回復が必要」と指摘。2016年の成長率見通しは「暖冬や在庫調整を背景に、現状で暗い」と結んだ。
――米1月ISM非製造業景況指数、米1月マークイット・サービス業PMI確報値そろって弱く、米経済に忍び寄る景気減速を感じさせます。
ブレイナード米連邦準備制度理事会(FRB)理事は3日に「足元の動向は、経過観察(watchful waiting)を余儀なくさせる」と述べ、NY連銀のダドリ―総裁も「金融環境は(12月より)非常に引き締め寄りで、金融政策を決定する上で考慮に入れなければならない」と発言するように。3月利上げの可能性を後退させてきました。フィッシャーFRB副議長もマイナス金利が海外で機能しているとの見解まで、表明するほど。年始に「今年4回の利上げ」が妥当とする認識をあらためています。
5年先・5年物ブレークイーブンインフレ率(BEI)が低下をたどり、FF先物動向も年内1回の利上げすら織り込まない状況で、日銀のマイナス金利導入もあって俄かにFedがマイナス金利を採用するとの観測まで流れてきました。ただ筆者は 1)Fedの政策対応、2)ドル高緩和、3)在庫調整の一巡、4)家計債務の縮小――を背景に米国がリセッションに陥らないと予想しています。原油先物が一段安を目指せば環境は悪化するのでしょうが、回避できれば反転も早いのではないでしょうか。
(カバー写真:Chris Goldberg/Flickr)
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