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バロンズ誌:米株に忍び寄る弱気相場入りの危機

by • February 20, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off2646

Barron’s : Beware The Risk Of Bear Market.

バロンズ誌、今週はカバーに米国の成長率を取り上げます。大胆にも2016年は、3%成長を予想。仮に景気後退入りが間近なら国内総生産(GDP)はマイナスが続き、株価は下値を追い、クレジット・スプレッドは拡大する一方でしょう。1月失業率が4.9%と最大限の雇用が接近するなか、数ヵ月内に6%台へ急伸してもおかしくない。しかし労働市場が健全で、原油安の恩恵を受け、銀行のエネルギー企業融資も全体の4%に過ぎないのであれば上半期に2.8%増、下半期に3.2%増、通期で3.0%増というシナリオが考えられるといいます。詳細は、本誌をご覧下さい。

当サイトが定点観測する名物コラム、アップ・アンド・ダウン・ウォールストリートはランダル・フォーサイス氏ではなくジョナサン・レイン氏が筆を取っています。米株の反発をテーマにした今回の抄訳は、以下の通り。

米株は17日まで3営業日続伸し、S&P500を調整相場から脱却させた。石油輸出国機構(OPEC)とロシアが産油量据え置きで協調したほか、人民元の下落一服、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁による追加緩和示唆、米1月小売売上高および米1月鉱工業生産の予想外の強さが反発を支えた。

2009年3月から始まり2015年5月と6年2ヵ月で幕を閉じたとされる強気相場の間に、相場は何度か乱気流に飲み込まれた。例えば2011年には米国の債務不履行が懸念され、S&P500は21.9%も急落。2012年には欧州の債務危機が渦を巻き春には11%、秋には9%も沈んでいる。強気相場のなかにあってこうした株安は絶好の買い場を与えた。問題は、今が買い時なのかどうかだ。

過去に学べばブル相場は世界恐慌以前に5年11ヵ月、1994〜2000年と5年以上にわたって続いた。その後、米株相場は見るも無惨な急落に喘いだことが思い出される。

ハスマン・ファンドのジョン・ハスマン氏は、足元でこうした米株安が起こるリスクを見据えている。同氏は12日に始まった3営業日続伸での上昇分は2015年5月に遂げた最高値2132から程遠く、足元の水準から40〜50%もの暴落を予想。理由として、1)GDP比での時価総額、CAPE指数などでみて現水準は割高、2)Fedのゼロ金利政策および量的緩和策の終焉——を挙げる。

投資会社ギャベカルの創立者であるシャルル・ゲイブ氏も、弱気派の一人だ。同氏によると、ベア相場は過剰に割高であるからこそ起こるのではなく、中央銀行の寛大過ぎる緩和策が引き金になるという。資本のミスアロケーションが波及するためだ。こうした資本の浪費は、海外の至るところで見られる。例を挙げれば中国の産業稼働率引き上げおよびインフラへの過度な投資配分引き上げ、石油・金属関連など後を絶たない。

CAPEレシオの生みの親でノーベル経済学省受賞者のロバート・シラー、イェール大学教授はどう捉えているのか。同教授は投資家が中国経済の減速をはじめ、イスラム国の台頭、米大統領予備選、米国での人種間対立、貧富の格差、米企業への怒りなどに心理的な影響を受けている興味深い時期にあると指摘。自身のポートフォリオについては2015年8月に米株のポジションを約半分に縮小させ、将来的には比較的割安な欧州と日本株に焦点を当てると言及している。

シラー教授、割高を理由に2015年2月時点から欧州株に関心を寄せる。
bob
(出所:CNBC)

シラー教授は、影響力のある人物の見解に耳を傾けているという。その人こそ、ローレンス・サマーズ元米財務長官で、同氏は英フィナンシャル・タイムズ紙で最近こんな論説を寄稿したばかりだ。”金融市場の脅威に注意せよ(Heed the Fears of the Financial Markets)”と題し、「米国、欧州、その他エマージング国の経済動向に対する世界的なリスクは、かつて私が記憶するなかで最大だ。政策担当者は最悪な事態に備え、最善の結果を願うべきだろう」と結んでいる。米国の投資家に宛てたメッセージとして、心に留めておいた方が良さそうだ。

米株相場に焦点を当てたコラム、ストリートワイズは米株が弱気相場に陥るサインが点灯中と伝えています。抄訳は、以下の通り。

景気後退入りがまことしやかに囁かれているが、弱気相場はリセッションと密接な関係にある。かつて弱気相場と景気後退がリンクしていなかったのは1998年に始まり、1987年、1966年、1962年の4回しかない。経済指標はまちまちでリセッションが起こるかどうか判然としないが、市場は弱気相場入りする可能性があるのだろうか。

年初からマーケットはボラティリティが非常に高い。年初からの2ヵ月半にわたり19回にわたって1%上下した一方、2015年は72回に過ぎなかった。変動率をみると、ブルーチップ指数以外はそろって弱気相場入りしている。1月20日につけた安値ベースで、ダウ輸送株は最高値から30%、小型株指数のラッセル2000は23%、MSCI世界株指数(米国を除く)は25.7%、MSCIエマージング指数は37.5%も沈んだ。こうしてみるとS&P500が1月に12.7%、ダウが13.9%までの下落にとどまったのは不自然に映る。ブルーチップ指数も、追随して弱気相場に陥るリスクが高いのではないか。

——アップ・アンド・ダウン・ウォールストリートの指摘は、株価循環説の領域を出ておらず説得力に欠ける気がします。ストリートワイズも、他の指数との比較論に走る程度で分析がない。読者として、物足りなさは禁じ得ません。カバーストーリーの「GDP3%説」も、目新しい材料に乏しい。個人的にはリセッションや弱気相場に陥るサインにどんなものがあり、現在どの程度当てはまっているのか指摘して欲しかったですね。

(カバー写真:Bernard Yong/Flickr)

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