Positive Revisions Offset Weaker Than Expected Retail Sales.
米3月小売売上高、米3月生産者物価指数、米2月企業在庫をおさらいしていきます。
米3月小売売上高は前月比0.3%減となり、市場予想の0.1%増に反し減少した。前月の±0%(0.1%減から上方修正)より弱く、マイナスに転じている。米3月新車販売台数で自動車メーカーが市場予想以下にとどまったように、自動車が鈍化材料。自動車を除いた場合は0.2%増と、前月の±0%(0.1%減から上方修正)を超えた。ただし、市場予想の0.4%増には届いていない。国内総生産(GDP)に反映されるコア小売売上高(食品サービス、自動車、燃料、建築材を除く)は0.1%増と、市場予想の0.4%増に届かず。ただし、過去2ヵ月分は上方修正(1月:0.1%増→0.3%増、2月:±0%→0.1%増)されており、1−3月期国内総生産(GDP)が下振れするリスクを回避した。
内訳をみると、主要13カテゴリー中で7項目増加。前月の5項目を上回った。建築材が前月に続き全体をけん引したほか、ヘルスケアも好調。原油価格の反発を受け、ガソリン・スタンドも力強く切り返している。一方で自動車が足を引っ張ったほか、服飾や非店舗/オンライン、外食が弱い。項目別の詳細は、以下の通り。
(プラス項目)
・建築材/園芸→1.4%増=前月は1.4%増、6ヵ月平均は1.5%増
・健康→1.0%増<前月は1.9%増、6ヵ月平均は0.6%増
・ガソリンスタンド→0.9%増>前月は5.4%減、6ヵ月平均は2.0%減
・一般小売→0.5%増>前月は0.3%減、6ヵ月平均は0.2%減(*百貨店は0.6%減>前月は0.1%減、6ヵ月平均は0.5%減)
・家具→0.3%増>前月は0.2%減、6ヵ月平均は0.1%増
・スポーツ衣料/書籍/趣味→0.2%増<前月は1.7%増、6ヵ月平均は0.4%増
・電気製品→0.1%増=前月は0.1%増、6ヵ月平均は0.5%減
・食品/飲料→±0%=前月は±0%、6ヵ月平均は0.1%増
・雑貨類→±0%>前月は0.7%減、6ヵ月平均は0.2%増
(マイナス項目)
・オンライン/非店舗→0.1%減<前月は0.1%増、6ヵ月平均は0.6%増
・外食→0.8%減<前月は1.8%増、6ヵ月平均は0.4%増
・服飾→0.9%減<前月は0.3%増、6ヵ月平均は0.1%減
・自動車→2.1%減<前月は±0%、6ヵ月平均は0.4%減
前年比は3.1%増、前年比では再び2%割れ。
(作成:My Big Apple NY)
▽米3月生産者物価指数、市場予想ほど下振れせずとも弱含み
米3月生産者物価指数(PPI)は前月比0.1%低下し、市場予想の0.3%の上昇に反し低下した。前月の0.2%の低下と合わせ、2ヵ月連続でマイナスに振れている。コアPPIは前月と同じく0.1%低下し、市場予想である0.2%の上昇にかすりもしなかった。2ヵ月連続で低下している。PPIは前年同月比で0.1%低下し、前月の±0%から下振れした。コアPPIは1.0%上昇し、前月の1.2%に届いていない。
内訳をみると、全体の6割を超えるサービスが0.2%低下し、前月の横ばいからマイナス圏へ振れた。サービスのうち3割を占める貿易が前月の0.4%の低下に続き0.5%マイナスとなったほか、1割弱を占める輸送・倉庫も2ヵ月連続で低下し0.3%落ち込んでいる。サービスのうち6割を占めるその他サービスも0.1%低下し、5ヵ月ぶりにマイナスを示した。食品は2ヵ月連続で沈み0.9%低下。一方でモノは0.2%上昇し、4ヵ月ぶりにプラス圏を回復している。エネルギーは1.8%上昇し、4ヵ月ぶりに反発した。
▽米2月企業在庫、予想通り減少し売上高はマイナス継続
米1月企業在庫は前月比0.1%減となり、市場予想と一致した。前月の0.1%減(0.1%増から下方修正)に並び、2ヵ月連続で減少。過去6ヵ月間では、4回目の減少となる。内訳をみると、製造業が0.4%減と減少トレンドを維持。卸売も0.5%増と、5ヵ月連続で減少した。一方で小売りは0.6%増と増加トレンドを保ち、ドライブ・シーズンを控え自動車が1.3%増と4ヵ月連続で増加した。自動車を除く場合は0.3%増ながら、こちらも増加基調を保つ。そのほか、一般雑貨歯0.2%増と3ヵ月連続で増加した。
企業売上高は0.4%減となり、前月の0.8%減を含め5ヵ月連続で減少。製造業が0.7%減と減少トレンドを維持している。そのほか小売も0.2%減と2ヵ月連続で減少し、卸売も0.2%減と4ヵ月連続で減少した。在庫相当は在庫と売上高がそれぞれ落ち込んだため、前月に続き1.41ヵ月と少なくとも2009年5月以来で最長を迎えた。
バークレイズのジェシー・ヒューウィッツ米エコノミストは、米3月小売売上高の結果を受けて「ヘッドラインこそ市場予想以下ながら、過去2ヵ月分のコア小売売上高が上方修正されたため、米1−3月期GDP予想を前期比年率0.3%増から0.4%増」へ引き下げた。
JPモルガンのマイケル・フェローリ米主席エコノミストは、米3月小売売上高に対し「過去分が上方修正されたとはいえ、1―3月期の個人消費が前期比年率1.7%増と失望的な水準にとどまる見通しに変わりはない」と慎重なコメントを寄せる。その上で、米1―3月期GDP予想を「0.2%増」で据え置いた。
アトランタ地区連銀は、一連の経済指標を受け1-3月期GDPの予想を従来の0.1%増から0.3%増へ下方修正した。試算開始の1.1%増を上回った水準は保つ。
――米3月小売売上高は前月分の上方修正を含んだものの、米1−3月期GDPはわずかな伸びにとどまる見通しです。結局、米1―3月期GDPがアトランタ連銀がいつぞやに示した3%超えには遠い状況。また個人的には、外食が弱含んだ点が気掛かりです。これまで小売売上高を支え、米雇用統計の非農業部門就労者数でも着実な増加を果たして来ました。しかし、米3月雇用統計では食品サービスの伸びがゆるんでしまっていたのです。単月だけでトレンドを把握できませんが、就労者数の伸びと個人消費で外食関連の項目が3月にそろって減速したのは偶然の一致と判断するのも時期尚早と言えそうです。
(カバー写真: Graeme Tozer /Flickr)
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