NY Fed Manufacturing Index Improves, Industrial Production Falls.
米4月NY連銀製造業景況指数と、米3月鉱工業生産をおさらいしていきます。
米4月NY連銀製造業景況指数(エンパイア)は9.56となり、市場予想の2より強い結果となった。前月の0.62から急伸し、2015年1月以来の高水準。2ヵ月連続で分岐点乗せを示す。項目別では、新規受注と仕入れ価格が2014年9月以来の高水準だったほか、雇用が2015年8月以来の分岐点乗せを果たしている。そのほか在庫が下げ幅を縮め、伸びを縮めたものの出荷も分岐点を維持した。詳細は、以下の通り。
エンパイア、予想以上の改善を達成(ブルーが現況、グレーが見通し)。
(出所:Federal Reserve Bank Of New York)
・新規受注 11.14、2014年9月以来の高水準で2ヵ月連続で分岐点乗せ>前月は9.57、6ヵ月平均はマイナス2.10
・出荷 10.17<前月は13.88、6ヵ月平均はマイナス0.05
・在庫 マイナス4.81>前月はマイナス6.93、6ヵ月平均はマイナス7.86
・雇用 1.92、8ヵ月ぶりに分岐点乗せ>前月はマイナス1.98、6ヵ月平均はマイナス6.25
・平均労働時間 1.92、2ヵ月連続で分岐点乗せ<1.98、6ヵ月平均はマイナス8.31
・仕入れ価格 19.23、2014年9月以来の高水準>前月は2.97、6ヵ月平均は8.29
・販売価格 2.88、3ヵ月ぶりに分岐点乗せ>前月はマイナス5.94、6ヵ月平均はマイナス2.10
・入荷時間 0.96、8ヵ月ぶりに分岐点乗せ>前月はマイナス3.96、6ヵ月平均はマイナスマイナス6.16
・受注残 マイナス0.96>前月はマイナス3.96、6ヵ月平均はマイナス2.10
6ヵ月先見通し指数は29.40と、前月の19.8を超え2015年8月以来の高水準だった。2009年2月以来の低水準だった1月の9.58から改善をたどる。項目別でも、上振れが優勢。内訳をみると、現況指数と同じく仕入れ価格(27.88>前月は19.80)が急伸したほか、出荷(37.18>前月は33.33)、設備投資(22.12>前月は15.84)、雇用(13.46>前月は12.87)、平均労働時間(10.58>前月は4.95)が上昇した。一方で、新規受注(36.55<前月は38.96)をはじめ在庫(マイナス1.92<前月は10.89)、販売価格(5.77<前月は7.92)は低下した
▽米3月鉱工業生産、製造業と公益がそろって弱く2ヵ月連続で減少
米3月鉱工業生産指数は前月比0.6%低下し、市場予想の0.1%の低下より下げ幅を広げた。前月の0.6%の低下(0.5%から下方修正)に続き下振れし、過去6ヵ月で5回目のマイナスに。稼働率は74.8%と、市場予想の75.3%を下回った。前月の75.3%(76.7%から過剰修正)以下に終わり、2010年10月75%割れを迎えている。リセッション前の80%回復にはまだ遠い。
内訳をみると、製造業が0.3%低下し2ヵ月連続で下振れした。米3月新車販売台数が失速したように、自動車が弱い。自動車を除いた製造業は0.1%の低下と製造業全体より下げ幅を縮め、前月の0.2%からも小幅改善していた。自動車の落ち込みをコンピューター・電子機器が抑制している。公益は1.2%低下し、2ヵ月連続でマイナス圏を保った。平年を上回る気温を受けて暖房需要が後退したためで、引き続き電力や天然ガスが押し下げた。鉱業も、前月から低下に転じた。
・製造業 0.3%の低下、2ヵ月連続で低下>前月は0.1%の低下、6ヵ月平均は±0%
あ自動車 1.6%の低下<前月は0.8%の低下、6ヵ月平均は0.2%の上昇
あ機械 0.4%の低下<前月は0.1%の上昇、6ヵ月平均は1.0%の低下
あコンピューター/電気製品 0.9%の上昇>前月は0.5%の上昇、6ヵ月平均は0.3%の上昇
・公益 1.2%の低下>前月は3.6%の低下、6ヵ月平均は1.3%の低下
あ電力 0.8%の低下>前月は3.4%の低下、6ヵ月平均は1.3%の低下
あ天然ガス 4.6%の低下>前月は5.5%の低下6ヵ月平均は1.1%の低下
・鋼業 2.9%の低下、少なくとも6ヵ月連続でマイナス<前月は1.0%の低下、6ヵ月平均は1.7%の低下
鉱工業生産は、前年比は2009年以来のマイナスに突入。
JPモルガンのダニエル・シルバー米エコノミストは、鉱工業生産のうち「製造業の生産は今回0.3%低下したほか、2月分も0.1%の上昇から0.1%の低下へ下方修正された」ほか、鉱業も原油安を受けて弱く「1-3月期は在庫調整やドル高も重なって、生産が圧迫された」と振り返る。暖冬の影響で公益も下振れした点を挙げつつ、最悪期は脱したとの認識でNY連銀製造業景況指数がその証左と指摘。ISM製造業景況指数換算でエンパイアは「前月の51.1から51.9と、それ以前の7ヵ月平均値45.2から大幅に改善した」ことから、製造業の回復を見込む。
――幸先よく、製造業景況指数は春爛漫の上昇を遂げました。しかし、アトランタ連銀に続いて成長率予想を掲げるNY連銀は、米3月小売売上高や米3月鉱工業生産を受け1-3月期国内総生産(GDP)の予想を1.1%増から0.8%増へ下方修正したものの、アトランタ連銀の予想値0.3%増を上回ります。2014~2015年に続き成長率は1%割れにとどまる見通しとはいえ、少なくとも1~3月期以降は製造業が大きく足を引っ張るリスクは後退しています。
(カバー写真:auddess/Flickr)
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