Consumer Confidence Revised Down As Inflation Expectation Rebounds.
米6月ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値は93.5と、市場予想の94.1並びに速報値の94.3を下回った。2015年6月年以来の高水準となる前月の94.7にも届かず。内訳をみると、現況指数こそ110.8と速報値の111.7を下回りつつ、前月の109.9を超え2007年1月以来の高いレベルだった。見通し指数は82.4と、こちらも速報値の83.2から下方修正。約1年ぶりの高水準である前月の84.9を下回った。米連邦公開市場委員会(FOMC)で据え置きを決定した一方で、米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長がハト派寄りのスタンスを表明。投票メンバーのセントルイス連銀総裁が2018年までの据え置きを主張するなか、米5月雇用統計に端を発した米経済鈍化懸念を煽りセンチメントを押し下げたとみられる。
原油先物が約10ヵ月ぶりに50ドルを超えに乗せた影響で、インフレ見通しは1年先につき2009年9月以来の低水準となる速報値の2.4%から2.6%へ上方修正された。5−10年先も速報値こそ過去最低の2.3%だったが、今回は2.6%と3ヵ月ぶりの水準へ切り返した。
ミシガン大学の主席エコノミスト、リチャード・カーティン氏は、今回の結果を受け「景気後退を予想していないものの、消費者は向こう1年間でのさらなる成長鈍化を見込んでいる」と指摘した。その一方で「家計見通しは個人消費が比較的力強い水準で推移し、経済拡大を支援する可能性を示す」と分析。米1~3月期国内総生産(GDP)改定値でみせた減速に比べればミシガン大学消費者信頼感指数は堅調で、過去平均の92.6を上回る水準であり、「2016年の米成長率は2.0%を少し下回る程度」を予想した。個人消費は2016年につき「2.5%増」で据え置き、2017年は「2.7%増」と見込む。
ミシガン大消費者信頼感、見通し指数が下向きヘッドラインの伸びを抑制。
・1年先の家計見通し指数 125=速報値は125、前月は128と直近で最高
向上する 34<速報値は35、前月は37
変わらず 54>速報値と前月は51
悪化する 9<速報値は10、前月は9
・所得と物価の伸び率に対する1−2年先の家計指数は84=速報値は84、前月は82
所得の伸びが物価を上回る 23<速報値は26、前月は24
所得の伸び率と物価が同じ 36>速報値は31、前月は32
所得の伸びが物価を下回る 39<速報値と前月は42
・所得が1年先に拡大するとの回答
今回 50.7と直近で最高>速報値は49.9%、前月は49.8%
・1年先のビジネス見通し指数 103=速報値は103、前月は106
向上する 24<速報値は25と少なくとも1年ぶりの高水準、前月は24
変わらず 50>速報値は48、前月は55
悪化する 21<速報値は22、前月は18と直近で最低
・1年先の失業率見通し指数 90<速報値は93、前月は97
低下する 18=速報値は18、前月は21
変わらず 54<速報値は56、前月は54
上昇する 28>速報値は25、前月は24
・1年先の金利見通し指数 47>速報値は43、前月は50(低下を見込む場合に指数は上昇)
低下する 7=速報値は7、前月は6
変わらず 32>速報値は28、前月は37
上昇する 60<速報値は64と5ヵ月ぶり高水準、前月は56
・1年先のガソリン価格指数 20.0、5ヵ月ぶり低水準=速報値は20.0、前月は21.2(値上がりを見込む場合に指数は上昇)
下落する 5=速報値は5、前月は4
変わらず 36>速報値は35、前月は37
上昇する 58<速報値は59、前月は58
・自動車購入指数 145>速報値は144、前月は152
買い時 70=速報値は70、前月は74と4ヵ月ぶりの高水準
分からない 5>速報値は4、前月は4
買い時ではない 25<速報値は26、前月は22と4ヵ月ぶりの低水準
・住宅購入指数 154<速報値は155、前月は156
買い時 76=速報値は76、前月は77
分からない 2<速報値は3、前月は2
買い時ではない 22>速報値は21、前月は21
・主要機器 164<速報値は167と7ヵ月ぶり高水準、前月は162
買い時 79、5ヵ月ぶり高水準=速報値は79>前月は78
分からない 6<速報値は9と3ヵ月ぶり高水準、前月は6
買い時ではない 15>速報値は12と直近で最低、前月は16
――米6月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値は、以下の興味深い点が浮き彫りとなりました。
1)1年先の家計見通し指数をはじめ所得と物価の伸び率を踏まえた1−2年先の家計見通し、ビジネス指数は横ばいも、所得が1年先に拡大するとの回答が上昇
2)1年先の失業率見通し指数は低下、
3)1年先のガソリン価格が上昇する見通しは横ばいながら、1年先金利見通しは低下、1年先及び5-10年先インフレ見通しと足並みをそろえ金利上昇懸念の台頭を現す
4)購入見通し指数は金利上昇懸念から住宅と主要機器が低下も、自動車は上昇
米6月ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値は速報値から下方修正されたとはいえ、全体的にまちまちでした。購入見通し指数をはじめ一部が小幅低下にとどまった半面、失業率の見通しがやや弱含みつつ所得が拡大する回答が増加するなど、良くも悪くもない結果となっています。問題はBREXITにどこまで反応するかであり、米株安と合わせ消費抑制につながるか。
筆者は、こちらで説明させて頂いたようにBREXITで米景気が鈍化しても、個人消費が支え景気後退に陥らないと考えます。1)米国の利上げ見送り、2)低金利、3)低推移するガソリン価格、4)輸入品の価格下落、5)流動性不足を確認せず、5)各国での景気刺激策への期待、――といった要因が奏功し、少なくとも米国が連続利下げを余儀なくされる事態を回避できるのではないでしょうか。リーマン・ショックのような未曾有の危機は、住宅という家計の根幹に直接ダメージが及ぶ場合に生じうる。米7~9月期に成長が減速したところで、成長が鈍化しても1%を小幅に割り込む程度ではないかと見ています。
(カバー写真:The DEMO Conference/Flickr)
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