2017 Ford Escape

米6月新車販売台数、単月ベースでは約2年ぶりの水準へ減速

by • July 4, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off2376

New Car Sales Fall To 2-Year Low, A Sign Of Slowing?

ワーズオートが発表した米6月新車販売台数は、年率換算で前月比4.4%減の1661万台と市場予想の1730万台を上回った。前月の1737万台以下にとどまり、3ヵ月ぶりに1700万の大台を割り込んでいる。単月ベースでも前月比4.3%減の127.6万台となり、市場予想の134.0万台に届かず。2014年4月以来の水準へ減少した。金利が低下したものの、1)ガソリン価格の上昇、2)予想外に低い伸びにとどまった米5月雇用統計、2)BREXIT問題――により、需要が下振れしたとみられる。営業日が2015年6月から1日延びたものの、力不足に終わった格好だ。なお、ワーズオートの数字は米国内総生産(GDP)の算出に使用される。

オートデータが発表した米5月新車販売台数は、前年同月比2.5%増の151万3997台だった。前月の153万6276台からは、減少している。年率ではワーズオートと同じく、1666万台と前月の1745万台を大きく下回り3ヵ月ぶりに大台割れ。米1-3月期のシニア融資担当者調査では自動車ローンの融資条件の引き締めより緩和が多かったものの、需要鈍化を確認した。なお2015年9~11月に2000年以来となる1800万台を突破したため、2015年は前年比5.7%増の1747万台と2000年に樹立した1735万台を突破し過去最高を塗り替えた。

上半期ベースでは前年同期比1.5%増の864万4920台となり、2001年以来で最高を記録した。メーカー別では首位のゼネラル・モーターズが4.4%減ながら143万8915台。2位はフォードで4.4%増だった。3位のトヨタは熊本地震の影響で生産を休止した影響で2.7%減の119万800台と減少したほか、マツダも8.6%減と弱い。その他5位の日産は8.4%増、6位のホンダは5.2%増だった。

6月の単月動向をメーカー別でみると、GMとクライスラー、トヨタ、ホンダが市場予想以下に終わった。一方でフォードや日産は、市場予想を超える好結果を示し、全体的にまちまち。車種では、比較的トラックをはじめスポーツ多目的車(SUV)の販売の勢いが失われていた。ガソリン価格が2月に一時1.724ドルと2004年3月以来の安値をつけた後、6月に一時2.399ドルまで上昇した余波とみられる。また、セダンや小型車もまちまちだった。

ケリー・ブルー・ブックによると、6月の平均販売価格は前年同月比2.0%上昇の3万3652ドル(約370万円)だった。5月の3.5%以下となる。前月比では0.1%上昇し、前月の0.3%の低下から反転した。メーカー別の平均価格を前月比でみると、下落が優勢。排ガス不正問題に揺れるVWが0.6%下落し、2ヵ月連続でマイナスに振れている。同メーカーは2015年9~11月の下落を経て、同年12月と2016年1月に3%近い上昇、以降は下落傾向をたどる状況だ。そのVWより下げ幅が大きかったメーカーは新たにリコール問題が発覚したスバルで1.0%下落、ヒュンダイ・キアも0.7%下落した。その他GMとフィアット・クライスラーがそれぞれ0.1%下落した。前年比ではVWが1.5%下落した程度で、他はすべて上昇した。

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(出所:Kelley Blue Book)

2016年の新車販売台数につき、自動車価格情報サイトのトゥルーカーは「1800万台」を予想する。ただし、伸び率は3%台とし、2015年の5.7%を下回る見通しだ。全米自動車協会は「1770万台」となる。いずれの数字も、2015年を超える公算だ。以下、米国をはじめメーカー別動向。

GMは前年同月比1.6%減の25万5210台となり、市場予想の0.7%減より下げ幅を広げた。2ヵ月連続で減少している。小売販売台数では1.2%増の20万9295台で、13ヵ月ぶりに減少に反転した5月から増加に反転。新車販売台数での4大ブランド別では、前月まで2ヵ月連続で全滅だったが、今回は2ブランドで増加。小売販売台数も3ブランドで増加し、前月のゼロから改善した。2016年通期の新車販売台数は1730万台を見込み、前月の1720万台から引き上げた。新車販売台数の詳細は、以下の通り。

・キャデラック 5.5%増の1万4263台、4ヵ月ぶりに増加
→小売販売台数は4.6%増の1万3490台だった。SUVで売れ筋の「SRX」が74.2%減の1482台と2ヵ月連続で減少したものの、「エスカレード」が16.9%増の1181台、「エスカレード ESV」が19.1%増の1181台と支えた。

・シボレー 0.1%増の18万1387台、3ヵ月ぶりに増加
→小売販売台数は2.5%増の14万1091台で、13ヵ月ぶりに減少した前月から増加に反転。単月では、2006年以来の高水準となる。セダンの「インパラ」が46.7%増の1万2335台と前月分の減少を打ち消したものの、小型車「クルーズ」も17.6%減の1万8666台と2ヵ月連続で2桁減。SUVの「エキノックス」も10.0%減の1万9582台、「シルバラードも3.7%減の4万9662台と弱い。

・GMC 8.6%減の4万2985台、3ヵ月連続で減少
→小売販売台数は4.5%減の3万8674万台と、2ヵ月連続で減少。SUVの「アルカディア」が34.2%減の6200台と2ヵ月連続で2桁減だったほか、主力の「シエラ」も7.8%減の1万7162台と2ヵ月連続で弱く、7車種中で4車種が減少した。

・ビュイック 5.5%減の1万4263台、4ヵ月連続で減少
→小売販売台数は1.7%増の1万6040台と、増加に反転。「アンコール」が10.2%増の6091台だったものの、「ラクロス」をはじめ4車種が2桁減だった。

日本とインド市場からの撤退を決定したフォードは前年同月比6.4%増の24万109台となり、市場予想の4.9%増より加速した。2大ブランド別では、それぞれ増加。フォードが増加に反転し、リンカーンも4ヵ月ぶりに増加に転じた。詳細は、以下の通り。

・フォード 6.4%増の23万1300台、前月から増加に反転
→アルミ製ボディのトラック「Fシリーズ」が28.6%増の7万937台と、4ヵ月連続で増加し、7万の大台を回復した。ただし、前月に続きこれまで好調だったSUVはまちまち。「エクスプローラー」は14.8%減の1万7356台だった半面、「エスケープ」は20.2%増の2万9003台だった。小型車もまちまちで「フォーカス」は11.6%減の1万9491台と2ヵ月連続で減少、「フィエスタ」も49.0%減の4064台と弱い。一方、「フュージョン」は4.4%増の2万6520台と増加に転じた。

・リンカーン 6.9%増の9807台、6ヵ月連続で増加
→新型「MKX」が27.4%増の27466台と、7ヵ月連続で大幅増を迎えた。

フィアット・クライスラー・オートモビルは前年同月比6.5%増の19万7073台となり、市場予想の8.9%増に及ばなかった。もっとも前年比プラスは75ヵ月連続で、単月ベースでは2005年以来の高水準。5大ブランド別では3ブランドで増加し、前月の1つから改善した。詳細は、以下の通り。

・ジープ 17%増の8万3691台、33ヵ月連続で増加
→単月ベースでは、2013年11月以来続く過去最高をたどる。新しく投入された「レネゲード」が99%増の9688台だったものの1万の大台からは減速。6車種中では5車種が増加し、「チェロキー」に加え「ラングラー」以外が全て増加し4車種で過去最高を塗り替えた。

・ラム 14%増の4万4819台、前月から増加に反転
→主力の「ラム」が14%増の3万8126台と前月から増加に転じ2004年以来で最高だったほか、「プロマスター・シティ」が125%増の997台だった。

・ドッジ、3%増の4万4819台、3ヵ月ぶりに増加
→主力の「キャラバン」が79%増の1万3473台と勢いを維持したものの、「チャレンジャー」が20%減の6223台、「チャージャー」も19%減の6223台だった。

・クライスラー 20%減の2万4747台、5ヵ月連続で減少
→ミニバン「タウン・アンド・カウンティ」が27%減の6054台と減少に転じたほか、その他セダンの「200」58%減の7817台だった。

・フィアット 19%減の2544台、6ヵ月連続で減少
→新型「500X」が257%増の1156台だったが、その他「500」や「500L」などが軒並み2ケタ減を示した。

日本車では、トヨタが5.6%減の19万8257台と市場予想の3.6%増に反し減少した。2ヵ月連続で減少している。ブランド別では、トヨタとレクサスがそろって減少。営業日ベースでは、全体で9.2%減へ下げ幅を拡大するという。詳細は、以下の通り。

・トヨタ 6.2%減の17万2478台、2ヵ月連続で減少
→引き続きSUVやトラックが牽引し、日本では来春に販売・生産を打ち切る計画のSUV「RAV4」が10.2%増の2万365台と8ヵ月連続で単月での記録を塗り替えた。セダンでは「カローラ」が1.0%増の3万950台と増加した一方、「カムリ」は13.0%減の3万2651台にとどまった。

・レクサスは1.3%減の2万5779台、4ヵ月連続で減少
→これまで堅調だったSUVやトラックは7.1%増の1万4518台で、4車種中3車種で増加し前月の2車種から増加した。反対に乗用車部門は13.9%減の9万6620台で、7車種中の5車種で減少した。

ホンダは前年同月比3.2%増の13万8715台となり、市場予想の9.4%増に届かなかった。ブランド別では、ホンダが増加に転じた半面、アキュラは、3ヵ月ぶりに減少した。詳細は、以下の通り。

・ホンダ 7.1%増の12万7363台、前月から増加に反転
→単月で最高を達成。SUVの「CR-V」が4.5%増の2万9615台と過去最高を更新。セダンも良好で「シビック」は10.7%増の3万1810台、「アコード」は4.8%増の2万5606台だった。た
・アキュラ 26.9%減の1万1352、2ヵ月連続で2桁減
→主力の「RDX」、「MDX」がそれぞれ28.9%減、19.0%減とそれぞれ減少した。

日産は13.1%増の14万553台となり、市場予想の7.2%増を上回った。2大ブランドは、それぞれ増加。日産は増加に転じ、インフィニティは4ヵ月連続で増加した。詳細は、以下の通り。

・日産 13.4%減の12万9495台、増加に反転
→SUV・トラックで主力の「ローグ」が26%増の2万9246台と堅調なペースを保った上、主力のセダン「アルティマ」も0.4%増の3万475台と増加に転じた。

・インフィニティ 10.7%増の1万1058台、4ヵ月連続で増加
→SUVの「QX60」が45.9%増の4380台と4ヵ月連続で増加し、「QX50」も305%増の1689台と好調。反対にセダン「Q50」が32.3%減、「Q60」も78.4%減だった。

その他の海外メーカーでは、フォルクスワーゲン(VW)が21.8%減の2万3809台だった。排ガス不正が発覚した2015年9月、および同年10月は値下げ効果もあって小幅な増加にとどまったが、同年11月にガソリン車にも火種が及んだ影響からか以降は7ヵ月連続で減少。ただしアウディが1.0%増の1万8445台と増加トレンドをたどり、グループ全体では13.2%減の4万2521台へ下げ幅を縮めた。ヒュンダイは±0%の6万7511台と増加トレンドを2ヵ月で止めた。キアは15.6%増の6万2572台と前月に続き増加した。燃費不正が発覚し日産の傘下入りが決定した三菱自動車は0.8%増の8023台で、前月から増加に反転。テスラ(推計値)は55.0%増の3100台で、ガソリン価格が上向くなかで快走した。ただし、6月末に自動運転中(オートパイロット)の衝突事故が発生したため、今後影響が現れるか注目だ。

自動車メーカーからディーラーへの1台当たりインセンティブは前年同月比8.6%上昇の3116ドルで、前月の7.1%を超えた。前年比での伸び率はフォードが35.5%と前月に続き2桁増と圧倒的で、次いでBMWが22.0%、フィアット・クライスラーが20.9%と並ぶ。排ガス不正問題に揺れるVWは15.7%と、こちらも2桁増だった。

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販売価格に対するインセンティブ割合で1位はフィアット・クライスラー、2位はキア、3位は日産。

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(出所:Truecar)

高級車部門別ランキングは、以下の通り(%は全て前年比)。今回、高級車御三家のメルセデス・ベンツ、レクサス、BMWがトップ3を維持した。1月に3位の座をビュイックに譲ったBMWはインセンティブを引き上げ販売台の維持に努めた結果、今回はレクサスを抜いて2位に躍り出た。

1位 メルセデス・ベンツ 3.5%増の3万1558台
→1~5月に続き、首位を堅持した。年初来でも±0%ながら、17万8539台でトップに君臨している。2015年は、4.7%増の37万2,977台でトップ。2013年は1位だったが、2014年ではBMWに1位を明け渡していた。

2位 BMW 10.3%減の2万8855台
→1月はまさかのトップ3圏外だったが、2~3月の3位を経て4~6月は2位を維持。年初来では9.0%減の15万3436台となり、これまで2位だったレクサスを抜いて2位へ浮上した。2015年は1.8%増の34万6,023台で、首位の座を宿敵メルセデス・ベンツに明け渡していた。2014年では1位、2013年は2位だった。

3位 レクサス 1.3%減の2万5579台
→1~3月の2位から、4月に続きBMWの追撃を受け3位にダウンした。年初来では4.6%減の15万1564台と、BMWに追い抜かれてしまっている。2015年は10.7%増の34万4,601台で3位。2011年まで11年間連続で首位を飾ったが、東日本大震災後に順位を落とし2014年、2013年、2012年に続き3位にとどまる。

4位 アウディ(VW)1.0%増の1万8445台
→VWショックに揺れるなか、前に続き4位。一時期の7位からは回復している。年初来では3.5%増の9万6934台で、5位を維持した。2015年は11.1%増の20万2,202台で、5位だった。

5位 ビュイック(GM)5.5%減の1万6575台
→前月に続き、5位。年初はBMWを振り切って3位へ急伸したものの、以降はトップ3圏外へ戻す。年初来では2.0%減の10万4207台 と4位を保ったが、アウディが虎視眈眈と追走しつつある。2015年は2.6%減の22万3,055台で4位だった。

6位 キャデラック 5.5%減の1万4263台
→前月の7イからアウディを振り切り6位へ浮上した。年初来では9.5%減の7万3231台で、7位を堅持。2015年は2.6%増の17万5,262台で、7位だった。

7位 アキュラ 26.9%減の1万1352台
→キャデラックに抜かれ、前月の6位から7位へ転落。年初来では9.3%減の7万8994台で6位を維持。2015年は5.6%増の17万7,165台で6位に収まっていた。

8位 インフィニティ 10.7%増の1万1058台
→2月まで8ヵ月連続で8位を経て、3月に7位へ浮上した後で4~5月に続き8位にとどまった。年初来では、1.1%増の5万3297台で8位となる。2015年も13.8%増の13万3,498台で8位だった。

最新版:自動車メーカー別のシェアの1位はGM、2位フォード、3位トヨタで変わらず。ただし、トヨタとフィアット・クライスラーの差はわずか0.1%へ縮小している。VWは1−2月こそスバルに8位の座を明け渡し3−4月はスバルに並んで8位だったが、5月の単独8位を経て再びスバルに並んだ。

USA auto industry market share chart May 2016
(出所:Good Car Bad Car)

新車販売台数:モデル別ランキング(%は前年同月比)で、今回はトヨタの「Rav-4」、ホンダの「アコード」が圏外に転落した。一方で日産の「ローグ」、「アルティマ」が代わりにランクインしている。

1位 Fシリーズ(フォード)28.6%増の7万937台、前月も1位
2位 シルバラード(GM)3.7%減の4万9662台、前月も2位
3位 ラム(フィアット・クライスラー)14.4%増の3万8126台 前月も3位
4位 カムリ(トヨタ)13.0%減の3万2561台、前月も4位
5位 シビック(ホンダ)10.7%増の3万1810台、前月も5位

6位 カローラ(トヨタ)1.0%増の3万950台、前月も6位
7位 アルティマ(日産)3.6%増の3万475台、前月は11位
8位 CR-V(ホンダ)4.5%増の2万9615台、前月は10位
9位 ローグ(日産)25.8%増の2万9246台、前月も12位
10位 エスケープ(フォード)20.2%増の2万9003台、前月は9位

SUV版:新車販売台数、ブランド別ランキング(%は前年同月比)今回はスバルの「フォレスター」が圏外に落ち、代わりにヒュンダイの「サンタフェ」がランクインした。前年比で減少した車種は3つで、前月の5つから減少した。

1位 CR−V(ホンダ)4.5%ぞうの2万9615台、前月は3位
2位 ローグ(日産)25.8%増の2万9246台、前月は4位
3位 エスケープ(フォード)20.2%増の2万9003台、前月は2位
4位 RAV 4(トヨタ)10.2%増の2万7365台 前月まで1位
5位 エクスプローラー(フォード)9.7%減の2万356台、前月も5位

6位 ジープ・ラングラー(フィアット・クライスラー)4.7%増の1万9582台、前月は7位
7位 エキノックス(シボレー)10.0%減の1万9582台、前月は6位
8位 サンタフェ(ヒュンダイ)75.6%増の1万8345台、前月は12位
9位 ジープ・グランドチェロキー(フィアット・クライスラー)8.7%増の1万6810台、前月も9位
10位 ジープ・チェロキー(フィアット・クライスラー)12.1%減の1万6243台、前月は8位

(カバー写真:Ford/Good Car Bad Car

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