Core Inflation Edges Up On YOY, Consumer Sentiment Falls In July.
米6月消費者物価指数と、米7月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値をおさらいしていきます。
米6月消費者物価指数(CPI)は前月比0.2%上昇し、市場予想の0.3%に届かなかった。前月と変わらず、2013年2月以来の強い伸びを達成した4月の0.4%から鈍化をたどる。原油先物が一時50ドル台を回復したものの、エネルギーが4ヵ月連続で上昇したとはいえ1.3%と前月の1.2%とほぼ変わらず。ガソリン価格は前月の2.3%から3.3%と、加速に反転した。エネルギー情報局(EIA)によると、ガソリン平均価格は2月に一時1.724ドルへ下落し2009年3月以来の2ドル割れを示した後、6月に一時2.399ドルまで上昇。ただし、月末にかけ2.329ドルまで下落し前月比での伸びを抑えた模様だ。食品・飲料は0.1%低下し、2ヵ月連続でマイナスを示した。
CPIコアは前月比0.2%上昇し、市場予想及び前月に並んだ。2011年8月以来の高水準に並んだ2月の0.3%で、いったんのピークアウトを示す。項目別動向は、以下の通り。
・帰属家賃 0.2%の上昇<前月は0.3%の上昇、6ヵ月平均は0.3%の上昇
・家賃 0.4%の上昇=前月は0.4%の上昇、3ヵ月平均は0.4%の上昇
・住宅 0.3%上昇<前月は0.4%の上昇、6ヵ月平均は0.2%の上昇
・サービス 0.3%の上昇=前月は0.3%の上昇、6ヵ月平均は0.3%の上昇
・医療費 0.4%の上昇>前月は0.3%の上昇、6ヵ月平均は0.4%の上昇。
・服飾 0.4%の低下<前月は0.8%の上昇、6ヵ月平均は0.2%の上昇
・娯楽 0.1%>前月は0.1%の低下、6ヵ月平均は0.2%の上昇
・教育 0.1%の上昇>前月は0.1%の低下、6ヵ月平均は±0%
・中古車 1.3%の低下<前月は0.3%の低下、3ヵ月平均は0.2%の低下
・新車 0.2%の低下<前月は0.1%の低下、3ヵ月平均は0.9%の低下
・航空運賃 1.6%の上昇>前月は1.5%の低下、3ヵ月平均は0.4%の上昇
CPIの前年比では4~5月と同じく1.0%上昇となり、市場予想の1.1%以下に収まった。2014年10月以来で最高を示した1月の1.4%以下にとどまる。CPIコアの前年比は市場予想並びに前月の2.2%を超え、2.3%の上昇となり2012年5月以来の高水準に達した2月に並んだ。
コアCPI、Fedが注目するコアPCEとともに前年比で伸び悩み。
JPモルガンのジーナ・ブシュラ・サイード米エコノミストは、結果に対し「サービスのコアが伸びた一方でモノは軟調だった」と指摘。前年比のCPIコアこそ上向いたものの、コアPCEは「6月に前年同月比1.6%と5月の水準に並ぶ」と予想し、加速する可能性を見込んでいない。
▽米7月ミシガン大学消費者信頼感・速報値、BREXIT懸念から3ヵ月ぶり低水準
米7月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値は89.5と、市場予想並びに前月の93.5以下に終わった。2015年6月年以来の高水準となる5月の94.7から遠くかけ離れ、3ヵ月ぶりの水準へ下振れしている。内訳をみると、現況指数が108.7と前月の110.8を下回り3ヵ月ぶりの低水準だったほか、見通し指数も77.1と前月の82.4以下となっただけでなく2014年9月以来の水準へ減速。英国民投票が欧州連合(EU)離脱を決定した直後の反応は限定的だったが、寄せられた回答からは同問題への懸念が台頭していた。
原油先物が足元50ドル台から離れつつあるが、インフレ見通しは1年先につき2.8%と前月の2.6%を上回った。3ヵ月ぶりの高水準に並ぶ。5−10年先と前月に続き2.6%となる。
ミシガン大学の主席エコノミスト、リチャード・カーティン氏は、今回の結果を受け「高所得者層を中心に米経済見通しに懸念が寄せられた」と指摘した。背景に「BREXIT」があり、「上位3位の所得層は経済に関するニュースで最も耳にしたニュースにつき『BREXIT』を挙げ、株価下落が直接保有する資産に影響を与えたとみられる」と説明する。ただBREXITに端を発した米株安は一時的で最高値を更新する動きに突入したため、「7月後半から8月にかけ回復する」と予想。家計や購入見通しにBREXITの影響がみられなかったこともあり、2016年の個人消費予想を従来の2.5%増から「2.7%増」へ引き上げた。2017年は、同水準で据え置いた。
ミシガン大消費者信頼感、見通し指数が下向きヘッドラインの伸びを抑制。
(作成:My Big Apple NY)
・1年先の家計見通し指数 124、3ヵ月ぶり低水準<前月は125
向上する 34=前月は34
変わらず 53<前月は54
悪化する 10、3ヵ月ぶり高水準>前月は9
・所得と物価の伸び率に対する1~2年先の家計指数は76、3ヵ月ぶり低水準<前月は84
所得の伸びが物価を上回る 18、直近で最低<前月は23
所得の伸び率と物価が同じ 38、直近で最高>前月は36
所得の伸びが物価を下回る 42>前月は39
・所得が1年先に拡大するとの回答
今回 50.8%と直近で最高>前月は50.7%
・1年先のビジネス見通し指数 99、3ヵ月ぶりの低水準<前月は103
向上する 21、3ヵ月ぶりの低水準<前月は24
変わらず 53>前月は50
悪化する 22、3ヵ月ぶりの高水準>前月は21
・1年先の失業率見通し指数(低下を見込む場合に指数は上昇) 86、3ヵ月ぶりの低水準<前月は90
低下する 17、3ヵ月ぶりの低水準<前月は18
変わらず 51、直近で最低<前月は54
上昇する 31、3ヵ月ぶりの高水準>前月は28
・1年先の金利見通し指数(低下を見込む場合に指数は上昇) 57、直近で最高>前月は47
低下する 7=前月は7
変わらず 41、直近で最高>前月は32
上昇する 50、直近で最低<前月は60
・1年先のガソリン価格指数(値上がりを見込む場合に指数は上昇) 17.0、直近で最低<前月は20.0
下落する 6、5ヵ月ぶりの高水準>前月は5
変わらず 40、6ヵ月ぶりの高水準>前月は36
上昇する 53、6ヵ月ぶりの低水準<前月は58
・自動車購入指数 147>前月は145
買い時 70=前月は70
分からない 7、4ヵ月ぶりの高水準>前月は5
買い時ではない 23<前月は25
・住宅購入指数 150<前月は154
買い時 74、直近で最低<前月は76
分からない 2=前月は2
買い時ではない 24、直近で最高>前月は22
・主要機器 161、3ヵ月ぶりの低水準<前月は164
買い時 77<前月は79、5ヵ月ぶり高水準
分からない 7、3ヵ月ぶりの高水準>前月は6
買い時ではない 16>前月は15
――米6月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値は、以下の興味深い点が浮き彫りとなりました。
1)1年先の家計見通し指数をはじめ所得と物価の伸び率を踏まえた1−2年先の家計見通し、ビジネス指数、失業率1~2年先見通しがそろって3ヵ月ぶり低水準
2)1年先のガソリン価格、1年先金利見通しはともに上昇を見込まず
3)購入見通し指数は自動車が上昇した一方、主要機器のほか金利低下観測にも関わらず住宅が低下
米7月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値は、BREXITの余波が如実に現れました。逆に言えば金利低下見通しやガソリン価格の低下見通しに支えられ、株高局面では回復が早い可能性を示唆します。また所得が1年先に拡大するとの回答も直近で最高となり、消費者のセンチメントがBREXIT後に悲観へ傾いたとも言えず。確報値では、上方修正の余地が残ります。
(カバー写真:daneshj/Flickr)
Comments
米7月NY連銀製造業景況指数は低下、雇用は分岐点割れ Next Post:
米7月NAHB住宅市場指数、金利低下局面でも前月以下