Empire State Manufacturing Index Retreats After Strong June.
米7月NY連銀製造業景況指数、米6月鉱工業生産をおさらいしていきます。
米7月NY連銀製造業景況指数(エンパイア)は0.55となり、市場予想の5.00を下回った。前月の6.01にも届かず。項目別では、新規受注や雇用が再び分岐点を割れ。また出荷や平均労働時間など前月以下も優勢となっている。詳細は、以下の通り。
エンパイア、現況指数と見通しそろって上昇(ブルーが現況、赤が見通し)。
(出所:Federal Reserve Bank Of New York)
・新規受注 マイナス1.82<前月は10.09、6ヵ月平均は2.10
・出荷 0.7、2ヵ月連続で分岐点乗せ<前月は9.32、6ヵ月平均は3.43
・在庫 マイナス8.79、5ヵ月連続で分岐点割れ>前月はマイナス15.31、6ヵ月平均はマイナス7.19
・雇用 マイナス4.4<前月はゼロ、6ヵ月平均はマイナス0.57
・平均労働時間 マイナス5.49、3ヵ月連続で分岐点割れ<前月はマイナスマイナス5.10、6ヵ月平均はマイナス3.49
・仕入れ価格 18.68>前月は18.37、6ヵ月平均は13.15
・販売価格 1.1>前月はマイナス1.02、6ヵ月平均はマイナス1.84
・入荷時間 3.3、3ヵ月ぶりに分岐点乗せ>前月はマイナス2.04、6ヵ月平均はマイナス1.66
・受注残 マイナス12.09、4ヵ月連続で分岐点割れ<前月はマイナス10.20、6ヵ月平均はマイナス6.73
6ヵ月先見通し指数は29.74と、2015年4月以来の高水準だった前月の34.84を下回った。項目別では、まちまち。現況指数と同じく新規受注(29.05<前月は38.24)、仕入れ価格(26.37<前月は29.59)が前月以下にとどまる。在庫(マイナス3.3<前月は3.06)と、3ヵ月ぶりに分岐点を割り込んだ。平均労働時間も(マイナス6.59<2.04)と、2015年9月以来の分岐点割れを示す。ただし、出荷(29.84>前月は29.13)のほか設備投資(12.70>前月は11.22)、販売価格(7.69>前月は7.14)が上昇。現況指数で鈍化した雇用(<前月はマイナス2.04)に至っては、2012年11月以来の分岐点割れへ沈んだ前月からプラスを回復した。
▽米6月鉱工業生産はプラス反転、稼働率も75%台を回復
米6月鉱工業生産指数は前月比0.6%上昇し、市場予想の0.4%より加速した。前月の0.3%の低下(0.4%から上方修正)からプラスへ反転。年初来で最も高い伸びを遂げている。稼働率は75.4%と、市場予想の75.0%を上回った。3〜5月は2010年10月以来の75%割れを迎えたが、大台を回復している。ただリセッション前の80%は依然として遠い。
内訳をみると、製造業(全体の75.93%)が低下に転じた。米6月新車販売台数が市場予想に届かなかったことに反し、自動車が力強い伸びを遂げた。自動車を除いた製造業は±0%にとどまる。自動車以外では機械が前月の反動で大幅上昇し半面、コンピューター・電子機器が反落した。公益(全体の10.86%)は上昇に転じ、平年を上回る気温が奏功したもよう。鉱業(全体の13.20%)は、原油先物が50ドルを超え約10ヵ月ぶりの高値を目指すなか、前月に続き上昇した。
・製造業 0.4%の上昇>前月は0.3%の上低下、6ヵ月平均は±0%
あ自動車 5.9%の上昇>前月は4.3%の低下、6ヵ月平均は0.7%の上昇
あ機械 1.1%の上昇>前月は0.7%の低下、6ヵ月平均は0.3%の上昇
あコンピューター/電気製品 0.5%の低下>前月は0.2%の上昇、6ヵ月平均は0.1%の上昇
・公益 2.4%の上昇>前月は0.9%の低下、6ヵ月平均は1.0%の上昇
あ電力 3.4%の上昇>前月は1.0%の手か、6ヵ月平均は1.0%の上昇
あ天然ガス 6.9%の低下<前月は0.1%の低下、6ヵ月平均は2.2%の上昇
・鉱業 0.2%の上昇<前月は0.3%の上昇、6ヵ月平均は1.2%の低下
鉱工業生産、前年比は10ヵ月連続で低下も下げ幅は縮小。
BNPパリバのブリックリン・ドワイヤー米エコノミストは、結果に対し「4〜6月期でみると前期比年率1.1%の低下となり、1〜3月期の1.8%の低下から小幅改善にとどまる」と振り返った。自動車がけん引した点にも留意する。もっとも、原油価格が50ドル付近で推移するなか原油安の打撃を受けた製造業と鉱業は「ベース効果もあって回復する期待がある」と指摘。今後は改善トレンドが鮮明になる可能性があると示唆した。
――米7月NY連銀製造業景況指数は分岐点を維持しつつ、見通し指数が低下したように勢いに欠けます。特に現況指数で雇用が分岐点を割り込んでおり、米7月雇用統計で製造業関連が再び弱含む可能性を示唆します。米6月鉱工業生産は自動車の牽引が目立っており、ベース効果以外で伸びしろが大きいかは疑問。原油先物の回復に合わせシェールの石油リグ稼働数の減少に歯止めが掛かっており、再び下振れすれば鉱工業生産に打撃を与えること必至です。
(カバー写真:Several seconds/Flickr)
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