US Equity Market Shows Disappointment With Abe’s Stimulus Plan.
政府は2日、第2次安倍政権発足以来で最大の景気刺激策を発表しました。総額は28.1兆円で、国内総生産(GDP)を1.3%押し上げる見通しだといいます。
気になる内訳は、大枠で以下の通り。
1)1億総括役社会の実現 3.5兆円
(2200万人の低所得者層に1万5000円を支給、保育・介護の受け皿整備などを含む)
2)インフラ整備 10.7兆円
(道路の他、リニア中央新幹線の全線開通を最大8年前倒しなど含む)
3)BREXITをめぐるリスク対応 10.9兆円
4)熊本地震、東日本大震災の復興支援 3.0兆円
国と地方の財政支出(真水)は7.5兆円。秋に予定する臨時国会では、補正予算案を提出する予定です。
今回の経済対策は、日銀が上場投資信託(ETF)の買い入れペースを年間3.3兆円から6兆円へ引き上げた7月29日から、わずか数日後の発表となりました。20ヵ国財務相・中央銀行総裁会議(G20)の声明で記したように競争的な通貨切り下げを招かず、国際通貨基金(IMF)が要請する通り財政出動で景気を下支えします。6月に消費税引き上げを2017年4月から2019年10月へ延期した決定と合わせ、景気回復を演出できるのでしょうか?
債券先物は大幅安、足元4日間で2013年以来で最大の下落に。
(出所:Twitter)
経済対策に対するアメリカ人の反応をみてみましょう。ネタ元はCNBCとゼロヘッジです。
「アリガトウゴザイマス、クルーグマンさん!」
「少なくとも世界が財政再建から転換を迎えるのは良いことだ」
「アベノミクスの3本目の矢は、斯くして忘れ去られた!3本目の矢が構造改革だったことを忘れるな」
「安倍政権の支持率は、単なるカネのばらまきによって支えられていたなんて衝撃的だ!」
「バーニーの本から1ページ抜き取ったのか、逆も然り」
「日本の『失われた10年』は30年目に達し、とどまりそうにない。出生率は危険水域にある。いま日本は、名実ともに『死のスパイラル』に入った」
いろいろ、言いたい放題ですね。真水の7.5兆円に対し「たったの」という言葉をもって迎え入れた米国の株式市場は本邦の経済対策に失望感を禁じ得ず、前日まで6日続落中のダウはNY時間午前11時前の段階で100ドル安を示しました。8月に入り、夏の嵐がマーケットを席巻しつつあるようです。
筆者は経済対策が発表されなくとも、リスク・オフ相場の素地は出来上がっていただけに2015年8月のような調整を迎えてもおかしくはないと考えています。そもそも、BREXIT後の反発が異常だったとしか言いようがありません。あれから1ヵ月以上が過ぎ、漸く英国を中心として経済指標に影響が及ぶなか、原油相場は歩調を合わせ世界経済の減速を先取りして下落し弱気相場入りしてきました。原油先物と乖離して米株が上昇する局面では、修正が入るものです。
(カバー写真:Presidencia de la República Mexicana/Flickr)
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