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米7月ISM製造業景況指数は鈍化、雇用も再び分岐点割れ

by • August 2, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off2000

ISM Manufacturing Index Steps Back, Employment Turns Negative.

米7月ISM製造業景況指数、米7月マークイット製造業PMI確報値、米6月建設支出をおさらいしていきます。

米7月ISM製造業景況指数は52.6となり、市場予想の53.0を下回った。2015年2月以来の高水準だった前月の53.2にも届かなかったものの、分岐点乗せは5ヵ月連続となる。内訳をみると新規受注や新規輸出受注が低下したほか、雇用にいたっては分岐点割れトレンドへ回帰した。一方で、生産や在庫は改善した。詳細は、以下の通り。

・新規受注 56.9、7ヵ月連続の分岐点乗せ<前月は57.0と4ヵ月ぶりの高水準、6ヵ月平均は55.9
・生産 55.4、4ヵ月ぶり高水準と7ヵ月連続で分岐点乗せ>前月は54.7、6ヵ月平均は54.2
・雇用 49.4と過去9ヵ月で8回目の分岐点割れ<前月は50.4、6ヵ月平均は49.1

・在庫 49.5、13ヵ月連続で分岐点割れ>前月は48.5、6ヵ月平均は46.8
・新規輸出受注 52.5<前月は53.5と2014年11月以来の高水準>6ヵ月平均は51.6
・仕入れ価格 55.0<前月は60.5と2014年9月以来の高水準、6ヵ月平均は54.7

・入荷時間 51.8<前月は55.4と2014年12月以来の高水準、6ヵ月平均は51.7
・受注残 48.0、再び分岐点割れ<前月は52.5、6ヵ月平均は49.6

ISM製造業景況指数と各連銀景況指数、7月はまちまちでISMも小幅低下。

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雇用が下振れ、米雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)の製造業も減速か。

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(作成:My Big Apple NY)

ISMのブラッドリー・ホルコム会長は、結果に対し「18業種のうち11業種が拡大を示した」と指摘した。前月の13業種から減少したが、「年初来平均の51.1を国内総生産(GDP)に換算すると2016年の米成長率は2.5%増」と分析。7月を年率換算すれば「3%成長になる」と評価し、楽観的な姿勢を保った。

▽米7月マークイット製造業PMI確報値、速報値と変わらず15年9月以来の高水準

米7月マークイット製造業PMI・確報値は52.9となり、市場予想及び速報値と並んだ。前月の51.4を超え、2015年9月以来の水準へ上昇。とはいえ、金融危機以前の平均値54.1にはまだ距離を残す。

マークイットのクリス・ウィリアムソン主席エコノミストは、結果を受け「製造業PMIは7月に力強く上昇し、失望に終わった上半期から7~9月にかけ改善する期待をもたせる」と評価した。また「輸出が経済を押し上げる可能性を点灯させた」とも指摘。雇用も回復しており「生産者側はドル高やエネルギー関連の再編が一巡したとみなし、明るい見通しを描きつつある」との考えを示し、速報値から一転し楽観的な見方を寄せた。

▽米6月建設支出、3ヵ月連続で予想外の減少

米6月建設支出は前月比0.6%減の年率1兆1340億ドルとなり、市場予想の0.5%増に反する結果となった。前月の0.1%減(0.8%減から上方修正)を含め、3ヵ月連続で減少。内訳をみると住宅が0.1%減と前月の0.1%増を打ち消したほか、非住宅も1.0%減と3ヵ月連続で減少した。建設支出の前年比は0.3%増と、前月の2.8%増(速報値)を下回った。

民間は0.6%減と、前月の0.2%増から反転。住宅が±0%だったものの、非住宅が1.3%減と前月の0.4%増からマイナスに転じている。非住宅の内訳をみると11項目中、7項目で増加。前月の5項目(速報値ベース)を上回った。前月比の詳細は、以下の通り。

・宗教 2.2%増
・娯楽 1.2%増
・宿泊 0.6%増
・オフィス 0.6%増
・通信 0.1%減
・輸送 0.2%減
・電力 0.7%減
・商業 1.6%減
・ヘルスケア 2.0%減
・教育 2.8%減
・製造業 4.5%減

公共は0.6%減と、前月の1.2%減より弱く4ヵ月連続で減少した。住宅が6.0%減と4ヵ月連続で減少しただけでなく、非住宅も0.5%減と4ヵ月連続で減少している。非住宅の12項目中、7項目が増加。前月の3項目を上回った。詳細は、以下の通り。

・電力 8.0%増
・水道供給 3.1%増
・ヘルスケア 1.0%増
・公共衛生 0.6%増
・輸送 0.3%増
・娯楽 0.2%減
・教育 0.5%減
・オフィス 0.8%減
・保存開発 1.0%減
・高速/道路 1.4%減
・汚水/廃棄処理 2.7%減
・商業 14.5%減

バークレイズのジェシー・ヒューウィッツ米エコノミストは、結果を受け「産業関連と政府で支出が後退した」と振り返る。上半期に住宅投資を中心に回復を予想するも、設備投資など「企業支出が弱まり続けるリスクをはらむ」と付け加えることも忘れない。米4~6月期国内総生産(GDP)改定値は、速報値通り1.2%増とした。

なおNY連銀は、7月29日時点で米7~9月期GDP予想を2.5%で据え置いた

――米7月ISM製造業景況指数は予想外に力強い回復を遂げた6月からやや鈍化し、原油先物の下落を反映したかのようです。8月1日には原油先物が6月高値から20%落ち込み、名実ともに弱気相場入りしました。中国政府が発表する同7月製造業PMIが分岐点を割り込み、かつ英7月マークイット製造業PMIが分岐点割れへ沈むなか、世界経済の減速懸念は高まるばかり。ISMの雇用が再び分岐点割れを示したように、せっかく上向きつつあるエネルギー関連をはじめ鉱業、製造業の雇用にも、再び下押し圧力が加わるでしょう。国際通貨基金(IMF)が世界経済見通し最新版でBREXITに係る不透明性を挙げており、英国やユーロ圏を中心に経済指標に打撃が現れてくれば、後退した不安が台頭し金融市場を揺さぶりかねません。

(カバー写真 darkday/Flickr)

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