Will The Jobs Report Allow Fed To Raise Rate In September?
6~7月と米雇用統計が予想外の大幅増加を遂げ、9月利上げ観測が高まりました。
NY連銀のダドリー総裁が9月利上げの可能性に言及するサプライズもあって、FF先物市場でみた9月利上げ織り込み度は徐々に上昇中。
7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録では9月利上げで意見が紛糾していたとはいえ、ダドリーNY連銀総裁は「GDPより雇用を重視している」と発言したから、さあ大変。米株は下落に転じており、イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長が26日に予定するジャクソン・ホール会合の講演で利上げ示唆を与えるのか、マーケットは固唾を呑んで見守っているかのようです。
さて、問題の雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)は確かに絶好調に見えますが、NFPを因数分解すると気掛かりな点が浮かび上がってきます。
7月のNFP、セクター別の就業者数・前年比の伸び率と賃金の比較をご覧下さい。
財部門(製造業、鉱業、建設)の就業数は前年同月比0.3%増に過ぎません。原油先物が買い戻されながら石油関連が足を引っ張る状況が継続し、鉱業が16.8%減となったためです。製造業も0.3%減と弱い。建設のみ3.3%増でした。
サービス部門の就業者数は前年同月比2.2%増と、財部門を大きく上回ります。ただし低賃金の職である娯楽/宿泊、食品サービスが牽引していたんですね。高賃金の派遣も力強い伸びを示したとはいえ、医療保険など福利厚生が与えられていないため消費押し上げの原動力となるかは疑問が残ります。
こうした傾向は2015年からの前年比伸び率・平均値と比較しても、大差ありません。
その他、雇用統計は労働参加率や不完全失業率など質的な改善にも歯止めが掛かっています。慎重な性格のイエレンFRB議長が9月利上げへ向け積極的に舵取りする可能性は低いのではないでしょうか。
(カバー写真:Wisconsin Jobs Now/Flickr)
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