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米9月新車販売台数、インセンティブ拡大を支えに改善

by • October 4, 2016 • Latest News, NY TipsComments Off2637

New Car Sales Accelerate Thanks To Bigger Incentives.

ワーズオートが発表した米9月新車販売台数は、年率換算で前月比4.4%増の1765万台と市場予想の1750万台を上回った。1700万割れを示した前月の1691万件から増加し、2015年10月以来の1800万台に接近した6月の1770万台に接近している。9月は9月利上げ観測が台頭し米10年債利回りが英国民投票実施日の6月23日以来の1.7%乗せを示したも影響に加え、レーバーデーの祝日を受け各社がインセンティブを引き上げた恩恵が大きい。営業日は2015年9月と変わらなかっただけに、インセンティブの威力を見せ付けた格好だ。また、米連邦公開市場委員会(FOMC)が金利据え置きを決定した後に金利が低下した恩恵も反映したとみられる。なお、ワーズオートの数字は米国内総生産(GDP)の算出に使用される。

オートデータが発表した米9月新車販売台数は、前年同月比0.7%増の152万2297台だった。前月の151万3997台からも、増加している。年率ではワーズオートと同じく1776万台と前月の1700万台を超え、7月の1788万台に近づいた。米4~6月期上級融資担当者調査では自動車ローンの融資条件の緩和より引き締めが多かったものの、今回はさほど影響を示していない。なお2015年は9~11月に2000年以来となる1800万台を突破したため、前年比5.7%増の1747万台と2000年に樹立した1735万台を突破し過去最高を塗り替えた。

ケリー・ブルー・ブックによると、9月の平均販売価格は前年同月比2.5%上昇の3万4732ドル(約350万円)となり、7~8月に続く伸びを示した。前月比では0.2%の下落となり、8月の±0%より弱含んだ。メーカー別の平均価格を前月比でみると、8月に反し下落が優勢。排ガス不正問題に揺れるVWが0.6%下落し、4ヵ月ぶりに上向いた前月から転落した。その他、トヨタが1.1%と最も下落幅が大きい。次いでGMが0.8%下落、VW、フォードが0.5%下落した。前年比ではVWのみ3.4%下落した程度で、その他は軒並み上昇した。

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(出所:Kelley Blue Book)

2016年の新車販売台数につき、自動車価格情報サイトのトゥルーカーは「1800万台」を予想する。ただし、伸び率は3%台とし、2015年の5.7%を下回る見通しだ。全米自動車協会は「1770万台」となる。いずれの数字も、2015年を超える公算だ。

メーカー別の単月動向をみると、米国のかつてのビッグ3だったGM並びにフォード、クライスラーがそろって市場予想を上回った。ただし、全て前年比割れしている。日本勢は日産が好調だった半面、トヨタとホンダは市場予想に届かず。ただしトヨタは日産とともに前年比プラスだった。車種では米国勢のトラックをはじめスポーツ多目的車(SUV)の落ち込みが大きい。セダンや小型車などは、逆に回復基調へ転じた。ガソリン価格は2月に一時1.724ドルと2004年3月以来の安値をつけた後、6月に一時2.399ドルまで上昇。その後は原油先物が40~50ドルのレンジで推移するなか、ガソリン価格がレンジ推移をたどるもSUVなど大型車の購入を刺激するには力不足だったとみられる。

以下、米国をはじめメーカー別動向。

【GM】
GMは前年同月比0.6%減の24万9795台となり、市場予想の1.6%減より下げ幅を縮小した。ただし、2ヵ月連続で減少。小売販売台数は0.3%増の20万4449台で、13ヵ月ぶりに減少した6月、7月を経て3ヵ月ぶりに増加に転じた。全体の新車販売台数で4大ブランド別をみると2ブランドで増加し、8月の1ブランドを上回った。小売販売台数はGMC以外で増加し、前月の1ブランドから改善した。2016年通期の新車販売台数は6月時点の1730万台から1740万台へ上方修正し、過去最高を達成した2015年に迫る可能性をにらむ。新車販売台数の詳細は、以下の通り。

・ビュイック
→主力のSUV「アンコール」が29.7%増の7292台だったほか、生産中止を決定したセダン「ベラノ」も65.3%増の3929台と力強かった。小売販売台数は6.7%増の1万7199台と、増加に転じた。小売り販売台数の年初来では、2005年以来で最高を示す。

・キャデラック 3.1%増の1万5368台、4ヵ月連続で増加
→SUVで売れ筋の「エスカレード」が28.8%増の2097台と4ヵ月連続で増加したほか、「XTS」は横ばいながら1968台と下支えした。小売販売台数は4.7%増の1万3107台と、前月に続けて増加した。

・シボレー 0.3%減の17万237台、減少トレンドを維持
→SUVの「エキノックス」が29.1%減の1万5261台と、2ヵ月連続で減少した。「シルバラード」も15.5%減の4万5380台と4ヵ月連続で減少。半面、小型車は好調に転じ「マリブ」が26.1%増の2万1521台と大きく反発し、「クルーズ」も8.4%増の1万5216台だった。小売販売台数は0.9%増の13万5448台で、3ヵ月ぶりに減少した前月から改善した。小売販売台数では単月にて2007年以来で最高だった。

・GMC 8.7%減の4万3268台、2ヵ月連続で減少
→主力の「シエラ」が8.5%減の1万8068台と、2ヵ月連続で減少した。SUVの「テレイン」も48.3%減の5656台と、2ヵ月連続で2桁減を示す。小売販売台数は5.6%減の3万8695万台と、2ヵ月連続で減少した。

【フォード】
フォードは前年同月比0.8%減の20万4447台となり、市場予想に並んだ。2大ブランド別では、フォードが3ヵ月連続で減少した一方でリンカーンは2ヵ月連続で増加した。なお同社は1月、日本とインド市場から年内に撤退を決定した。詳細は、以下の通り。

・フォード 8.1%減の19万5650台、3ヵ月連続で減少
→アルミ製ボディのトラック「Fシリーズ」が2.6%減の6万7809台と、3ヵ月連続で減少した。SUVも下振れし「エクスプローラー」は12.3%減の1万6667台と3ヵ月連続で2桁減を示す。「エスケープ」も12.0%減の2万5063台と3ヵ月連続で減少した。小型車も振るわず「フォーカス」は16.9%減の1万1160台と5ヵ月連続で減少、「フュージョン」も17.5%減の2万570台と3ヵ月連続で減少した。

・リンカーン 1.3%増の8797台、2ヵ月連続で増加
→「MKC」や「MKS」がそれぞれ増加し、全体を支えた。

【フィアット・クライスラー】
フィアット・クライスラー・オートモビルは前年同月比0.9%減の19万2883台となり、市場予想の5.1%減より下げ幅を縮小した。とはいえ、前年比マイナスは78ヵ月ぶりとなる。5大ブランド別では1ブランドのみ増加し、前月の3ブランドから減少した。詳細は、以下の通り。

・ラム 27%増の5万1866台、4ヵ月連続で増加
→主力の「ラム」が29%増の4万7792台と前月から大幅反発し、「プロマスター・バン」などの減少を抑えた。

・ジープ 3%減の7万6331台、35ヵ月ぶりに減少
→2013年11月以来続く単月ベースでの過去最高記録にブレーキを掛けた。「チェロキー」が12%減の1万7995台と落ち込むなど6車種中では4車種が減少し、前月の2車種から増えている。「グランド・チェロキー」は18%増の1万8507台と好調を保った。

・ドッジ  6%減の4万2395台、前月に続き減少
→主力の「ジャーニー」こそ6%増の1万2091台だったほか、「キャラバン」が18%減の8179台と増加トレンドに終止符を打った。

・クライスラー 27%減の1万8797台、8ヵ月連続で減少
→新型「パシフィカ」が9172台と押し上げたものの、ただしミニバン「タウン・アンド・カウンティ」が89%減の981台と4ヵ月連続で減少したほか、セダンの「200」も68%減の3185台と弱い流れを保つ。

・フィアット 30%減の2913台、9ヵ月連続で減少
→「500」や「500L」などが軒並み2桁減を示したほか、「500X」も55%減の839台だった。新型「スパイダー」は490台と、全体を牽引するほどの馬力をみせず。

自動車メーカーのシェアは、GMが17.4%でトップを維持。フォードとトヨタは8月こそ14.1%で同率だったが今回はフォードが14.2%、トヨタが13.8%に終わる。

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(出所:Good Car Bad Car)

【トヨタ】
トヨタは1.5%増の19万7260台と市場予想の2.0%増に届かなかった。ただ、5ヵ月ぶりに増加。ブランド別では、トヨタとレクサスがそろって増加に転じた。営業日数が昨年同月と変わらないため、営業日ベースでも1.5%増加した。詳細は、以下の通り。

・トヨタ 1.4%増の17万1459台、5ヵ月ぶりに増加
→引き続きSUVやトラックが牽引し、日本では来春に販売・生産を打ち切る計画のSUV「RAV4」が8.6%増の2万9348台と12ヵ月連続で単月での記録を塗り替えた。「ハイランダー」も21.3%増の1万4937台と健闘している。セダンでは「カローラ」が17%増の3万1167台と4ヵ月連続で増加した半面、「カムリ」は11%減の3万707台と4ヵ月連続で減少した。

・レクサスは2.0%増の2万5801台、7ヵ月ぶりに増加
→SUVやトラックは24.1%増の1万5704台で、8月に続き4車種中全て増加した。反対に乗用車部門は20.1%減の1万97台で、前月に続き7車種中全て減少している。

【ホンダ】
ホンダは前年同月比0.1%減の13万3655台となり、市場予想の1.6%増に反し減少した。2ヵ月連続で減少している。ブランド別では、ホンダが増加した半面、アキュラは、3ヵ月連続で減少した。詳細は、以下の通り。

・ホンダ 1.5%増の12万842台、前月から増加に反転少
→単月では過去最高を更新した、SUVの「CR-V」が6.5%増の3万1884台と、前月に続き過去最高を更新。セダンは弱含み「シビック」が0.3%減の2万8184台、「アコード」に至っては12.4%減の2万7204台と2ヵ月連続で2桁減だった。

・アキュラ 12.9%減の1万2813台、4ヵ月連続で減少
→主力の「MDX」が14.3%増の4930台だったほかトラック部門は単月で過去最高を更新したものの、その他の減少が響いた。

【日産】
日産は4.9%増の12万7797台となり、市場予想の1.4%減に反し好調だった。2大ブランドでは、それぞれ増加に反転している。詳細は、以下の通り。

・日産 4.3%増の11万6384台、3ヵ月ぶりに減少した前月から増加
→単月で過去最高を更新。SUV・トラックで主力の「ローグ」が5.6%増の2万6459台となり、クロスオーバーの2ヵ月連続での過去最高を演出した。「ムラノ」も45.9%増の7536台と、単月での過去最高を達成。SUV「パスファインダー」も29.4%増の8028台と、大幅増加に転じた。さらに、セダン「マキシマ」は3ヵ月連続で2桁増の69.7%増の6569台と好調。主力セダン「アルティマ」は3.3%増の2万5031台と、前月から増加に転じた。

・インフィニティ 11.7%増の1万1413台、3ヵ月連続で減少
→SUVの「QX60」が15.1%増の5258台と5ヵ月ぶりに減少した前月から反発、「QX50」は前月に続き3桁増の362.0%増の1215台となる。セダンは「Q50」が22.5%増の3557台を示すなど、堅調だった。

その他の海外メーカーは、以下の通り。

・フォルクスワーゲン(VW)が7.8%減の2万4112台
→排ガス不正が発覚した2015年9月、および同年10月は値下げ効果もあって小幅な増加にとどまったが、同年11月にガソリン車にも火種が及んだ影響からか以降は10ヵ月連続で減少。ただしアウディが1.6%増の1万7617台と増加トレンドをたどり、グループ全体では3.6%減の4万2089台へ下げ幅を縮めた。

・ヒュンダイは4.1%増の6万6610台と2ヵ月連続で増加。
・キアは1.2%減の4万9220台と2ヵ月連続で減少

・テスラ(推計値)は63.6%増の3600台、増加トレンドを維持
→6月末に自動運転中(オートパイロット)の衝突事故が発生したものの、スピードを加速させて運行していた事情などが明らかになるなかで前月の75%増から伸びをせばめた。

自動車メーカーからディーラーへの1台当たりインセンティブは前年同月比7.8%上昇の3387ドルで、前月の7.7%の上昇を追い越した。前月比では0.5%の上昇と、8月の2.2%の下落から反転。9月新車販売台数が大幅に改善した最大の理由は、インセンティブ拡大にあることを確認した。前年比での伸び率はスバルが68.5%の上昇と群を抜き、これまで1位で高級車市場にてメルセデス・ベンツを追走中のBMW(44.3%上昇)を抜き去った。次いでVWが23.4%となる。一方で、8月に続きホンダが最大の下落幅となり16.7%落ち込んだ。その他ダイムラー、キア、トヨタが前年比で下落していた。

truecar
(出所:Truecar)

高級車部門別ランキングは、以下の通り(%は全て前年比)。今回、高級車御三家のメルセデス・ベンツ、レクサス、BMWがトップ3を維持した。1位はメルセデス・ベンツで変わらず。1月に3位の座をビュイックに譲ったBMWはインセンティブを引き上げ販売台の維持に努めたものの、7月に続きレクサスに追撃され3位に転落した。

1位 メルセデス・ベンツ 3.6%増の3万2470台
→1~8月に続き、首位を堅持した。年初来では1.6%増の27万4360台でトップに君臨している。2015年は、4.7%増の37万2977台でトップ。2013年は1位だったが、2014年ではBMWに1位を明け渡していた。

2位 レクサス 2.0%増の2万5801台
→1~3月の2位から、4~6月にBMWに2位の座を奪われた後で7~8月に続き2位を堅持した。年初来では4.5%減の23万6193台となり、BMWとの差を7月の数百台から6000台近くへ広げた。2015年は10.7%増の34万4601台で3位。2011年まで11年間連続で首位を飾ったが、東日本大震災後に順位を落とし2014年、2013年、2012年に続き3位にとどまる。

3位 BMW 4.6%減の2万5389台
→1月はまさかのトップ3圏外で始まり4~6月は2位に立ちつつ、2~3月、7~8月に続き3位に甘んじた。年初来では7.9%減の23万133台となり、7~8月に続きここでも3位となる。2015年は1.8%増の34万6023台で、首位の座を宿敵メルセデス・ベンツに明け渡していた。2014年では1位、2013年は2位だった。

4位 ビュイック(GM)14.1%増の2万922台
→7~8月に続き4位だった。年初はBMWを振り切って3位へ急伸したものの、以降はトップ3圏外へ戻す。年初来では1.2%増の16万9767台 と4位を保った。2015年も2.6%減の22万3055台で4位だった。

5位 アウディ(VW)1.6%増の1万7617台
→VWショックに揺れるなか、5~6月の4位を経て7~8月に続き5位。一時期の7位からは回復している。年初来では3.2%増の15万2179台で、5位を維持した。2015年は11.1%増の20万2202台で、5位だった。

6位 キャデラック 3.1%増の1万5368台
→6~8月と変わらず。年初来では5.1%減の11万9286台で、アキュラに続き7位となる。2015年は2.6%増の17万5,262台で、7位だった。

7位 アキュラ 12.9%減の1万2813台
→6~8月と変わらず。年初来では9.3%減の11万9727台で、キャデラックの追撃を受けながら辛くも6位を堅持。2015年は5.6%増の17万7165台で6位に収まっていた。

8位 インフィニティ 11.7%増の1万1413台
→2月まで8ヵ月連続で8位を経て、3月に7位へ浮上した後で4~8月に続き8位にとどまった。年初来では1.3%増の9万6775台で8位となる。2015年も13.8%増の13万3498台で8位だった。

新車販売台数:モデル別ランキング(%は前年同月比)で、今回は7~8月と登場車種は変わらず。2位のシルバラードが3位に落ち、代わりにラムが浮上したほか、カローラやカムリなどセダンが順位を上げた。前年で減少した車種は8月に続き5つだった。

1位 Fシリーズ(フォード)2.9%減の6万7809台、前月も1位
2位 ラム(フィアット・クライスラー)30.6%増の4万7792台 前月は3位
3位 シルバラード(GM)15.5%減の4万5380台、前月は2位
4位 CR-V(ホンダ)6.5%増の3万1884台、前月も4位
5位 カローラ(トヨタ)17.0%増の3万1167台、前月は9位

6位 カムリ(トヨタ)11.0%減の3万707台、前月は6位
7位  Rav4(トヨタ)8.6%増の2万9438台、前月は5位
8位 シビック(ホンダ)0.3%減の2万8184台、前月も8位
9位 アコード(ホンダ)19.1%減の2万7204台、前月は10位
10位 ローグ(日産)5.6%増の2万6459台、前月は6位

SUV版:新車販売台数、ブランド別ランキング(%は前年同月比)は以下の通り。今回はトップ10圏内で変動があった程度だった。前年比で減少した車種は6つで、前月の7つから減少した。

1位 CR−V(ホンダ)6.5%増の3万1884台、前月も1位
2位 RAV 4(トヨタ)8.6%増の2万9438台 前月も2位
3位 ローグ(日産)5.6%増の2万6459台、前月も3位
4位 エスケープ(フォード)12.0%減の2万5065台、前月も4位
5位 エクスプローラー(フォード)7.6%減の1万9146台、前月は6位

6位 ジープ・グランドチェロキー(フィアット・クライスラー)17.8%増の1万8507台、前月は8位
7位 ジープ・チェロキー(フィアット・クライスラー)12.2%減の1万7995台、前月は5位
8位 アウトバック(スバル)12.2%増の1万6978台、前月は9位
9位 フォレスター(スバル)3.4%増の1万5883台、前月は7位
10位 エキノックス(シボレー)29.1%減の1万5261台、前月は10位

(カバー写真:Autorader

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