Personal Income May Not Support Strong Personal Spending In Near Term.
米9月個人消費支出は前月比0.5%増と、市場予想の0.4%増を上回った。2015年1月以来の減少を示した前月の0.1%減(±0%から下方修正)から改善し、4ヵ月ぶりの高い伸びを示す。とはいえ、4月に1.0%増と2009年8月以来の高水準を果たした水準で、一旦頭打ちとなった格好だ。米7~9月期国内総生産(GDP)速報値が前期から鈍化したように、実質ベースでは前年同月比2.4%上昇と6ヵ月ぶりの低水準となる。実質の個人消費は前月比で0.3%増と、市場予想の0.2%増を上回り前月の0.2%減からも改善した。
個人消費の内訳は、前月比で以下の通り。耐久財は新車販売台数が9月に再び2015年10月以来の年率1800万台乗せに接近したように、増加に転じた。非耐久財は3ヵ月ぶりに増加。サービスは底堅さを維持した。
・モノは0.81%増、前月の0.73%減から反転
>耐久財 1.29%増、3ヵ月ぶりに減少した前月の1.88%減から反転
>非耐久財 0.56%増、前月の0.12%減を上回り3ヵ月ぶりに増加
・サービス 0.32%増、前月の0.25%増と合わせ6ヵ月連続で増加
米9月個人所得は前月比0.3%増と市場予想の0.4%増を下回った。前月の0.2%増は超え、7ヵ月連続で増加。前年比は実質ベースで前年同月比1.9%増と、2014年1月以来の増加基調で最低にとどまった。可処分所得は前月比で0.3%増と7ヵ月連続で増加。支出の伸びが所得を上回ったため、貯蓄率は5.7%と前月の5.8%から低下した。
個人消費は所得を上回る伸び、貯蓄率は小幅低下。
所得の内訳は、以下の通り。
・賃金/所得 0.3%増、前月の0.1%増と合わせ7ヵ月連続で増加(民間が0.4%増と前月の±0%から改善。製造業、鉱業、建設など財部門が0.3%増と前月の0.3%減の減少を相殺。サービスは0.4%増と前月の0.1%増に続き増加)。
・不動産収入 0.6%増、前月の±0%から増加に反転(農場が1.1%減と減少トレンドを維持した一方、非農場が0.6%増と前月の±0%から改善)
・家賃収入 0.6%増、前月の0.5%増に続き31ヵ月連続で増加
・資産収入 0.2%増と前月の0.5%増と合わせ3ヵ月連続で増加(配当が0.2%増と前月の0.8%増を含め3ヵ月連続で増加、金利収入は0.2%増と増加トレンドを維持)
・社会補助 0.1%増、前月の0.4%増と合わせ少なくとも22ヵ月連続で増加
・社会福祉 0.1%増、前月の0.4%増と合わせ増加基調を維持(メディケイド=低所得者層向け医療保険が0.4%増と5ヵ月連続で増加、メディケア=高所得者向け医療保険は0.3%増と増加トレンドを維持、失業保険は3.6%減と前月の0.7%増を除く減少トレンドへ回帰)
米9月個人消費支出(PCE)デフレーターは前月比0.2%上昇し、市場予想及び前月値に並んだ。前年比は1.2%上昇し、こちらも市場予想と一致。前月の1.0%も超え、2014年11以来の高水準を示す。コアPCEデフレーターは前月比0.1%上昇し、市場予想に並んだ。前月の0.2%から鈍化している。コアPCEデフレーターの前年比は前月まで2ヵ月連続で1.7%上昇し、市場予想と前月値に並んだ。PCEとコアは米連邦公開市場委員会(FOMC)の目標値「2%」を視野に入れつつ、2012年5月以来の「2%」割れを続けている。
――実質の個人消費が前年同月比1.9%の上昇と、2014年1月からの増加トレンドで最少の伸びにとどまっています。歩調を合わせるように、同個人消費は6ヵ月ぶりの伸びにとどまり力不足は否めません。米9月新車販売台数が年率で2015年10月以来の1800万台に接近した割に、個人消費が伸び悩んだ背景は新車販売動向からも伺えます。これまで販売の牽引役だったトラックやスポーツ多目的車(SUV)で前年比割れが目立った一方、比較的手ごろな小型車やセダンの伸びが優勢でした。原油先物が持ち直すとともにガソリン価格の下落にブレーキが掛かり、ガソリン消費量の多い大型車が買い控えられ始めたようです。
原油先物の回復を背景に、ヘッドラインのインフレが上向き消費を押し下げないとも限りません。個人消費は米7~9月期GDP速報値の個人消費で確認したように、大幅増加は見込みづらい環境です。
(カバー写真:Michigan Municipal League/Flickr)
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