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米10月新車販売台数、単月では景気後退以来の3ヵ月連続減少

by • November 2, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off1850

New Car Sales Decrease 3 Consecutive Months, First Time Since Recession.

ワーズオートが発表した米10月新車販売台数は、年率換算で前月比1.4%増の1,790万台と市場予想の1,760万台を上回った2015年10月以来の1,800万台に接近している。コロンバス・デーの祝日を受け各社がインセンティブを引き上げた恩恵が大きい。なお、ワーズオートの数字は米国内総生産(GDP)の算出に使用される。

オートデータが発表した米10月新車販売台数は、前年同月比4.4%減の139万2,786台だった。前月は152万2297台で、3ヵ月連続での減少は景気後退以来で初めて。10月こそ営業日が2015年10月と比較し2日少なかったが、8~9月は前年と変わらずだった。ただし年率では1,829万台と前月の1,776万台を超え、少なくとも過去1年間で最高米4~6月期上級融資担当者調査では自動車ローンの融資条件の緩和より引き締めが多かったものの、今回はさほど影響を示していない。なお2015年は9~11月に2000年以来となる1,800万台を突破したため、前年比5.7%増の1,747万台と2000年に樹立した1,735万台を突破し過去最高を塗り替えた。

ケリー・ブルー・ブックによると、10月の平均販売価格は前年同月比2.5%上昇の3万4,663ドル(約360万円)となり、7~9月の2.5%増から小幅鈍化した。前月比では±0%となり、9月の0.2%の下落から転じた。メーカー別の平均価格を前月比でみると、排ガス不正問題を受けたフォルクスワーゲン(VW)は上昇に反転したが、ゼネラル・モーターズ(GM)、日産、スバル、フォードで下落した。前年比ではヒュンダイ・キアの下落し、足元で前年比割れが目立ったVWですら上昇していた。

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(出所:Kelley Blue Book

2016年の新車販売台数につき、自動車価格情報サイトのトゥルーカーは「1800万台」を予想する。ただし、伸び率は3%台とし、2015年の5.7%を下回る見通しだ。全米自動車協会は「1770万台」となる。いずれの数字も、2015年を超える公算だ。

メーカー別の単月動向をみると、米国のかつてのビッグ3だったGMとクライスラーは、そろって減少した。前者は市場予想を上回ったが、後者は予想にも届いていない。フォードは本社火災の影響で正確なデータは発表されていないものの、減少が見込まれる。日本勢も、そろって減少。ホンダ以外は市場予想を下回り、特にとトヨタの落ち込みが激しかった。車種では引き続き、米国勢のトラックをはじめスポーツ多目的車(SUV)が弱い。セダンや小型車などは、逆に回復基調へ転じた。ガソリン価格は2月に一時1.724ドルと2004年3月以来の安値をつけた後、6月に一時2.399ドルまで上昇。その後は原油先物が40~50ドルのレンジで推移するなか、ガソリン価格はレンジ推移をたどりSUVなど大型車の購入を刺激するには力不足だったとみられる。

以下、米国をはじめメーカー別動向。

【GM】
GMは前年同月比1.7%減の25万8,626台となり、市場予想の6.9%減より下げ幅を縮小した。ただし、3ヵ月連続で減少。小売販売台数こそ2.5%増の20万8,290台で、13ヵ月ぶりに減少した6~7月を経て2ヵ月連続で増加を果たす。全体の新車販売台数で4大ブランド別をみるとビュイック以外で全て減少。前月の2ブランドから弱含んだ。小売販売台数は2ブランドで増加し、前月の3ブランドから減少した。2016年通期の新車販売台数は 1740万台を維持し、過去最高を達成した2015年に迫る可能性をにらむ。新車販売台数の詳細は、以下の通り。

・ビュイック 7.4%増の2万46台、前月に続き増加
→主力のSUV「アンコール」が8.0%増の7,164台と全体を支えた。小売販売台数は6.6%増の1万7,366台と、2ヵ月連続で増加した。小売販売台数の年初来では、2003年以来で最高を示す。

・シボレー 0.8%減の18万1,964台、減少トレンドを維持
→SUVの「エキノックス」が11.0%減の1万9,664台と、3ヵ月連続で減少した。「シルバラード」も3.6%減の4万9,768台と5ヵ月連続で減少。半面、小型車の一角は好調でクルーズ」9.0%増の1万7,126台だった。「小売販売台数は5.8%増の14万1,641台で、2ヵ月連続で増加した。小売販売台数では単月にて2004年以来で最高だった。

・GMC 6.2%減の4万2,668台、3ヵ月連続で減少
→主力の「シエラ」が18.7%減の1万5,050台と、3ヵ月連続で減少した。SUVの「テレイン」も36.3%減の6,358台と、3ヵ月連続で2桁減を示す。小売販売台数は6.6%減の3万7,039万台と、3ヵ月連続で減少した。

・キャデラック 9.4%減の1万3,498台、5ヵ月ぶりに減少
→SUVで売れ筋の「エスカレード」が8.2%増の1,988台と5ヵ月連続で増加したものの、「ATS」は37.0%減の1,593台など他は減少が目立つ。小売販売台数は7.9%減の1万2,244台と、2ヵ月連続で減少した。

【フォード】
フォードは、前年同月比2.3%減の20万8,259台の見通しだ。同社は米本社の火災が絵教師、新車販売動向を発表できずオートデータの推計値となる。広報担当は、11月4日までに正式発表を行うと説明した。

【フィアット・クライスラー】
フィアット・クライスラー・オートモビルは前年同月比10.0%減17万6,609台となり、市場予想の9.8%減より下げ幅を拡大した。9月に増加トレンドを78ヵ月で止めた後、2ヵ月連続で前年比マイナスとなる。5大ブランド別では9月に続き、1ブランドのみ増加した。詳細は、以下の通り。

・ラム 12%増の4万9,443台、5ヵ月連続で増加
→主力の「ラム」が7%増の4万3,891台と2ヵ月連続で増加したほか、「プロマスター・バン」が92%増の4,500台と支えた。

・ジープ 7%減の6万8,826台、2ヵ月連続で減少
→「チェロキー」が23%減の1万3,531台、「コンパス」が9%減の1万7,867台と落ち込むなど、2ヵ月連続で6車種中では4車種が減少たした。「グランド・チェロキー」は9%増の1万7,867台と好調を保ったほか、「ペイトリオット」も2%増の9,510台だった。

・ドッジ 6%減の4万2395台、前月に続き減少
→主力の「キャラバン」が15%減の1万1,563台と2ヵ月連続で減少したほか、「チャージャー」も24%減の6,792台と弱い。ただし「ジャーニー」は前月に続き増加し、17%増の1万1,912台だった。

・クライスラー 45%減の1万4,181台、9ヵ月連続で減少
→新型「パシフィカ」が7758台と押し上げたものの、生産が終了したミニバン「タウン・アンド・カウンティ」が96%減の529台と5ヵ月連続で減少している。また、セダンの「200」も69%減の9,066台と減少トレンドをたどった。

・フィアット 24%減の2,622台、10ヵ月連続で減少
→「500X」や「500L」などが軒並み2桁減を示したほか、新型「スパイダー」は444台と、全体を牽引するほどの馬力をみせなかった。

【トヨタ】
トヨタは8.7%減の18万6,295台と、市場予想の4.7%減より下げ幅を広げた。ただ、5ヵ月ぶりに増加。ブランド別では、トヨタとレクサスがそろって減少に転じた。営業日数が昨年同月より2日少なかったため、営業日ベースではトヨタ全体で1.7%減へ下げ幅を縮めた。詳細は、以下の通り。

・トヨタ 9.1%減の16万1,492台、2ヵ月連続で減少
→頼みの綱であるSUVやトラックが遂に減少、日本では来春に販売・生産を打ち切る計画のSUV「RAV4」が6.5%減の2万6,429台と減少に転じ、単月での増加トレンドを12ヵ月で止めた。「シエナ」も24.8%減の7,859台と減少。ただし「ハイランダー」は32.7%増の1万7,668台と前月に続き健闘した。セダンでは「カローラ」が1.3%増の2万9,735台と5ヵ月連続で増加した半面、「カムリ」は15%減の2万9,562台と5ヵ月連続で減少した。

・レクサスは6.2%減の2万4,803台、過去8ヵ月間で7回目の減少
→SUVやトラックは±0%の1万4,705台で、4車種中「GX」を除き全て増加した。反対に乗用車部門は17%減の1万98台で、「GS」を除き7車種中全て減少している。

【ホンダ】
ホンダは前年同月比4.2%減の12万6,161台となり、市場予想の4.4%減より下げ幅を縮小した。ただし、3ヵ月連続で減少している。ブランド別ではホンダが増加した半面、アキュラは、3ヵ月連続で減少した。ホンダは2%減と減少に反転、アキュラは5ヵ月連続で減少。ただしアキュラのトラックは過去最高を記録した。

【日産】
日産は2.2%減の11万3,520台となり、市場予想の1.5%減より弱い結果だった。2大ブランドでは日産が減少、インフィニティは2ヵ月連続で増加した。詳細は、以下の通り。

・日産 2.5%減の10万2,312台、前月から減少に反転
→SUV・トラックで主力の「ローグ」が15.1%減の2万1,179台となり、クロスオーバーの過去最高を3ヵ月で止めた。「ムラノ」は新型発売を受け、100%増の1万701台と、単月での過去最高を達成。SUV「パスファインダー」も15.0%増の6,421台と、前月に続き増加した。一方で、主力セダン「アルティマ」は3.3%減の2万257台と前月から減少に転じた。

・インフィニティ 0.6%増の1万1,208台、前月の増加から減少へ反転
→SUVの「QX60」が20.2増の2,929台と2ヵ月連続で減少したが、「QX50」は11.6%増の3ヵ月連続で2桁増となり1,106台とまちまち。セダンは主力の「Q50」が3.2%減の3,689台と減少に転じた。

その他の海外メーカーは、以下の通り。

・フォルクスワーゲン(VW)が18.5%減の2万4,779台、11ヵ月連続で減少
→排ガス不正が発覚した2015年9月、および同年10月は値下げ効果もあって小幅な増加にとどまったが、同年11月にガソリン車にも火種が及んだ影響からか以降は11ヵ月連続で減少。ただしアウディが0.1%増の1万7,712台と増加トレンドをたどり、グループ全体では11.2%減の4万2,875台へ下げ幅を縮めた。

・ヒュンダイは4.2%増の6万2,505台と3ヵ月連続で増加
・キアは2.1%減の4万8,977台と3ヵ月連続で減少

・テスラ(推計値)は86.4%増の4,100台、増加トレンドを維持
→6月末に自動運転中(オートパイロット)の衝突事故が発生したものの、スピードを加速させて運行していた事情などが明らかになるなかで前月の63.6%増から伸びをせばめた。

自動車メーカーからディーラーへの1台当たりインセンティブは前年同月比15.7%上昇の3387ドルで、前月の7.8%の2倍に至った。前月比では2.6%の下落となり、9月の0.5%の上昇から転じた。10月新車販売台数が大幅に改善した最大の理由は、インセンティブ拡大にあることを確認している。前年比での伸び率はスバルが62.6%の上昇と群を抜き、2位はメルセデス・ベンツを追走中のBMW(33.5%上昇)となる。米国勢も2桁増を示した一方、排ガス問題が発覚した影響でインセンティブが前年拡大したと想定されるVWは前月から伸びを狭めた。

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(出所:Truecar)

高級車部門別ランキングは、以下の通り(%は全て前年比)。今回、高級車御三家のメルセデス・ベンツ、レクサス、BMWがトップ3を維持した。1位はメルセデス・ベンツで変わらず。1月に3位の座をビュイックに譲ったBMWはインセンティブを引き上げ販売台の維持に努めたものの、7月に続きレクサスに追撃され3位に転落した。

1位 メルセデス・ベンツ 1.2%減の3万1,383台
→1~9月に続き、首位を堅持した。年初来では1.3%増の30万5,743台でトップに君臨している。2015年は、4.7%増の37万2977台でトップ。2013年は1位だったが、2014年ではBMWに1位を明け渡していた。

2位 レクサス 6.2%減の2万4,803台
→1~3月の2位から、4~6月にBMWに2位の座を奪われた後で7~9月に続き2位を堅持した。年初来では4.7%減の26万996台となる。2015年は10.7%増の34万4601台で3位。2011年まで11年間連続で首位を飾ったが、東日本大震災後に順位を落とし2014年、2013年、2012年に続き3位にとどまる。

3位 BMW 18.4%減の2万4017台
→1月はまさかのトップ3圏外で始まり4~6月は2位に立ちつつ、2~3月、7~9月に続き3位に甘んじた。年初来では9.0%減の25万4,150台となり、7~9月に続きここでも3位となる。2015年は1.8%増の34万6023台で、首位の座を宿敵メルセデス・ベンツに明け渡していた。2014年では1位、2013年は2位だった。

4位 ビュイック(GM)7.4%増の2万46台
→7~9月に続き4位だった。年初はBMWを振り切って3位へ急伸したものの、以降はトップ3圏外へ戻す。年初来では1.8%増の18万9,813台 と4位を保った。2015年も2.6%減の22万3055台で4位だった。

5位 アウディ(VW)0.1%増の1万7,721台
→VWショックに揺れるなか、5~6月の4位を経て7~9月に続き5位。一時期の7位からは回復している。年初来では2.9%増の16万9,900台で、5位を維持した。2015年は11.1%増の20万2202台で、5位だった。

6位 キャデラック 9.4%減の1万3,948台
→6~9月と変わらず。年初来では5.6%減の13万3,234台で、アキュラを超え6位に浮上した。2015年は2.6%増の17万5,262台で、7位だった。

7位 アキュラ 20.0%減の1万2,869台
→6~9月と変わらず7位を堅持した。年初来では10.5%減の13万2,596台で、キャデラックにかわされ7位にダウン。2015年は5.6%増の17万7165台で6位に収まっていた。

8位 インフィニティ 0.6%増の1万1,208台
→2月まで8ヵ月連続で8位を経て、3月に7位へ浮上した後で4~9月に続き8位にとどまった。年初来では1.2%増の10万7,983台で8位となる。2015年も13.8%増の13万3498台で8位だった。

新車販売台数:モデル別ランキング(%は前年同月比)で、今回は推計値と産出されるフォードの「エスケープ」が10位に食い込み、日産の「ローグ」が圏外に落ち込んだ。そのほか前月に3位のシルバラードが2位を取り戻し、代わりにラムが3位にランクダウンした。前年で減少した車種は7車種で、7~9月に続き5つから増えている。

1位 Fシリーズ(フォード)0.2%減の6万5400台、前月も1位
2位 シルバラード(GM)3.6%減の4万9,768台、前月は3位
3位 ラム(フィアット・クライスラー)6.9%増の4万3,891台 前月は2位
4位 CR-V(ホンダ)4.4%増の3万306台、前月も4位
5位 カムリ(トヨタ)15.0%減の2万9,562台、前月は6位

6位 カローラ(トヨタ)2.0%増の2万8,516台、前月は5位
7位 Rav4(トヨタ)6.5%減の2万6,429台、前月も7位
8位 シビック(ホンダ)5.1%減の2万6,359台、前月も8位
9位 アコード(ホンダ)15.2%減の2万5,551台、前月も9位
10位 エスケープ(フォード)0.1%減の2万4,685、前月は圏外

SUV版:新車販売台数、ブランド別ランキング(%は前年同月比)は以下の通り。今回は火災の影響で発表できなかったフォードの「エクスプローラー」、「エスケープ」が姿を消し、代わりにトヨタの「ハイランダー」、フィアット・クライスラーの「ジープ・ラングラー」、がランクインした。前年比で減少した車種は6つで、前月の7つから減少した。

1位 CR−V(ホンダ)4.4%増の3万306台、3ヵ月連続で1位
2位 RAV 4(トヨタ)6.5%減の2万6,249台 3ヵ月連続で2位
3位 ローグ(日産)15.1%減の2万4,939台、3ヵ月連続で3位
4位 アウトバック(スバル)22.3%増の1万8,008台、前月は8位
5位 エキノックス(GM、シボレー)11.0%減の1万9,664台、前月は10位

6位 ジープ・グランドチェロキー(フィアット・クライスラー)17.8%増の1万8507台、前月も6位
7位 フォレスター(スバル)1.0%増の1万5,330台、前月は9位
8位 ハイランダー(トヨタ)32.7%増の1万7,668台、前月は11位
9位 ジープ・ラングラー(フィアット・クライスラー)7.4%減の1万4,469台、前月は12位
10位 ジープ・チェロキー(フィアット・クライスラー)22.8%減の1万3,531台、前月は7位

(カバー写真:GM)

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