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バロンズ:驚くべき税制改革、成立まで道程は遠い

by • February 12, 2017 • Finance, Latest NewsComments Off1025

Barron’s : Trump’s ‘Phenomenal’ Tax Reform Could Be A Long Way To Come.

バロンズ誌、今週のカバーは2016年に高リターンを達成した運用会社を振り返る。1位は運用資産1,279億ドルのNatixis Global Asset Managementで、2位は債券王のビル・グロス氏を放出して2年が経つPIMCO(運用資産2,890億ドル)、3位はステート・ストリート・バンク・トラストで1,149億ドル。好業績の理由は、本誌でご覧下さい。

当サイトが定点観測するアップ・アンド・ダウン・ウォールストリート、今週は税制改革をテーマに掲げる。抄訳は、以下の通り。

税制プランの摩訶不思議なミステリー=Magical Mystery Tax Plan

言葉に価値をつけるなら、トランプ米大統領が9日に発言した”驚くべき(phenomenal)税制改革”という言葉は1,750億ドル相当となる。トランプ米大統領が航空会社幹部との会合で税制改革に言及した、その日の時価総額の増加分だ。10日には1,000億ドル押し上げ、S&P500での時価総額は1週間で2,250億ドル増加した。

しかし、悪魔は細部に宿るというように税制改革に最悪な影響を及ぼすものを含まないとも限らない。ライアン米下院議長が提案する国境調整税なのか、あるいは簡潔な税制改革にとどまり財政赤字を膨らませるのか。それが問題だ。リンゼー・グループのピーター・ブックバール氏は国境調整税を導入した場合、原料を輸入して支払った税金を製品を輸出して税控除を受ける製造業と異なり、ドル高が進まない限り小売業者は税負担に喘ぐと指摘する。ただ、小売業の株価は上昇中で国境調整税を導入するとは考えていないようだ。ブックバール氏はそれでも、トランプ米大統領が国境調整税に手を加えた内容を支持すると見込む

税制改革で消費拡大期待が浮上か、SPDR S&P 小売りETF 投資信託は底打ち示す。
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(出所:Stockcharts)

ただし、ホライゾン・インベストメンツのグレッグ・バリエール氏いわくトランプ米大統領の税制改革はそう簡単に米議会を通過しない見通しだ。米下院でスムーズに可決できたとしても、問題はいつも米上院で起こる。バリエール氏によると、米財政金融委員会のオリン・ハッチ委員長は「数多くの問題」を明確にしており、国境調整税をはじめ税控除税源、相続税撤廃などを挙げ2017年の間に税制改革を実行に移すのは困難だという。

財政政策を考える上で、忘れてならないのは金融政策だ。早速、イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長はバレンタイン・デーの14日に米上院銀行委員で、15日に米下院金融サービス委員会で議会証言を行う。共和党主導の議会では、イエレンFRB議長が愛を感じることはないだろう。タルーロFRB理事が辞任を表明したため、トランプ米大統領が指名できるFRB理事は銀行監督担当の副議長を含め3人となり、少なくとも共和党の意向に沿うメンバーが送り込まれる可能性が強まった。

2016年12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、2017年の利上げを3回と予想した。FF先物市場から判断すると、次回3月14〜15日のFOMCではなく6月、9月、12月が有力である。いずれにしても金融政策の見通しを基に、イエレンFRB議長には財政政策の影響をめぐり質問されるに違いない。

金融危機以前から比べると5倍に膨らみ、4兆ドルに及ぶバランスシートにも質問が及ぶだろう。ハイパーインフレを引き起こす原因と批判されるなか、Fedは当初危機から脱すれば正常化に踏み切る計画だった。それが今では売却するどころか、償還を迎えた米国債や政府機関債の元本を再投資している。FOMCメンバーの間で議論が高まりつつあるが、その半面1月FOMC声明文では文言を変更しなかった。ミラー・タバクの主席経済ストラテジストのアンソニー・カリダキス氏は、FOMCメンバーは早急にバランスシート縮小に動けば市場が動揺するリスクに配慮したためと説き、ゆるやかな利上げ過程にある時と2013年のテーパー・タントラムの例を挙げる。

過剰流動性が後退する局面ではリスク・マネーから資金が流出して混乱を招くだけでなく、大きな問題が発覚する場合もある。バーニー・マドフ事件がまさに格好の例と言えるだろう。

同じようなケースが、中国でも起こりうる。Jキャピタル・リサーチのアン・スティーブンソン—ヤン氏によると、ピアツーピアの貸出や資産運用商品で債務不履行が増加中で、不動産市場は極めて脆弱だ。そして、中国人民銀行は短期市場の金利を引き上げつつある。人民元の下落を阻止することが狙いなのだろうが、それでも危機が生じる前に国外へ資金を移そうとする中国人富裕層の動きは止められないだろう。

——ランダル・フォーサイス氏、いつも通り米株の上昇に懐疑的な目を向けトランプ米大統領の税制改革も一刀両断にしています。ライアン米下院議長自身、2日に医療保険制度改革(オバマケア)撤廃・新制度移行に向けた取り組みを優先するため税制改革・インフラ投資拡大については「春以降」に取り纏める予定と発言していました。トランプ米大統領は逆に6日、オバマケアの新制度の提案を2018年に持ち越し税制改革を2017年内に実施する意気込みを示しており、食い違いは明白。トランプ政権の意向に沿い税制改革を優先すれば米株市場と富裕層を中心とした有権者はハッピーですが、オバマケアに頼る約2,000万人の反感を買うこと必至で、ライアン下院議長は慎重な舵取りが迫られます。

(カバー写真:Tripathi (kps-photo.com) /Flickr)

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