Flynn, Trump’s National Security Advisor Resigns Over Russian Contacts.
異例尽くしのトランプ政権で、また未曾有の事態が襲いました。
マイケル・フリン米大統領補佐官(国土安全保障担当)が13日夜、辞任したとのニュースが飛び込んできたのです。就任24日目で政権を去る補佐官としては、少なくとも戦後では最短記録に。トランプ政権発足前の2016年12月、ロシアの駐米大使であるセルゲイ・キャリスク氏と対ロ制裁解除について電話で協議した疑惑が持ち上がったためです。民間人が米国政府を代表し、外交交渉や介入を行うことを禁じるローガン法に抵触した疑惑が浮上しました。さらには対ロ制裁に関し協議しなかったと虚偽の説明を行ったとされ、最悪の場合は米連邦捜査局(FBI)が刑事告訴しかねません。
フリン氏は就任以前から問題を抱え、当時トランプ政権チーム入りしていた息子によるピザゲートは大騒動となりました。同名である息子はワシントンD.C.郊外のピザ店“コメット・ピンポン”が児童売春組織の拠点で、クリントン民主党大統領候補の側近だったポデスタ選対委員長が関与しているとの偽ニュースをツイート。拡散した偽情報を元に、半自動銃で武装した男性が店舗へ押しかけ発砲する事件が発生したものです。結局、縁故で政権チーム入りした息子は辞任と相成りました。
事実上、辞任に追い込んだ人物こそ入国禁止令で反発しトランプ米大統領に更迭されたサリー・イエーツ前司法長官代行その人。解任前の1月、ホワイトハウスに対し「ロシア当局者との協議内容に矛盾があり・・フリン氏は恐喝に弱い」と警告を放ったといい、その内容が報じられた直後の辞任劇となります。
RT(ロシア・タイムズ)は、フリン補佐官が「retire(引退)」したと報道後、削除。
(出所:Twitter via The Guardian)
後任には陸軍中将を務めた経験を持ち、国家安全保障会議(NSC)の事務局長として政権入りしたキース・ケロッグ氏(72歳)が就任します。同氏はベトナム戦争に従軍し、2003年には連合国暫定当局からイラク政府への政権移行を進める過程で最高作戦責任者を務めました。アメリカ統合参謀本部の統合参謀本部の指揮・統制・通信・コンピューター部長を経験。2003年に退役した後はソフトウェア大手オラクルでの勤務を経て、2005年には国防総省と契約する情報技術会社CACIインターナショナルのエクゼクティブ・バイスプレジデントに着任。2016年3月からは、米大統領選を戦うトランプ氏の外交政策アドバイザーに指名されました。
フリン氏と言えばトランプ米大統領がドル高とドル安のどちらが有益か午前3時に電話を掛け尋ねたエピソードがあり、側近中の側近といった印象でした。そのフリン氏に代わる補佐官はケロッグ氏なのか、あるいは別の人物を着任させるのか。あるいはスティーブ・バノン首席戦略官や就任演説を執筆したスティーブ・ミラー補佐官に権力が集約されるケースも考えられます。海外当局者としては、マティス国防長官やティラーソン国務長官の存在感が増すことを望むところでしょう。
ロシアという観点では、トランプ米大統領に火の粉が落ちるリスクが横たわります。ロシア側がトランプ氏のスキャンダルを撮影したテープを保有するとのニュースもあり、単なる性的問題を超える内容がリークされれば政権を揺るがす事態に発展しかねません。
ニュースを受けて、ダウをはじめ米株先物市場は若干の下落にとどまり。9日に税制改革に言及した流れを引き継いだトランプ・ラリーに翳りを見せていません。イエレンFRB議長は議会証言で、敢えてこのタイミングでタカ派寄りな姿勢を打ち出し独立したFedの存在感を見せつけるのか、暫くニュースのネタは尽きそうにないですね。
(カバー写真::Gage Skidmore/Flickr)
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