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バロンズ:米株相場という名のエレベータ—は、下降局面に入るのか

by • March 5, 2017 • Finance, Latest News, PromosComments Off918

Barron’s : Does Soaring Stock Market Dub “Love In A Elevator”?

バロンズ誌、今週のカバーは製造業を中心に普及が加速するロボットに焦点を当てる。今後の需要を見越し、日本のファナックや安川電機、ドイツのクカ、米国のロックウェル・オートメーション、スイスのABBなどを注目株と指摘。また85社のロボット関連株に連動するロボ・グローバル・ロボティックス・アンド・オートメーション・インデックスに連動するロボ・グローバル・ETFs(ROBO)という名の上場投資信託(ETF)を挙げ、過去1年間に37%のリターンを記録したと伝える。詳細は、本誌をご覧下さい。

当サイトが定点観測するアップ・アンド・ダウン・ウォールストリート、今週は株高とFedの利上げをテーマに掲げる。抄訳は以下の通り。

ドナルド・トランプ氏が不動産王として名を馳せたことは、周知の事実である。しかし、偉大なる米株のセールスマンであると誰が予想しただろうか?

トランプ米大統領による議会演説を受けて、3月1日に米株相場は急伸した。SPDR S&P 500(SPY)、別名スパイダースには80億ドルもの資金流入を確認し、2014年12月以来で最大を記録したものだ。米株の投資信託に流入した98億ドルの大半を占める。トランプ米大統領が米株相場の時価総額がいかに拡大したか、ツイートするのも頷ける。おかげで、金融紙ではないメディアも飛びつきニューヨーク・タイムズ紙は一面で報じ、公共ネットワークのPBSも平日夜のニュース番組”PBSニュースアワー”でも取り上げられた。ダウが2万1,000ドル台を突破したほか、動画配信アプリのスナップチャットの親会社スナップの新規株式公開(IPO)も話題を集めた。

JPモルガンのニコラオス・パニギゾグロウ氏によると、3月1日の米株相場急伸の前から株価を押し上げてきたのは個人投資家で、ETFを中心に買い上げてきた。逆に機関投資家は様子見スタンスか、ポジションを縮小してきたという。

SPDR S&P 500は上昇著しく、RSIやMACDなどは過熱感を点灯中。

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(出所:Stockcharts

個人投資家の存在感が増すなかで、オンライン証券会社は競争が激化している。チャールズ・シュワブが2月に1回当たりの株式、ETFの取引手数料を7.95ドルから6.95ドルへ値下げした動きに合わせ、フィデリティ・インベストメントは従来の7.95ドルから4.95ドルまで引き下げた。TDアメリトレードE*トレード・フィナンシャルも9.99ドルから6.95ドルへの値下げを余儀なくされた。

ルーソールド・グループのダグ・ラムジー最高投資責任者(CIO)は、8年目を迎えた強気相場に個人投資家が押し寄せたのは最近だと指摘する。過去に株価上昇を迎えた頃を振り返ると個人投資家が資金を流入させたのは、1976〜80年や2006〜07年などは天井を迎えたタイミングだった。

足元のセンチメントは、少なくとも活気に満ち溢れている。インベスターズ・インテリジェンスの調査では強気派が63.1%で1987年以来で最高を記録し、強気派が”危険水域”とされる55%を超えたのは14週連続となる。弱気派は16.5%と、2015年7月以来で最低だった。強気派と弱気派のスプレッドは46.6%に達し足元で最大に及び、足元で調整局面を示唆する20.4%を大幅に超えている。オプション市場でも変化が見られ、アウト・オブ・マネーで強気派のコールが弱気派のプットを上回る状況だ。

ラムジー氏は、足元の米株相場の上昇は小型株から中型株、輸送株から公益株まで幅広く買われ底堅さを示すと分析する。しかしラムジー氏は株価収益率(PER)や株価売上倍高率などをにらみ割高感に警戒を寄せ、ここまで過大評価された時期はITバブルに達した2000年3月以来だと指摘。その半面、S&P500が2,500〜2,600まで値上がりする可能性については否定していない。

S&P500の2,500と言えば、バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチが呼ぶ”イカロス・トレード”の目標水準だ。その翼が熱で溶けてしまうまで、米国債利回りをはじめドル、原油先物価格も舞い上がるのだろう。

ラムジー氏は、「市場は下落するまで多くの強気派を上昇中のエレベーターに押し込むものだ」とのダウ理論の第一人者で投資情報紙の草分け的な存在であるリチャード・ラッセル氏による警句を振り返る。エレベータ—のドアはまだ閉まっていないが、閉所恐怖症には狭苦しく感じ始めているのかもしれない。

米連邦公開市場委員会(FOMC)が14〜15日に予定する。足元でFF先物市場でみた利上げ織り込み度は94%で、2週間前の2倍に膨らんだ。イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長は最大限の雇用とインフレ2%の目標に到達しつつある点を根拠に挙げたが、2016年に4回の利上げを示唆しながら1回にとどめた当時も同様の認識を示していたものだ(筆者注:2015年12月FOMC議事録では利上げが”際どい”判断だったものの年4回の利上げを予想し統治目標の達成が近いと判断、2016年中も4月7月9月のFOMC議事録などで目標達成に接近中と指摘”。

そのせいか、市場関係者の間ではなぜ今Fedが利上げに踏み切るのか首を傾げている者もいる。イエレンFRB議長率いるFedが、トランプ政権の経済政策を利上げで台無しようとしているとの陰謀説が出てくるほどだ。

バークレイズは、今利上げを実施する理由として「金融市場の改善、特に米株相場の上昇」を挙げている。3月利上げを食い止められるのは、労働市場の悪化を示す米2月雇用統計だけだろう。とはいえ、米2月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)は前月比18.5万人増、失業率は4.7%が見込まれており、その可能性は低い。

FF先物市場はFOMCのドット・チャートの水準へシフトし、年末までに1.25〜1.50%となる織り込み度は50%へ上昇した。バークレイズは金融政策が緩和的でなくなると同時に、トランプ経済政策の実現も遅れると見込む。そして財政出動の効果が現れるのは2018年7〜9月期と予想、中間選挙の直前まで現れない見通しだ。政治的には好都合なのだろうが、市場関係者の予想よりずっと遅い。

——やはり慎重派のランダル・フォーサイス氏執筆のアップ・アンド・ダウン・ウォールストリートのコラムは、米株高の熱狂に一石を投じてきました。強気派と弱気派の調査が米国個人投資家協会の結果と正反対だった一方で、同じく1987年以来の水準を示した点は、不気味さを禁じ得ません。米株相場の伝説的ウォッチャーのリチャード・ラッセル氏がエレベータ—を比喩にたとえていましたが、永遠のロックバンドであるエアロスミスの”Love In An Elevator”の歌詞も”Lovin’ it up ’til I hit the ground”でしたっけ。3月利上げへ着々と準備するFOMCにも、要注意。ドット・チャートで年内4回の利上げ、あるいは2018年利上げ予想を3回から4回へ変更しないとも言い切れず、これまで3月利上げに無反応だった米株相場に衝撃が走るリスクも想定しておきたいところです。

(カバー写真:dangerismycat/Flickr

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