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バロンズ、国境調整税の廃案を提唱

by • March 20, 2017 • Finance, Latest NewsComments Off358

Barron’s : BAT, Border Tax Adjustment Is A Bad Idea.

バロンズ誌、今週のカバーは大胆にも「Why the Border Adjustment Tax Should Be Killed=国境調整税を否決すべき理由」を掲げる。抄訳は、以下の通り。

国境調整税は、廃案に追い込むべきだ。そもそもトランプ米大統領自身、就任前から「国境調整税は複雑過ぎる」と発言していた(筆者注:議会演説では国境調整税導入への示唆を表明)。大抵の場合、トランプ米大統領が非公式に発言する場合は正しい情報ではないが、当時は本音だったのだろう。提案された国境調整税は複雑で、推進者の間ですら経済への影響について一致した意見を確認していない。また、愛すべき理由もない。国境調整税(BAT)はバッド(bad)アイデアだ。

下院の共和党は政策綱領”ベター・ウェイ”で、法人税率を世界最高水準にある35%から20%へ引き下げ、同時に国境調整税を導入し輸入品に20%の課税、輸出には非課税とする措置を盛り込んだ。つまり輸入品を米国内で販売する企業の税負担を高めることで、1年間で1,000億ドル、10年間で1兆ドルもの歳入増が予想されている。貿易赤字は実質国内総生産(GDP)の3.4%でピークを迎えた2005年の5.5%以下だが、輸入額は2.7兆ドルとGDP比16.2%で輸出額の2.2兆ドルでありGDP比12.8%、即ち輸入額が輸出額を5,000億ドル上回るため年間1,000億ドルの歳入が期待されるというわけだ。

国境調整税の支持者は輸出を促進し輸入にペナルティを与え、アダム・スミスの”国富論”の反対を行く方向性だ。輸入へ課税することで、年間1,000億ドルもの歳入が見込まれるかどうかも疑問である。国境調整税の導入はドル高を招くとみられ、観光業にも打撃を与えよう。既に同セクターはロサンゼルス・タイムズ紙が言うところの”トランプ・スランプ”に直面している。また、世界貿易機関(WTO)が国境調整税に挑戦するシナリオも見逃せない。

筆者:以下は2016年8月までの海外旅行者ランキング・トップ10で、メキシコのほか中国、韓国、インドのアジア諸国以外は全て減少し日本も前年比マイナスに。カナダとメキシコのツートップは50.5%を占める。

1位 カナダ 13,428,347人 −10.2%
2位 メキシコ 12,255,948人 4.9%
3位 英国 3,019,111人 -3.9%
4位 日本 2,352,919人 −4.3%
5位 中国(除く香港) 2,098,333人 14.5%

6位 ドイツ 1,322,882人 −10.8%
7位 韓国 1,282,097人 10.8%
8位 フランス 1,127,868人 −7.7%
9位 ブラジル 1,109,066人 −25.7%
10位 インド 874,016人 5.9%

(出所:ITA

国境調整税より、別のルートでの歳入増を模索すべきではないか。例えば農業向け補助金や地域発展を目指した補助金など、いわゆる”企業助成金”の削減で660億ドル、高齢者医療向け公的医療保険(メディケイド)の不適正な支払いを半減させることで400億ドル、さらに法人税率の引き下げで500億ドルの歳入増が見込まれるという。所得税の減税幅縮小で440億ドル相当の歳入減を防ぐことが可能だ。国境調整税に依存する必要はない。

——今回は当サイトが定点観測するアップ・アンド・ダウン・ウォールストリートは個別銘柄のトピックを挙げていますのでお休みさせて頂きました。共和党寄りのバロンズ誌が国境調整税に反旗を翻すとは興味深い限りですが、マコーネル上院院内総務が慎重な立場を崩していない上に、共和党の長年の支援者であるコーク兄弟も国境調整税に反旗を翻しつつあります。スンナリ成立しづらい状況を反映したのでしょう。

(カバー写真:Ken Lund/Flickr)

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