The Best City To Live In The U.S. Goes To..
不動産王で名を馳せたドナルド・トランプ氏を大統領に選出した米国は金融危機後の景気回復サイクル8年目を迎え、成長率は巡航速度で拡大中です。そのトランプ米大統領は最初の政策立案となる医療保険制度改革(オバマケア)の撤廃で躓いたものの、税制改革の成立に向け動き始めました。税制改革の実質リーダーである国家経済会議(NEC)のコーン議長は、下院歳入委員会の委員を務める共和党議員と面談を行うなど、調整を開始しています。ワールド・ベースボール・クラシックで悲願の初優勝を果たした米国は、さらなる成長拡大へ向け舵を切りました。
その米国で、快適に生活できる都市はどこなのでしょうか?調査会社リバビリティが2,000人の成人に聞き取り調査のほか、住宅都市開発省や教育省、環境保護局、公的医療保険センター(メディケア、メディケイド)のデータを基に弾き出した“住みやすい都市ランキング”は、以下の通りです。なお全米の人口は3.2億人、世帯年収の中央値は5万3,889ドル、住宅価格の中央値は17.9万ドル、貧困率は13.5%、白人比率(ヒスパニック除く)は63.7%、となります。
10位 スーフォールズ(サウスダコタ州)
→市内に70ヵ所の公園などを抱えるほか、教育環境にも恵まれる都市。スポーツイベント、音楽、芸術など数多くのフェスティバルを1年中楽しめる。
人口:15万7,675人
年収中央値:5万1,672ドル
住宅価格中央値:15.1万ドル
貧困率:12.1%
白人の割合:84.9%
9位 アイオワシティ(アイオワ州)
→アイオワ大学は市民に開放し、講義やワークショップを体験できる。医療保険が充実するほか、学校やレストランなどの環境にも利点あり。
人口:6万9,314人
年収中央値:4万1,410ドル
住宅価格中央値:18.1万ドル
貧困率:28.2%
白人の割合:79.7%
8位 アナーバー(ミシガン州)
→2014年には、最もリベラルな都市ランキングで1位を飾った。大学の環境にも恵まれ、市内には150カ所の公園を有する。
人口:11万5,331人
年収中央値:5万5, 003ドル
住宅価格中央値:23.1万ドル
貧困率:23.4%
白人の割合:70.4%
7位 ビスマーク(ノースダコタ州)
→住宅市場が最も手頃な都市の一つで、医療保険制度に強みあり。ミズーリ川のほとりで各種スポーツが楽しめるほかゴルフコースを有し、ダウンタウン・エリアも活況。
人口:6万3,353人
年収中央値:5万4, 969ドル
住宅価格中央値:16.4万ドル
貧困率:9.6%
白人の割合:91.6%
6位 パロアルト(カリフォルニア州)
→フェイスブックが本社を構えるなど、IT関連企業が多く進出する。風光明媚な公園に加え広々とした環境は住民に憩いを与える。ただし、裕福なエリアなだけに住宅価格は格段に高い。
人口:6万5,234人
年収中央値:12万1, 465ドル
住宅価格中央値:100万ドル
貧困率:5.4%
白人の割合:60.6%
5位 ボルダー(コロラド州)
→自然環境に恵まれ、住民はロッククライミングからスノーボードまで幅広くスポーツが楽しめる。コロラド州は肥満率の低い州で知られるが、同市が牽引の存在が大きいだろう。
人口:10万363人
年収中央値:5万6, 312ドル
住宅価格中央値:48.9万ドル
貧困率:23.1%
白人の割合:83.0%
ボルダーなら豊かな自然に囲まれ、ゆったり生活できる?
(出所:Let Ideas Compete/Flickr)
4位 サンタバーバラ(カリフォルニア州)
→富豪一家をめぐる同名のソープオペラがあったため、ご記憶の方も多いかでしょう。天候に恵まれ観光都市としても名を馳せ、質の高い学校やレストランでも有名。
人口:8万9,062人
年収中央値:6万5, 034ドル
住宅価格中央値:83.2万ドル
貧困率:13.9%
白人の割合:50.4%
3位 マディソン(ウィスコンシン)
→トップクラスの医療保険システムを誇り、過去3年にわたり最も住みやすい都市の常連でもある。経済の33%を非白人が支え、かつ大学卒の就業者が多いように教育への意識も高い。
人口:23万7,395人
年収中央値:5万3, 464ドル
住宅価格中央値:21.4万ドル
貧困率:7.2%
白人の割合:75.7%
2位 ベルビュー(ワシントン)
→シアトルの郊外にある都市で、1年中にわたり温暖な気候に恵まれ各種スポーツが満喫できる。教育水準も高く、注目のイベントも数多く予定しダウンタウン地区は足元で開発・発展が著しい。2010年には、CNNマネーが実施した起業に最適な都市ランキングに入った。
人口:12万9,209人
年収中央値:9万333ドル
住宅価格中央値:52.5万ドル
貧困率:9.8%
白人の割合:59.2%
1位 ロチェスター(ミネソタ州)
→米国屈指の大手総合病院であるメイヨー・クリニックを抱え、雇用だけでなく充実した医療保険を提供し住みやすさナンバーワンに輝く。教育に注力するほか、エンターテイメントの裾野も広げ寒冷な気温を乗り越え発展を目指す。
人口:10万8,179人
年収中央値:6万2,575ドル
住宅価格中央値:16.4万ドル
貧困率:5.7%
白人の割合:86.8%
――以上、いかがでしたか?まさかカナダと国境を接するミネソタ州の都市がトップを飾るとは、想像していませんでしたよね?ランキングに入った都市をみると、カリフォルニア州から2都市、ワシントン州から1都市と西海岸から合計3都市がベストテンに食い込んだ一方、東海岸はゼロでした。
2016年7~9月期の州内総生産をみると、1位のミネソタ州は前期比年率4.3%増、3位のコロラド州が5.1%増と良好そのものとはいえ、カリフォルニア州は3.3%増、ワシントン州も3.4%増ですからNY州とフロリダ州の3.6%増、ニュージャージー州の3.9%増と遜色ありません。それでも人口の伸びは明暗が分かれ、特にNY州の人口は2012年に3位の座をフロリダ州に奪われました。
そもそも人口別トップ10の州で前年比の増減を比較すると、ラストベルトの一角を成すペンシルベニア州やオハイオ州、ミシガン州、そのほか先物取引所を抱えるイリノイ州やウォール街を頂くNY州の伸びが弱いんですね。
高齢化や物価上昇(家賃をはじめ)も重なり、気温の低い東海岸地域や都市部では“住みやすさ”を追求できないということなのでしょう。そういえば、NY市からテキサス州オースティンやフロリダ州フォートローダーデール、さらにはアイルランドなどへ引っ越していく友人が後を絶ちません。オンライン小売やリモートワークが普及する時代、大都市に住む魅力は失われつつあります。
(カバー写真:Jesse Thorstad/Flickr)
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