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バロンズ:シリア攻撃で、トランプ政権の優先課題は変わるのか

by • April 9, 2017 • Finance, Latest NewsComments Off650

Barron’s : President Trump Could Change His Priorities After The Air Strike.

バロンズ誌、今週のカバーは年金運用・金融サービスで知られるTIAAにスポットを当てる。2016年までTIAA-CREF(全米教職員保険年金協会・大学退職年金基金)として知られる同社は、2014年に運用会社ヌビーン・インベストメンツの買収を発表。グリーンスパン時代に米連邦準備制度理事会(FRB)で副議長を務めたコーン氏が2008年4月から最高経営責任者(CEO)を務めるTIAAは、成長を求め大胆な変革に着手し始めている。詳細は、本誌をご覧下さい。

当サイトが定点観測するアップ・アンド・ダウン・ウォールストリート、今週は米国によるシリアへのミサイル攻撃とトランプ政権の狙いについてフォーカスする。抄訳は、以下の通り。

空爆は、トランプ政権の優先事項の変化の現れか?=Do Airstrikes Signal New Priorities for Trump?

トランプ米大統領は4月6日夜、化学兵器を使用したシリアに制裁を下しシャイラト空軍基地へ59発のトマホーク巡航ミサイル攻撃を断行した。ミサイル攻撃をめぐっては共和党だけでなく民主党の支持を得ため、ワシントン・ウォッチャーで知られるホライゾン・インベストメンツのグレッグ・バリエール氏は「決定的な瞬間であり、トランプ政権の勝利」と分析する。また、核実験並びにミサイル発射を続ける北朝鮮にも牽制を与えた格好であり「(オバマ前政権での)8年にわたる消極的関与の終幕”との見方も示した。

地政学的リスクの影響は数日で消えるものだが、今回は早かった。S&P500は米国によるミサイル攻撃のニュースに反応し時間外取引で0.75%近く下落したが、通常取引ではプラス圏を回復して引け。リンゼー・グループのピーター・ブックバール氏に言わせれば、「トランプ政権の税制改革と世界の金融政策が今年の重要テーマであることに変わりない」ためだろう。

ダウ先物は時間外で一時100ポイントも下落も、一時的。

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(出所:Marketwatch

ストラテガス・リサーチ・パートナーズのエコノミスト、ドン・ロスミラー氏とエリカ・ハリー・コンプ氏はシリア攻撃後の次の一手こそ「単独で北朝鮮の脅威を制する」動きとなる可能性をにらむ。仮にそうなれば「政策優先課題が入れ替えられ」、税制改革その他ではなく防衛問題が最優先されるだろう。

思い起こせば、ライアン米下院議長は5日に税制改革をめぐり医療保険制度改革(オバマケア)撤廃・代替案への移行より時間がかかる可能性について言及していた。米上院も独自の動きをみせており、ホワイトハウスと合わせそれぞれが同じ方向に進んでいるようには見えない。さらに4月28日に暫定予算案が期限切れを迎え、最悪の場合には政府機関が閉鎖されてしまう。4月10日から2週間にわたってイースター休暇を迎えるため、政府機関の閉鎖を回避するための協議時間は24日から1週間程度しかない。

しかしバリエール氏は、シリア攻撃がトランプ政権の転換点でこれまでの失敗を水に流すものと判断し「米国は侮れない権威(=force)として再浮上する」と予想。同時に超党派の支持を漸く得られた今、問題はトランプ政権が今回の転換点を有効利用できるかだという。ただし、地政学的リスクへの対応が優先されれば税制改革やインフラ投資などがないがしろにされかねない。2018年の中間選挙にも影を落とすだろう。

ブックバール氏によると、最終的に市場が注目するのは金融政策と財政政策だ。米3月雇用統計は、年内あと2回を予想する米連邦公開市場委員会(FOMC)は政策の道筋を変更するものではない。時期となれば、話は別だ。市場では6月と12月の見方が大勢を占めるが、非農業部門就労者数(NFP)の減速や25〜54歳の男性就業者数の減少など弱い材料を反映したのだろう。2月は過去2番目に高い気温だった一方、3月は積雪に見舞われるなど天候の変化が影響を与えたとも考えられる。失業率が4.5%と2007年5月以来の水準へ改善したものの、平均時給の伸びを踏まえれば好結果とも言いづらい。

3月FOMC議事録では、4兆ドルを超えるバランスシートの年内縮小を目指す意思を確認した。”受動的かつ予想可能な”方法と表現されたように、突然再投資を止め市場に衝撃を与えるような手段を講じない見通しだ。利上げと同時に行うリスクも意識しており、NY連銀のダドリー総裁は利上げと再投資の停止を同時に行わない可能性言及している。

膨大なバランスシートは米議会を中心に批判を浴びてきたため、Fedとして縮小するのはやぶさかではない。しかし、米国債や政府機関債、住宅ローン担保証券の再投資停止はドルの流動性を高めることになる。JPモルガンのマイケル・フェローリ主席エコノミストいわくバランスシートの右側、つまり負債に相当するドルについては「プーチン露大統領や北朝鮮の金正恩といった世界の政治的指導者次第だろう」。結局、マーケットは地政学的リスクを無視できないというわけだ。

——トランプ米大統領のシリア攻撃は、非常に手際良く抜群のタイミングを見計らったものでした。海外への関与に否定的なスティーブ・バノン首席戦略官を米国家安全保障会議(NSC)の閣僚級委員会常任メンバーから外した後というのも、ポイントです。また支持率が低下中だった事情もあり、幼い子供や赤ちゃんが犠牲になった映像を見て民主党の支持を獲得すると判断し結束を図るチャンスと判断したのでしょう。税制改革やインフラ投資の遅れの隠れ蓑にもなり、シリア攻撃はトランプ政権にとって失地回復の好機と移ったに違いありません。シリア攻撃をきっかけに政府機関の閉鎖を回避できるか、トランプ米大統領にとっての正念場は続きます。

(カバー写真:Defense Department

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