Consumer Confidence Dips From 17-Year High.
米4月消費者信頼感指数、米4月マークイット・サービス業PMIをおさらいしていきます。
米4月消費者信頼感指数は120.3となり、市場予想の122.5を下回った。2000年12月以来の高水準を達成した前月の124.9(125.6から下方修正)から鈍化している。内訳をみると、現況指数が140.6と、2001年8月の水準を達成した前月の143.1以下に。見通し指数も106.7と、2000年9月以来の水準へ上振れした前月の113.8を下回った。4月は医療保険制度改革(オバマケア)撤廃・代替案移行が失敗に終わった後、トランプ政権がシリア攻撃に踏み切ったほか北朝鮮問題など地政学的リスクが浮上。同時に、トランプノミクスの目玉の一つである税制改革が後ろ倒しになるとの観測が流れセンチメントを押し下げた。
発表元であるカンファレンス・ボードのリン・フランコ経済指標ディレクターは、結果に対し「2ヵ月にわたり急伸した後で低下したものの、引き続き高水準を維持している」と振り返った。その上で「経済成長が数ヵ月先に拡大していく」と予想しつつ、前回の「加速」から表現をトーンダウンした。
消費者信頼感指数、2000年12月以来の高水準から鈍化。
(作成:カンファレンス・ボードよりMy Big Apple NY)
今回は現状の労働市場に対し、「職が豊富」から「職探しが困難」を引いたDIは11.7と、2001年8月以来の高水準だった前月の12.8(修正値)を下回った。ただし、10ヵ月連続でプラス圏を維持している。以下は、結果の詳細。
ビジネス環境については、「良い」が低下し「悪い」が上昇
「良い」30.2%→前月の32.4%から低下、前年同月は24.2%
「悪い」13.8%→前月の13.1%から上昇、前年同月は18.2%
「普通」56.0%→前月の54.5%から上昇、前年同月は57.6%
労働市場については「豊富」が低下し「困難」が上昇、DIは10ヵ月連続でプラス
「職が豊富」30.8%→前月の31.8%から低下、前年同月は24.2%
「あまり職が豊富ではない」50.1%→前月の49.2%から低下、前年同月は53.0%
「職探しが困難」19.1%→前月の19.0%から上昇、前年同月は22.8%
6ヵ月先のビジネス環境への見方は、「良くなる」が低下し「悪化する」が上昇。
「良くなる」24.8→前月の26.9%から低下、前年同月は13.8%
「悪化する」10.9%→前月の8.5%から上昇、前年同月は10.8%
「変わらない」64.3%→前月の64.6%から低下、前年同月は75.4%
6ヵ月先の労働市場への見方は「増加」が上昇し「減少」が低下、5ヵ月連続で「増加」が「減少」を上回る
「雇用が増加する」23.0%→前月の23.8%から低下、前年同月は12.7%
「雇用が減少する」13.1%→前月の12.7%から上昇、前年同月は16.7%
「変わらない」63.0%→前月の65.5%から低下、前年同月は71.8%
6ヵ月先の所得への見方は「増加」が低下し「減少」が変わらず
「増加する」19.3%→前月の22.5%から低下、前年同月は15.8%
「減少する」7.5%→前月の7.5%と変わらず、前年同月は12.4%
「変わらない」73.2%→前月の70.0%から上昇、前年同月は71.8%
購入見通しは、住宅のみ低下し自動車と主要機器がそれぞれ前月値を上回った(自動車は前月の13.8%→14.2%と直近で最高、主要機器は前月の51.5%→52.6%と直近で最高、住宅は前月の6.2%→5.8%へ低下)。
▽米4月マークイット・サービス業PMI速報値
米4月マークイット非製造業PMI速報値は52.5と、市場予想の53.2並びに前月の52.8にも届かなかった。2015年11月以来の高水準だった1月の55.6をピークに低下をたどり、米大統領選挙以前の2016年10月以来の水準へ押し返されたままだ。製造業と合わせた総合指数も52.7と、前月の53.0を下回り2016年10月以来の水準へ下振れしている。
クリス・ウィリアムソン主席ビジネス・エコノミストは、速報値から下方修正された結果を受け「1~3月期国内総生産(GDP)は前期比年率1.1%増、4~6月期は1.7%増」と見込んだ。雇用の鈍化にも着目し、「米3月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)が10万人を割り込む増加にとどまった内容と整合的」と指摘。ただ、あくまで米大統領選挙後の急伸からの調整であり「米経済は数ヵ月内に回復へ向かう」と楽観的だった。
――4月26日に発表された小売売上高の修正を受け、米1~3月期GDP速報値をめぐり、エコノミストは予想を下方修正してきました。JPモルガンは従来の前期比年率0.6%増から0.4%増、UBSも0.9%増から0.5%増へ引き下げています。NY連銀の予測値は2.7%増でしたが、アトランタ連銀の予測値0.5%増に収れんしてきました。いよいよ明日(28日)は、米1~3月期GDP速報値の公表日でどちらの予測が正しいかが判明します。運命の女神は、どちらに微笑むのでしょうか?
(カバー写真:Franck Michel/ Flickr)
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