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バロンズ:ボラティリティの低下、テクノロジー企業の躍進が一因

by • May 14, 2017 • Finance, Latest NewsComments Off702

Barron’s : IT Major Players Could Play Their Roles To Push Volatility Down.

バロンズ誌、今週のカバーページで海外株を推奨する。2009年3月から幕開けした米株の強気相場からはや8年、欧州の政治問題や銀行危機、日本の成長低迷から一転して海外市場に明るさが増してきた。海外株は、伸びしろも大きい。過去8年間のパフォーマンスは配当分を再投資したベースでS&P500が215%の上昇を演じた一方、欧州株Stoxx600指数はドルベースで105%上昇し、2007年の最高値を下回った水準を維持。海外株で最も有名なMSCI EFEA指数(欧州、豪州、極東)はドルベースで97%上昇、最高値から20%以下にとどまる。既に海外株が米株を上回る勢いを見せており、S&P500のリターンが6%高に対し欧州が20%を占めるMSCI EFEA指数は7.4%高だった。

バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチのサビタ・スブラマニアン氏がS&P500をアンダーウェイトとし、日本と欧州に対しては数多くの決算が上方修正されたと指摘する。ニューバーガー・バーマン・インターナショナル・エクイティ・ファンドのベンジャミン・シーガル氏は、米株が仮に弱気相場に入ったとしても、投資家は割安な株式市場に資金を振り向けると予想していた。詳細は、本誌をご覧下さい。

当サイトが定点観測する名物コラム、アップ・アンド・ダウン・ウォールストリートでは、米連邦捜査局(FBI)のコミー前長官解任劇と市場のボラティリティの低下に焦点を当てる。抄訳は、以下の通り。

Trump, Nixon, and the Economy=トランプ、ニクソン、そして経済

「歴史は繰り返さないが、韻を踏む」とは、マーク・トウェインの名言の一つで、1973年10月と2017年5月9日の出来事を連想させる。コミーFBI長官の解任劇は、ウォーターゲート事件を追いかけていたアーチボルト・コックス特別検察官を更迭させ司法長官などを解任に追い込んだ”土曜夜の殺戮”を彷彿とさせ、同時に市場は1970年代に突入した経済低迷期や1980年代まで強気相場入りを待たねばならなかった当時の動向を思い出したに違いない。

1973年の2年前、1971年8月15日に時のニクソン米大統領は金とドルの交換停止をはじめ90日間に及ぶ賃金と物価の凍結のほか10%の輸入課徴金の導入を発表。ドル切り下げは原油先物を中心に商品価格の急騰を招き、ガソリン高やその他の物価を押し上げ、1974年11月にはインフレは12%にまで跳ね上がった。失業率は9%と世界恐慌以来の水準へ悪化し新規失業保険申請件数が急増するなかでも米連邦準備制度理事会(FRB)は引き締め策を余儀なくされ、1974年半ばのFF金利誘導目標の水準は13%に達した。

経済と米株に大きな影響を与えたのは言うまでもなく、国内総生産(GDP)は天井から底まで3.7%も縮小し2007〜09年の金融危機で5.1%を示すまで最大を記録した。S&P500は、1973年1月のピークから1974年12月の底値まで51.5%下落した。こうしてみると、失業率が4.4%でコア消費者物価指数が前年同月比1.9%の現状とはまるで違う。おかげで、Fedの政策も利上げに急ぐよりゆるやかなペースにとどまる状況だ。ダウやS&P500は8日週に週足で3週ぶりの下落に転じたものの、共に過去最高値に近い水準を保つ。S&P500のオプション取引の値動きで算出され恐怖指数と呼ばれるVIX指数は一時10を割り込むほど平穏で、投資家はまるでオプション市場でヘッジをする必要がないかのようだ。

かつて米銀の債券調査チームを率いてきたデビッド・P・ゴールドマン氏は、アジア・タイムズ紙にてこう指摘する。「かつて米株を構成する企業は経済の風景を変える挑戦者で、アップル、グーグル、シスコシステムズ、インテルその他がその例だ。しかし、こうした銘柄はルーク・スカイウォーカーからジャバ・ザ・ハットに姿を変えてしまった」。つまり、一連のテクノロジー企業は独占状態にある公益会社のごとき存在になってしまったと説き、テクノロジー・セレクト・セクター・SPDR (XLK)のボラティリティは 公益・セレクト・セクター SPDR (XLU)だという。

テクノロジー・セレクト・セクター・SPDR、4月開始の決算発表後に急上昇。
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(出所:Stockcharts)

その上で、ゴールドマン氏は「テクノロジー大手は各分野の独占企業でありグーグルはネット広告、マイクロソフトはパソコンのソフトウェアを、フェイスブックはターゲティング広告の、アマゾンはネット販売で競争相手がいないも同然だ。アップルは特に奇妙な独占企業で、消費者は世界最大の時価総額を有する同社の個性に対し割高な対価を払っている」と指摘する。一連の企業は、2014年のグーグルのように巨額なロビー活動費用に投じてきた。ゴールドマン氏は、スタートアップ企業が誕生しても、アマゾン・グーグル・マイクロソフト・フェイスブックによるプランテーションに手数料を支払う羽目になり、新興企業の規模は小さいままに終わってしまうとの見解を寄せる。新たなテクノロジーが誕生し既存のテクノロジー大手企業に取って代わるまで、米国の経済はオプション市場で現れるように現状維持が続きかねない。

——市場のボラティリティ低下が独占企業と化した大手テクノロジー企業の影響というのは、興味深い指摘です。ジャバ・ザ・ハットなんて、ご案内の通り映画”スターウォーズ”で銀河系最大のギャングにして政界に影響力を持つ悪役ですから、辛辣ですね。ダウが3月1日に最高値を更新してから上値が重い半面、S&P500とナスダックが好調な理由は構成銘柄に占めるテクノロジー株の違いを如実に現しています。逆に言えば、テクノロジー株という寄与度の高い銘柄以外はそれほど勢いに乗っているかというと別問題。米経済についても米4〜6月期GDPの改善が期待される半面、現時点で成長の7割を担う個人消費は2.5%付近の回復が見込まれる程度です。成長ペースの加速にはトランプ政権肝煎りの税制改革やインフラ投資、規制緩和が肝要で、FBI長官解任劇が投げた波紋は米株相場を直撃しかねません。

(カバー写真:Christian Rondeau/Flickr)

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