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バロンズ:金融危機の発端から10周年、米株市場の安定は本物か

by • June 25, 2017 • Finance, Latest NewsComments Off904

Barron’s : After 10 Years Since The Beginning Of Financial Crisis.

米国出張のため、暫く更新できませんでした。帰国しましたので、あらためてどうぞ宜しくお願い致します。

バロンズ誌、今週のカバーは年金にスポットライトを当て同誌推奨のベスト50を挙げる。詳細は、本誌をご覧下さい。

当サイトが注目する名物コラム、アップ・アンド・ダウン・ウォールストリートでは、金融危機から10年の節目に米株相場に死角はないのかを問う。抄訳は、以下の通り。

金融危機はこうして始まるのだろうか?—Is This How a Financial Crisis Begins?

今月で、金融危機から10周年を迎える。2007年6月、ベア・スターンズ傘下の2つのヘッジファンドは、サブプライム住宅ローン担保証券で組成されたクレジット・デリバティブを引き金に破綻に追い込まれた。その後に起こった連鎖反応のきっかけである。

同年8月には、世界中のマネーマーケット市場が混乱に陥り、米連邦準備制度理事会(FRB)はインフレ懸念を示していた当初の軌道を変更せねばならなくなった。FRBは、何度となく利下げ(公定歩合を引き下げ、翌9月には2003年6月以来となるFFレートの引き下げを断行)を余儀なくされた。2008年3月にはJPモルガンがベア・スターンズを吸収合併するに至り、同年9月にはリーマン・ブラザーズが破綻した。

金融危機から10年を経て、市場動向を不安視する声は聞かれていない。しかし、中国では変化が現れている。中国当局は、18日の週に中国国内の銀行その他の貸出手に対し”大企業に対するシステミック・リスク”を監視するよう指示した。中国企業は足元、世界中で食指を広げ過去にNYの名門ホテルであるウォルドーフ・アストリアからカナダのサーカス団体シルク・ド・ソレイユを買収し、その金額は500億ドル以上にのぼる。複合企業の復星国際(Fosun International)や海航実業集団(HNA Holding Group)の株価が22日に下落した理由はこのニュースがきっかけだったが、株価は23日に買い戻された。安邦保険集団の呉小暉会長は、中国当局に拘束されているという。

ウォルドーフ・アストリア、ブッシュ(息子)元大統領の常宿でした。
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(出所:Chris Breeze/Flickr)

一連の中国企業の動向は別として、中国当局の狙いは資産バブルへの懸念にあるのだろう。安邦保険の呉小暉会長は特に、政治的かつ規制当局とのコネをフルに活用していたに違いない(同会長の妻は、鄧小平の孫娘である)

中国当局が、米国で起きたサブプライム危機を引き起こすような過剰信用を抑制したいと考えているのは明白だ。同時に、中国は6.5%の成長率を目指す。MSCIは21日、新興国市場に中国A株の組み入れを決定した。西側の中央銀行は資産バブルの沈静化に失敗してきたが、果たして中国での当局による指示や規制は機能するのだろうか?

カナダでは、ノンバンク系で住宅ローンを提供するホーム・キャピタル・グループがウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイから24億加ドル(18億ドル)もの資金注入を受けた。トロントやバンクーバーでの住宅価格急騰は、サブプライム危機を彷彿とさせる。

米国では、ジャンク債市場が下落中だ。原油価格が直近高値から20%下落し弱気相場に入るなか、iシェアーズ iBoxx 米ドル建てハイイールド社債 ETF(HYG)は連れて大幅安を迎え、原油・ガス関連の高利回り債は今月に入って4%も落ち込んでいる。ただし原油安は資源国が多いエマージング市場に波及しておらず、iシェアーズ・MSCIエマージング・マーケットETF(EEM)は今年に入って19.1%高と好調だ。

米債利回りは年内の利上げを予想していないかのように低下トレンドをたどり、米株は過去最高値近くで推移している。こうした金融市場の動きは、ボラティリティの低下と合わせ2007年と類似しているといっても過言ではない。RDQエコノミクスのジョン・ライディング氏とコンラッド・デクエドロス氏は、こうした状況をにらみ「低ボラティリティ環境が示すように投資家は米株安へのヘッジを掛けておらず、国内企業の利益ファンダメンタルズが悪化しているにも関わらず社債スプレッドは縮小し米株も上昇を続けている」と警鐘を鳴らす。その上で、両氏は「金融危機のリスクは高まっている」と指摘。本当に金融危機のリスクが近づいているのなら、米債市場でフラットニングしているのは理に適うと言えるだろう。

——引き続きコラムは米株に慎重な見方で、過去最高値付近で推移してもお構いなしです。テクノロジー株が調整に入るかと思いきやアマゾンによるホールフーズ買収で息を吹き返し、エネルギー株も原油価格が弱気相場入りしながら下落にブレーキが掛かり、米株相場は向かうところ敵なしの様相。医療保険制度改革(オバマケア)撤廃・代替案移行は引き続き成立の目処がつかず、上院案に対し共和党から5人目の反対者が現れ過半数を獲得できない見通しです。税制改革がさらに遅れる兆しが出ているというのに、米株はどこ吹く風で、その強さに驚かされるばかり。6月末という四半期末・上半期末という事情が影響した壮大なドレッシング買いが相場を支えている可能性は否定できず、7月に変化が訪れるのか注目です。

(カバー写真:Herve Boinay/Flickr)

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