U.S. First-Half Auto Sales Drop Off From Last Year.
ワーズオートが発表した米6月新車販売台数は年率1,641万台となり、市場予想の1,653万台を下回った。前月の1,658万台にも届いていない。
オートデータが発表した米6月新車販売台数は、前年同月比3.0%減の147万4,360台だった。6ヵ月連続で前年割れとなる。営業日数は前月と異なり、前年同月比変わらず。年率では1,651万台と前月の1,666万台を下回り、少なくとも過去1年間で最低を更新した。前年同月の1,680万台にも遠く及ばず。上半期では前年同期比2.1%減の845万2,543台だった。前年割れは、8年ぶりとなる。
ゼネラル・モーターズは6月末に販売台数見通しを従来の1,700万台後半から1,700万台前半へ下方修正し、フォードも5月半ばに少なくともホワイトカラー職1,400人の雇用削減を発表するなか、売上は芳しくない。引き続き中古価格の下落と残債が担保価格を上回るアンダーウォーターの状況、さらに金融機関の融資引き締め姿勢が新車販売台数に影響を与えつつあるようだ。
新車販売動向から勢いが失われつつあるなか、5月末公表のベージュブックでは自動車市場につき「軽トラックの生産増加は乗用車の落ち込みを補えなかった」と明記されてあり、SUVや軽トラックは比較的堅調ながら、乗用車を中心に全体的に減速感は否めない。自動車メーカーは販売奨励金(インセンティブ)で販売をテコ入れするが、セダンや小型車が煽りを受けた状況が続く。ガソリン価格は原油先物が50ドル割れで推移する段階で、6月は一時2.414ドルと2015年9月の水準近くへ上昇した後に2.288ドルまでゆるんだ。
ケリー・ブルー・ブックによると、平均販売価格は前年同月比1.5%上昇の3万3,442ドル(約390万円)だった。5月の2.6%、並びに足元のトレンドだった2%台の上昇から伸びを狭めている。前月比では0.1%下落し、6ヵ月連続でマイナスをたどった。メーカー別の平均価格を前月比でみると5月に続きスバルのほかフォード、フォルクスワーゲン、ヒュンダイ・キアを除いて全て下落。日産が最大の下げを見せ1.4%下落していた。前年比ではフォルクスワーゲンをはじめヒュンダイ・キアとトヨタが下落した程度で、上昇率トップは日産で6.0%だった。
自動車メーカー別では、米系大手3社のうち全て減少した。ただフォードとフィアット・クライスラーは市場予想ほど減少していない。市場シェアトップはGMが返り咲き、フォードからトップを奪い返した。日系では全て増加しただけでなく、軒並み市場予想を上回った。日米のメーカーで明暗が分かれた格好で、日本車の場合はSUVでの増加が顕著で、ガソリン価格の下落余地がせまいなかで燃費の良さが意識された可能性がある。以下、米国をはじめメーカー別動向。
【GM】
GMは前年同月比4.7%減の24万3,155台と、市場予想の3.4%減より悪化した。前月の増加から反転している。小売販売台数は3.1%減の20万2,908台と、前月から減少に転じた。4大ブランド別をみると、1ブランドのみ増加。前月の2ブランドから減少した。小売販売台数も1ブランドのみ増加、前月の3ブランドを下回る。全体的に販売台数は芳しくなかったものの、商業車が36%増と2006年以来で最高を記録した。
上半期では前年同期比1.7%減の141万4,466台だった。小売販売台数は0.4%減の113万3,045台となる。
年間の販売台数をめぐっては、アナリストとの会合で販売台数を従来の1,700万台後半から1,700万台前半へ引き下げた。なお3~5月は明確な数字を示さず。2月は3年連続で過去最高を更新するか過去最高近くに到達するとし、1月は過去最高を更新すると予想していた。6月単月の詳細は、以下の通り。
・ビュイック 16.4%増の1万9,299台、4ヵ月連続で増加
→主力のSUV「アンコール」が7.7%増の6,563台と7ヵ月連続で全体を支えたほか、新型「エンビジョン」が248.4%増の5,007台と好調で、「エンクレーブ」の減少トレンドを抑えた。小売販売台数は6.2%増の1万7,042台と、4ヵ月連続で増加した。
・GMC 3.6%減の4万1,434台、3ヵ月連続で減少
→SUVの「アカディア」が27.2%増の7,884台と6ヵ月連続で大幅増となったほか「サバンナ」が133.3%増の3,726台だったものの、他が弱い。主力SUV「シエラ」が8.3%減の1万5,743台だったほか、新型「テレイン」も32.2%減の5,464台となる。小売販売台数は9.5%減の3万5,016台と4ヵ月連続で減少した。
・シボレー 6.4%減の16万9,842台、4ヵ月連続で減少
→主力のSUV「シルバラード」が1.7%増の5万515台と4ヵ月ぶりに増加に転じたほか「エキノックス」も49.0%増の2万9,182台、「タホー」も6.2%増の8,378台とそれぞれ増加に転じた。小型車「マリブ」は33.0%減の1万812台、小型車「クルーズ」も31.3%減の1万2,828台と6ヵ月ぶりに減少した。小売販売台数は1.5%減の13万8,996台と前月から減少に転じた。
・キャデラック 11.8%減の1万2,580台、3ヵ月ぶりに減少
→SUVの「エスカレード」が21.8%増の2,167台だったほか、新型「XT5」が21.6%増の5,091台と前月から増加に転じた。小売販売台数は12.1%減の1万1,854台と3ヵ月ぶりに減少した。
【フォード】
フォードは前年同月比5.1%減の22万7,979台となり、市場予想の6.0%減より下げ幅を狭めつつ前月から減少に転じた。小売販売台数は±0%の15万2,396台となる。2016年上半期では3.8%減の130万1,102台だった。小売販売台数は2.1%減の86万4,156台となる。
6月の2大ブランド別では、フォードが前月から減少に転じたが、リンカーンは2ヵ月連続で増加した。なお同社は2016年1月、日本とインド市場から撤退を決定した。また、株価下落や業績を受けてマーク・フィールズ最高経営責任者(CEO)が5月に更迭され、スマート・モビリティ部門責任者のジム・ハケット氏を次期CEOに指名。併せて、全世界で1,400人の人員削減を行うと報じられた。6月単月の詳細は、以下の通り。
・フォード 5.4%減の21万8,704台、前月から減少に反転
→アルミ製ボディのトラック「Fシリーズ」が9.8%増の7万7,895台と、2ヵ月連続で単月ベースでの2004以来の最高記録を更新した。SUVでは「エクスプローラー」が22.7%増の2万1,304台と2ヵ月連続で増加。「エッジ」も20.0%増の1万3,411台と貢献しつつ、5月に続き「エスケープ」が6.4%減の2万7,151台と2ヵ月連続で減少している。なおSUVが好調だったように限定版やプラチナ、スポーツなど高級車の売上が3分の1を占めたという。小型車は減少トレンドを維持し「フォーカス」が20.1%減の1万5,575台と13ヵ月連続で減少、「フュージョン」も31.6%減の1万8,139台と11ヵ月連続で減少した。
・リンカーン 5.3%増9,275台、2ヵ月連続で増加
→主力の「MKZ」が18.8%減の2,240台と2ヵ月連続で減少したものの、SUVの「MKC」が15.8%増の2,475台と支えた。
【フィアット・クライスラー】
フィアット・クライスラー・オートモビルは前年同月比7.4%減の18万7,348台となり、市場予想の7.9%減より下げ幅を縮小した。もっとも、4ヵ月連続でマイナスを示す。2016年9月に増加トレンドを79ヵ月で止めた後、9ヵ月連続で前年比マイナスとなる。5大ブランド別での増加は、1ブランドのみとなり5月の2ブランドから減少した。なお2016年9月~2017年1月までラムの1ブランド、2~3月はドッジが加わり4月は再びラムのみとなった。上半期の販売台数は前年同期比7%減の106万7,360台だった。6月単月の詳細は、以下の通り。
・ラム 6%増の4万8,645台、13ヵ月連続で増加
→主力の「ラム」が5%増の4万3,073台と10ヵ月連続で増加し、単月で過去最高を更新した。「プロマスター・バン」も27%増の3,727台と2ヵ月連続で増加した。
・ドッジ 14%減の4万2,550台、前月の増加から減少に反転
→主力の「キャラバン」が9%増の1万6,210台と前月から増加に転じたほか、「チャレンジャー」は24%増の6,605台と前月に続き増加した。逆に「ジャーニー」は51%減の6,073台と7ヵ月ぶりに減少、「デュランゴ」も9%減の6台と3ヵ月ぶりに減少した。
・ジープ 11%減の7万3,153台、10ヵ月連続で減少
→「チェロキー」が27%減の1万1,895台と減少トレンドを維持したほか、「ペイトリオット」も55%減の4,752台と8ヵ月連続で減少した。「ラングラー」も6%減の1万8,839台と、前月の増加から反転。一方で「グランド・チェロキー」は21%増の2万176台と7ヵ月連続で増加しただけでなく、2005年で最高を更新した。
・クライスラー 15%減の1万9,741台、15ヵ月連続で減少
→新型「パシフィカ」が325%増の1万1,720台となり、販売開始で最高を記録した。「300」も47%増の5,355台と寄与。ただしセダンの「200」が76%減の1,945台と減少トレンドをたどった。
・フィアット 4%減の2,242台、18ヵ月連続で減少
→「500」が11%減の995台と3ヵ月連続で減少したほか、「500X」や「500L」など引き続き2桁減で全体の重石となった。新型「スパイダー」は510台にとどまり、全体を牽引するほどの馬力をみせていない。
自動車メーカー別、米国市場シェアはGMがフォードから首位を奪い返し17%となった。2位のフォードは15%、3位のトヨタは14%、4位はフィアット・クライスラーが入り、5位はホンダと日産が並び、10%だった。
【トヨタ】
トヨタ2.1%増の20万2,376台と、市場予想の1.2%増を上回り減少記録を5ヵ月で止めた。ブランド別ではトヨタが3ヵ月連続で増加したが、レクサスは8ヵ月連続で減少した。上半期では前年同期比3.6%減の119万7,802台となる。6月単月の詳細は、以下の通り。
・トヨタ 3.2%増の17万7,981台、3ヵ月連続で増加
→SUVやトラックが回復、販売・生産を打ち切ったSUV「RAV4」が24.7%増の3万4,120台と8ヵ月連続で増加し単月並びに上半期で過去最高を更新した。「ハイランダー」も28.3%増の1万7,237台と、10ヵ月連続で増加し単月並びに上半期で過去最高の記録を塗り替えている。さらに「4ランナー」まで23.9%増の1万7,237台と、他メーカーと比較してSUVの力強さが目立つ。セダンは引き続き足を引っ張り、「カローラ」は4.5%減の3万1,051台と7ヵ月連続で減少、「カムリ」も9.5%減の2万9,463台と13ヵ月連続で減少した。
・レクサス 5.4%減の2万4,395台、8ヵ月連続で減少
→乗用車部門が引き続き弱く17.8%減の9,252台と7ヵ月連続で落ち込み、7車種中6車種で減少した。SUVやトラックは4.3%増の1万5,143台と2ヵ月連続で増加、4車種中「GX」を除き全て増えた。
【ホンダ】
ホンダは前年同月比0.8%増の13万9,793台となり、市場予想の0.5%増を上回り2ヵ月連続で増加した。上半期では前年同期比0.1%減の79万1,886台となる。6月単月での2大ブランド別では、ホンダが1.3%減の12万5,755台と減少に反転。「CR-V」は4.3%減の2万8,342台と、単月で過去最高記録にブレーキを掛けた。「シビック」も2.8%減の3万909台と5ヵ月連続で減少した。逆にアキュラ23.7%増の1万4,308台と、4ヵ月ぶりに大幅増加した。SUVの「RDX」が48.3%増の5,327台、「MDX」が14.0%増の4,240台と支えている。
【日産】
日産は2.0%増の14万3,328台となり、市場予想の2.0%減から好転した。2大ブランドでは日産が2ヵ月連続で増加、インフィニティは1~5月に続き増加した。上半期では前年同期比2.7%増の81万9,688台となる。6月単月での詳細は、以下の通り。
・日産 1.2増の13万1,057台、2ヵ月連続で増加
→SUVで主力の「ローグ」が17.4%増の3万4,349台となり、スターウォーズ効果を経ても力強さをみせた。「パスファインダー」も14.7%増の6,578台となり、「ムラノ」の2.3%減の5,534台を補った。乗用車では主力の「アルティマ」が8.0%減の2万8,042台と8ヵ月連続で減少したほか、「セントラ」が8.7%減の2万2,534台と前月に続き弱い。
・インフィニティ 11.0%増の1万2,271台、8ヵ月連続で増加
→セダンの、「Q50」が37.2%増の3,224台と前月に続き好調だった。またSUVの「QX80」も16.8%増の1,805台と増加を支えた。
その他の海外メーカーは、以下の通り。
・フォルクスワーゲン(VW) 15.0%増の4万7,113台、8ヵ月連続で増加
→排ガス不正が発覚した2015年9月に続き同年11月にはガソリン車にも火種が及んだ影響からか以降は11ヵ月連続で減少しつつ、2016年11月から7ヵ月連続で増加した。アウディは5.3%増の1万9,416台と増加トレンドをたどる。グループ全体では10.8%増の4万7,713台と8ヵ月連続で増加した。
・テスラ(推計値)は25.8%増の3,900台、増加トレンドを維持
・ヒュンダイは19.3%減の5万4,057台、前月に続き減少
・キアは10.3%減の5万6,143台と6ヵ月連続で減少
自動車メーカーからディーラーへの1台当たりインセンティブは前年同月比9.7%上昇の3,550ドルで、前月の9.5%上昇の3,435ドルを上回った。2桁増トレンドが途切れたといっても、新車販売台数のテコ入れにインセンティブを拡大させたことが分かる。前年比での伸び率はもともとインセンティブが非常に低かったスバルが63.4%の上昇と群を抜く一方で、もともとインセンティブが高いヒュンダイが42.2%と引き続き高い上昇率を記録している。
1台当たりのインセンティブの割合は、以下の通り。最大は日産で15.0%、次いでキアが14.9%、ヒュンダイが14.4%と続く。米系3社も、10%台と高い水準を示した。
(出所:ALG/Press release)
高級車部門別ランキングは、以下の通り(%は全て前年比)。今回、高級車御三家のメルセデス・ベンツ、BMW、レクサスのトップ3に異変が生じた。これまで2位を走り続けてきたBMW4位へ陥落し、代わりにレクサスが2位へ、アウディが3位へ浮上した。年初来でのトップ3はこれまでと変わらずメルセデス・ベンツが1位、BMWが2位、レクサスが3位となる。
1位 メルセデス・ベンツ 1.3%増の3万2,102台
→6ヵ月連続で1位、年初来でも0.4%減の17万7,760台と首位。2016年は前年比0.4%増の37万4,541台で、2015年に続きトップの座に堅持した。なお2013年は1位だったが、2014年ではBMWに1位を明け渡していた。
2位 レクサス 5.4%減の2万4,395台
→前月まで5ヵ月連続で3位を経て、今回は2位へ浮上した。年初来では11.7%減の13万3,760台で3位。2016年は3.9%減の33万1,228台で2位に終わった。2015年は10.7%増の34万4601台で3位。2011年まで11年間連続で首位を飾ったが、東日本大震災後に順位を落とし2014年、2013年、2012年に続き3位にとどまる。
3位 アウディ(VW)5.3%増の1万9,416台
→前月まで4ヵ月連続で5位を経て、3位へ急浮上した。年初来では6.2%増の10万2,971台と5位。2016年は4.0%増の21万213台、2015年は11.1%増の20万2202台で共に5位だった。
4位 ビュイック(GM)16.4%増の1万9,299台
→6ヵ月連続で4位、年初来では5.9%増の11万316台で4位。2016年は2.9%増の22万9,631台、2015年も2.6%減の22万3055台で共に4位だった。
4位 BMW 0.4%増の1万9,299台
→前月まで5ヵ月連続での2位を経て、今回は4位とトップ3から陥落した。年初来で2.8%減の14万9,086台で2位をキープ。2016年は9.5%減の31万3,174台で3位、2015年は1.8%増の34万6023台で首位の座を宿敵メルセデス・ベンツに明け渡していた。2014年では1位、2013年は2位だった。
6位 アキュラ 23.7%増の1万4,038台
→3ヵ月連続で6位、年初来では6.5%減の7万3,871台で7位へ浮上した。2016年は8.9%減の16万1,360台で7位、2015年は5.6%増の17万7165台で6位に収まっていた。
7位 キャデラック 11.8%減の1万2,580台
→3ヵ月連続で7位。年初来では1.6%減の7万2,073台とアキュラに抜かれ8位へ陥落した。2016年は3.0%減の17万6台で6位だったが、「インフィニティ」に追い抜かれた。2015年は2.6%増の17万5,262台で、7位だった。
8位 インフィニティ 11%増の1万2,271台
→3ヵ月連続で8位。年初来では241.8%増の7万9,143台で6位。2016年は3.6%増の13万8,293台で8位だったが、順位を上げて2017年のスタートを切った。2015年は13.8%増の13万3498台で8位となる。
新車販売台数:モデル別ランキング(%は前年同月比)で、今回は圏外からホンダの「アコード」が返り咲き、代わりにホンダの「CR-V」がトップ10から陥落した。
1位 Fシリーズ(フォード)9.8%増の7万7,895台、前月も1位
2位 シルバラード(GM)1.7%減の5万515台 前月は3位
3位 ラム(フィアット・クライスラー)4.8%増の4万3,073台 前月は2位
4位 ローグ(日産)17.4%増の3万4,349台 前月は7位
5位 Rav4(トヨタ)24.7%増の3万4,120、前月は4位
6位 シビック(ホンダ)2.8%減の3万909台、前月は9位
7位 アコード(ホンダ)3.4%増の2万9,791台 前月は圏外
8位 カムリ(トヨタ)9.5%減の2万9,463台 前月は6位
9位 カローラ(トヨタ)4.9%減の2万9,432台 前月は10位
10位 エキノックス(GM)49.0%増の2万9,182台 前月は8位
(カバー写真:Toyota)
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