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米5月雇用動態調査、健全に見える裏で労働参加率は歪な改善示す

by • July 12, 2017 • Finance, Latest NewsComments Off337

Job Openings, Hires, Separations All Rise In May.

米労働省が発表した米5月雇用動態調査(JOLTS)で求人数は前月比5.0%減の566.6万人と、市場予想の575.0万人を上回った。5ヵ月ぶりに減少、前月は2000年末の統計開始以来で最高を記録し596.7万人(604.4万人から下方修正)となる。雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)が5月に15.2万人増へ上方修正されたが4月の20万人台から減少したように、求人数は減少に転じていた。

採用人数は前月比8.5%増の547.2万人と、前月の減少から増加に転じただけでなく、増加率としては2004年3月以来の高水準だった。年初来では3回目の増加を示す。水準としては、2015年12月の550.4万人に次ぐ力強さとなった。

離職者数は前月比5.0%増の525.9万人と、前月から増加に転じ2006年11月以来のレベルに達した。年初来では、3回目の増加に。定年や自己都合による自発的離職者数は5.8%増の322.1万人と、前月から増加し年初から3回目の増加となる。過去最高を記録した2001年1月以来の高い伸びを記録した。解雇者数は3.5%増の166.1万人と、こちらも年初来で3回目の増加を示した。

米5月雇用統計・NFPと歩調を合わせ、採用者数は大幅増加。

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(作成:My Big Apple NY)

求人率は3.7%となり、前月の3.9%から低下した。2016年7月につけた過去最高の4.0%から遠ざかっている。民間が4.0%となり、2016年7月、2001年1月に続き統計開始以来の最高を示した前月の4.2%を下回った。政府は前月通り2.4%となり、2016年11月以来の高水準以下にとどまる。

採用率は3.7%となり、1年ぶりの低水準となる前月の3.5%から上昇した。今回は民間が前月まで2ヵ月連続で4.0%だったが、今回は民間が4.2%へ上昇、前月の3.8%を上回り過去最高の4.4%に接近した。政府は4ヵ月連続で1.5%だった。

自発的および引退、解雇などを含めた離職率は3.6%と、前月の3.4%から低下し過去最高の3.8%へ再び近づいた。民間が4.0%と前月の3.8%から上昇、2016年2月以来の高水準に並んだ。政府は、前月に続き1.5%だった。自発的離職率は前月の2.1%から2.2%へ上昇も、2015年12月以来の水準及び過去最高の2.4%以下を保つ。解雇率は7ヵ月連続で1.1%と、過去最低を維持した。

労働市場の逼迫を表す通り、離職者数のうち自発的離職者が増加。

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(作成:My Big Apple NY)

――以上の結果を踏まえ、今となっては死語と化したイエレン・ダッシュボードをおさらいしてみましょう。達成項目は9項目中、6項目と2月に並び最多でした。前月は雇用統計の非農業部門就労者数(NFP)が脱落したものの、米6月雇用統計後にカムバックを果たしています。以下は詳細で、()内の最悪時点とは、金融危機以降での最も弱い数字です。

1)求人率—○
2009年7月(最悪時点) 1.6%
2004-07年平均 3.0%
現時点 3.7%

2)解雇率—○
2009年4月(最悪時点)2.0%
2004-07年平均 1.4%
現時点 1.1%

3)自発的離職率 ○
2010年2月(最悪時点) 1.3%
2004-07年平均 2.1%
現時点 2.2%

4)採用率—×
2009年6月(最悪時点) 2.8%
2004-07年平均 3.8%
現時時点 3.7%

5)非農業部門就労者数—○
2009年3月までの3ヵ月平均(最悪時点) 82.6万人減
2004-07年の3ヵ月平均 16.2万人増
現時点の3ヵ月平均 19.3万人増

6)失業率—○
2009年10月(最悪時点) 10%
2004-07年平均 5.0%
現時点 4.4%

7)不完全失業率—○
2010年4月(最悪時点) 17.2%
2004-07年平均 8.8%
現時点 8.6%

8)長期失業者の割合—×
2010年4月(最悪時点) 45.3%
2004-07年平均 19.1%
現時点 24.3%

9)労働参加率—×
2014年9月(最悪時点) 62.7%
2004-07年平均 66.1%
現時点 62.8%

――採用数が2004年3月以来の高水準を果たし、米6月雇用統計の結果を踏まえても労働市場は依然として吸収力があることを確認しています。労働参加率も小幅ながら低下し、労働市場が健全な方向へ進んでいるように見えます。しかし、蓋を開けてみると24~54歳の働き盛りの男性の労働参加率は前月通り88.4%と改善にブレーキが掛かる状況を維持していました。

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(作成:My Big Apple NY)

逆に労働参加率が上昇していた年齢層はバロンズ誌が指摘したように16~19歳、55歳以上の高齢層、特に70~74歳で顕著となります。

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(作成:My Big Apple NY)

生活する上でプラスαの所得が必要である現状が浮かび上がり、労働市場を表す数字がいくら堅調でも個人消費が起爆剤となって成長率を押し上げるとは想定しづらい状況が続きます。

▽米6月LMCI、上昇トレンド継続も伸びは年初来で最低

米連邦準備制度理事会(FRB)が発表した米6月労働市場情勢指数(LMCI)は1.5ポイント上昇した。前月のマイナス3.3(修正値)に続き、13ヵ月連続で上昇。ただ年初来の伸びでは、最低となる。一方で、米6月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)は年初来で4回目の増加。もっとも労働参加率が小幅改善にとどまり、平均時給や不完全失業率、長期失業者などが鈍化したため、力及ばずだったようだ。

LMCI、金融危機当時以来の5ヵ月連続低下。

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(作成:My Big Apple NY)

景気後退に陥った2007年12月から2009年6月まで413ポイント低下した後、回復サイクルに入ってから365.3ポイント取り戻した。景気が改善していく過程での平均上昇幅は約4ポイントであることを踏まえれば、1年程度で低下幅を相殺する見通しだ。ただし、足元で低下が続くだけに景気後退に陥った後の穴埋めに時間が掛かる可能性がくすぶる。

(カバー写真:cehd.comm/Flickr)

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