Q2 GDP Bounces Back, But Not Strong Enough After All.
米4〜6月期国内総生産(GDP)速報値は前期比年率2.6%増と、市場予想の2.7%増に届かなかった。前期の1.2%増(修正値)からは改善を示す。前年同期比で2.1%増となり、前期の2.0%増を超え2015年7~9月期以来の高水準となった。なお2016年通期のGDPは1.5%増と1.6%増から下方修正、3年ぶりに2%台を割り込み2011年以来で最低となる。2015年は従来の2.6%増→2.9%増へ上方修正され2006年以来で最高に、2014年も2.4%増→2.6%増へ引き上げられた。
GDPの7割を占める個人消費は、4~6月期に前期比年率2.8%増と、市場予想と一致した。1年ぶりの低水準だった前期の1.9%増(修正値)も超え、3期ぶりの高水準となる。GDPの寄与度は1.93%ポイントと、前期の1.32%ポイントを上回った。
▽個人消費の内訳
・耐久財 6.3%増>前期は0.1%減と2011年4~6月期以来のマイナス
・非耐久財 3.8%増、2015年7~9月期以来の高水準>前期は1.1%増
・サービス 1.9%増、4期連続で増加したなかで最低の伸び>前期は2.5%増
民間投資はまちまち。項目別では、企業の設備投資の一角を担う構築物投資は2桁増から減速、無形資産も前期を下回った。住宅投資に至っては、3期ぶりに減少している。構築物投資のみなどそろって引き下げられた。ただし機器投資が勢いを強め、在庫投資も下げ幅を縮小。民間投資の寄与度は0.20%のマイナスから、0.34%ポイントとプラスに転じた。在庫投資の寄与度は前期のマイナス1.46%ポイントから、今回は0.02%のマイナスへ下げ幅を縮めた。
▽民間投資の内訳
・民間投資 2.0%増>前期は1.2%減と3期ぶりに減少
・固定投資 2.2%増、5期連続で増加>前期は8.1%増
・非住宅(企業の設備投資) 5.2%増、5期連続で増加>前期は7.2%増と2014年7~9月期以来の高水準
>構築物投資 4.9%増<前期は14.8%増と2014年1~3月期以来の高水準
>機器投資 8.2%増、3期連続で増加し2015年7~9月期以来の高水準>前期は4.4%増
>無形資産 1.4%増、2期連続で増加<前期は5.7%増と3期ぶりの高水準
・住宅投資 6.8%減<前期は11.1%増と2016年1~3月期以来の高水準
・在庫投資 26億ドル減、2期連続で増加<前期は1億ドル減
(出所:MGSSI)
純輸出は、辛うじて2期連続でプラス。政府支出は0.12%ポイントと、前期のマイナス0.11%ポイントから改善した。
▽純輸出
・純輸出の寄与度 0.18%ポイント<前期は0.22%ポイント
▽政府支出
・政府支出 0.7%増>前期は0.6%減と3期ぶりに減少
・連邦政府 2.3%増、3期ぶりにプラス>前期は2.4%減と3期連続で減少し201年10~12月期以来の低水準
(連邦政府は防衛支出が5.2%増と押し上げ、非防衛財は1.9%減と2期連続で減少し2013年10~12月期以来の低水準)
・州政府・地方政府 0.2%減、3期ぶりに減少<前期は0.5%増
GDPデフレーターは前期比1.0%上昇、市場予想の1.2%並びに前期の2.0%から減速し2016年1~3月期以来の低水準を示す。PCEデフレーターは0.3%の上昇と、原油価格がピークアウトする以前である2014年1〜3月期以来の水準を回復した前期の2.2%を大きく下回る。コアPCEデフレーターは0.9%の上昇、市場予想の0.7%を上回ったとはいえ1年ぶりにFOMCのインフレ目標値「2%」へ回帰した前期の2.0%から大きく減退した。
JPモルガンのマイケル・フェローリ米主席エコノミストは、結果を受けて「個人消費の改善と在庫投資の押し下げ縮小がGDP改善を支えた」との見解を寄せた。上半期の成長率は1.9%増のところ、下半期の成長率は「1.75%増」で据え置き景気回復サイクルに入った2011年の平均値2.1%増を小幅に下回る水準を予想。国際通貨基金(IMF)は7月の世界経済見通しで米国の2017年成長率を2.1%増(2.3%増から下方修正)とするものの、2年連続で2%割れとなる可能性が出てきた。
(カバー写真:Thomas Hawk/Flickr)
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