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バロンズ:米株、政治混乱に横目に高値追い継続

by • July 30, 2017 • Finance, Latest NewsComments Off401

Barron”s : Washington D.C. And NY, A Tale Of Two Cities.

バロンズ誌、今週のカバーは投資業界で広がるロボ・アドバイザーを取り上げる。NYに拠点を置くロボアドバイザー大手ベターメントは5月に創立7年を迎え、運用資産は91億ドルに達した。2015年にはバンガードやチャールズ・シュワブがロボ・アドバイザーを導入し、それぞれ830億ドル、190億ドルの運用資産を抱える。フィデリディ、バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ、TDアメリトレード・ホールディングス、E*トレード・フィナンシャルも追随し、ゴールドマン・サックスやJPモルガン・モルガン・スタンレーもそれぞれデジタル部門でのサービスに取り組んでいるところだ。ロボ・アドバイザーが投資業界で浸透していく過程で、新たな局面を迎えつつある。これまで手数料の低さが売りだったものの、ベターメントでは人間による助言サービスに着手し始めた。詳細は、本誌をご覧下さい。

当サイトが定点観測するアップ・アンド・ダウン・ウォールストリート、今週はワシントンD.C.とニューヨークの2つの物語をフィーチャーします。抄訳は、以下の通り。

政治が新たな下値を探るなか、市場は上昇を継続—As D.C. Tests New Lows, Markets Keep Soaring.

ニューヨークとワシントンD.C.、2つの都市で2つの全く別のストーリーが展開されている。メジャーリーグの話をしているわけではない。NY証券取引所とナスダックを抱えるNYでは米株のほかリスク資産と呼ばれる投機格の社債が上昇中だが、ワシントンD.C.では政治が停滞している。北朝鮮が7月27日に米国本土に届く大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射したものの米株の反応は限定的でダウは上昇、週足で1.2%高を遂げた。S&P500とナスダックは26日に最高値を更新した後で2日にわたって下落、それでも週足でそれぞれ0.02%高、0.2%高で終えた。

根拠があろうがなかろうが、市場には熱狂が戻り新規株式公開(IPO)した株価も跳ね上がっている。ITを取り込んだ不動産仲介レッドフィンのIPO価格は予想レンジ12〜14ドルを上回る15ドルとなり、取引が開始した28日には45%高で引けた。スナップやブルー・エプロン・ホールディングスと明暗を分けた格好だ。

信用市場も活況を呈し、AT&Tはタイム・ワーナーの買収に絡み同社で過去3番目の規模となる社債発行に至った。当初は150億ドルを予定していたものの、225億ドルへ引き上げたが、それでも応募枠の3倍もの引き合いがあったという。かつではベライゾンが英ボーダフォンからベライゾン・ワイヤレスの株を取得する目的で2013年に490億ドル、アンハイザー・ブッシュ・インベブが2016年にSABミラーとの合併で460億ドルの資金調達を行っていたものだ。

小国の国内総生産(GDP)に匹敵する資金調達が可能であるということは、いかにドル建て社債の需要が高いかが伺える。保険大手マスミューチュアルのクリフ・ノリーン氏いわく機関投資家は低金利環境でも、金利収入を与え株式では得られない確たるリターンを付与できる債券投資が必要であるためだ。その結果、あらゆる資産が高騰しiシェアーズ iBoxx 米ドル建てハイイールド社債 ETF(HYG)やSPDRブルームバーグ・バークレイズ・ハイ・イールド債券 (JNK)などは52週平均を更新あるいは同水準近くで推移している。利回りは5%近くあり、金融危機前の米国財務省短期証券(Tビル)に程近い。ジャンク級のETFも逆風にさらされることなく堅調だ。

米株、120年の歴史はこの一枚のチャートでチェック。下のリンクで詳細をご覧下さい。

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(出所:Marketwatch

医療保険制度改革(オバマケア)の代替案移行あるいは撤廃が絶望視されるなか、共和党は税制改革へ視点を移しつつある。しかし、トークショーから夜中のコメディー・ショーで取り上げられるように、税制改革を協議する前に片付けなければならない問題がある。債務上限引き上げ交渉であり、10月に入れば財務省の資金繰りも底を打つ見通しだ。10月に償還を迎えるTビル3ヵ月物の利回りは、6ヵ月物を下回り足元では通常の状態に戻ってきた。しかし、交渉が難航すれば再び10月に償還を迎える3ヵ月物のTビルの利回りは急伸するに違いない。

税制改革では、ビッグ・シックス(国家経済会議のコーン議長、ムニューシン財務相、マコーネル上院院内総務、ハッチ上院財政委員会委員長、ライアン下院議長、下院歳入委員会のブレイディ委員長)が国境調整(BAT)を断念する声明を公表した。詳細は明示されていないが、BATなしでは現時点で35%の法人税減税などを補填する歳入に乏しくなる。従ってモルガン・スタンレーのチームは、法人税の引き下げが25〜28%にとどまると見込む。既にS&P500構成企業の法人税は平均で25%程度であるだけに、優良企業に大した恩恵をもたらすことはなさそうだ。

ビッグ・シックスは、”例のない”設備投資の費用計上を示唆している。モルガン・スタンレーの分析では、 全額並びに即時償却から、やや後退する内容となる見通しだ。カウエンのワシントン・ウォッチャーであるクリス・クルーガー氏いわく、税制の変更で財政調整を採用せず通常の審議を利用すれば、2018年度予算案に盛り込む必要はない。ただしフィリバスター阻止に必要な60票を得るには民主党の支持を確保しなければならず、それは幻想の域を出ないだろう。

米4〜6月期GDP速報値は、前期から改善した。資産圧縮を目指す米連邦準備制度理事会(FRB)にはグッドニュースだ。インフレが鈍化しているため12月の利上げ織り込み度は38.7%程度だが、金融市場は緩和的であり9月FOMCでの資産圧縮は困難ではないだろう。

——オバマケアの撤廃・代替案移行として28日、”ヘルスケア・フリーダム・アクト(医療保険加入義務の廃止、企業に従業員を医療保険に加入させる制度の廃止、3年間に及ぶ医療機器税の廃止、1年間の避妊措置助成金支払いの廃止などを盛り込む)”が採決されたものの、共和党のマケイン議員(アリゾナ州)、スーザン・コリンズ議員(メイン州)、リサ・マコウスキー議員(アラスカ州)の3人の造反に遭い51対49で否決となりました。オバマケアは存続の方向で固まりつつあります。税制改革ではBATを断念したことで減税余地が限られてしまうというのに、米株は上昇基調をキープする状況。資産圧縮の見通しが固まっても、微動だにしません。予想を上回る業績に支えられ、流動性が低下する夏場を乗り切りそうなムードが漂います。そうはいっても、秋口にかけ市場が荒れないとも限りません。1987年当時も、2007年当時も米株は夏場に堅調だったという事実もあり、慢心は禁物でしょう。

(カバー写真:Romain Moisescot/Flickr)

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