Household Net Worth Hits Record Again, Debt Also Rises.
遅ればせながら、おさらいしていきます。
米連邦準備制度理事会(FRB)が6月8日に公表した、1~3月期家計資産報告(旧・資金循環報告)によると、家計・非営利団体の純資産は前期比2.5%増の94兆8,354億ドルとなり7期連続で統計開始以来の最高を更新した。
家計・非営利機関の資産のうち、特に金融資産(貯蓄、株式、投資信託、債券、年金、保険などを含む)は前期比2.4%増の77兆1,151億ドルと、6期連続で増加するともに過去最高を更新している。株式は市場価値ベースで5.0%増の26兆8,842億ドル(直接、間接保有含む)。金融資産における株式の割合は34.9%と、総資産での割合も24.4%と直近で最大を示す。投資信託も6.3%増の4兆9,582億ドルと、株式と合わせ増加した。S&P500は期間中、上昇トレンドを継続。米連邦公開市場委員会(FOMC)が3月に2015年12月から2回目の利上げに踏み切ったものの、ダウなどは過去最高値を更新した。
家計・非営利機関の預金残高は前期比1.2%増の11兆4,268億ドルと、過去最高を塗り替えた。民間での年金資産は5.0%増の3兆4,947億ドルと、6期連続で増加。2015年7~9月期に減少してから順調に増加し、最高を更新している。
家計部門の不動産資産は、住宅の値上がりや需要拡大を背景に前期比1.9%増の26兆8,663億ドルとなり全体を支えた。住宅ローンは9兆8,127億ドルで、ホーム・エクイティ(住宅の評価額から住宅ローンの残債を差し引いた価値)は少なくとも17兆ドル付近と弾き出せる。
国内債務は、前期比年率1.4%増の47兆5,449億ドルだった。伸び率は過去5年間で最低となり、少なくとも2010年以来で最大を記録した2015年10~12月期の7.7%増でピークアウトを確認している。伸び縮小の背景は政府にあり、トランプ政権が一時雇用を凍結した連邦政府だけでなく、地方政府も減少した。詳細は、以下の通りで伸びは全て前期比年率。
>家計の債務は3.2%増の14兆8,807億ドルとなり、増加トレンドを維持
>消費者信用は5.0%増の3兆8,129億ドルと2010年10~12月期以来、22期連続で増加。自動車ローンや学生ローンが牽引
>住宅ローンは3.0%増の9兆8,360億ドルと、堅調な住宅指標が示すように2014年4~6月期以来12期連続で増加
>非金融セクターの企業は6.2%増の13兆7,356億ドル、2011年1~3月期以来、21期連続で増加
>連邦政府は3.3%減の15兆8,774億ドルと8期ぶりに減少
>州・地方政府は3.5%減の3兆511億ドル、5期ぶりに減少
家計・非営利団体の債務は可処分所得に対し105.7%と、前期の106.5%を下回り3期ぶりの低水準だった。家計の信用残高でみた場合は逆に103.8%と、前期の103.4%を上回り1年ぶりの水準へ上昇。ただし、2007年のピーク時にあたる135%から大幅に低下した水準を保つ。
可処分所得に占める家計債務の低下に支えられ、足元のGDPは個人消費が伸びを牽引。
――可処分所得に占める家計債務の割合は低水準にあるおかげで、個人消費の伸び率は2014年半ば以降、GDPを上回る通り個人消費を下支えしているように見えます。主因は住宅ローン債務の低下で、持ち家率は2017年1~3月期に63.7%と2005~08年平均の68.4%を大きく下回る状況。米株高による資産効果も、個人消費にプラスに作用していることでしょう。しかし、個人の債務返済額が可処分所得に占める割合となれば話は変わります。過去最高を記録する自動車ローン組成額や学生ローン債務残高が重石となって可処分所得に対する個人の債務返済額の割合はジワリと上昇過程にあり、2016年末には5.6%と2009年7~9月期以来の水準へ上昇しています。
足元で小売売上高が2ヵ月連続で減少し、新車販売台数が年初来から前年比割れで推移している動きと、整合的です。上半期の成長率が示す通り、このまま税制改革や財政刺激などのテコ入れがなければ2016年に続き米成長率は2%割り込みかねない。ユーロ圏を下回る可能性すら視野に入ります。
(カバー写真:morganschneider/Flickr)
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