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バロンズ:市場が鳴らす危険信号?ダイバージェンスに要注意

by • August 6, 2017 • Finance, Latest NewsComments Off717

Barron’s : Watch Out Those Negative Divergences In The Market.

バロンズ誌、今週のカバーはスポーツを独占的に放映していたTV局に迫る危機を伝える。CBSとNBCが有していた木曜のフットボール試合放映権を皮切りに、2017年から続々と期限切れを迎える。2021年にはESPNが月曜のフットボール試合放映権を、同年にはESPN、FOX、TBSが大リーグの試合放映権を、2022年には日曜のCBS、FOX、NBCがフットボール放映権の更新が迫られる見通し。しかし、足元でフェイスブックやアマゾン、グーグルがスポーツ放映権を獲得する可能性も否定できない。これらテクノロジー大手3社のフリーキャッシュフロ—は2020年に249億ドル、325億ドル、442億ドルに膨れ上がると試算され、ABCやESPNを抱えるウォルト・ディズニーの102億ドルやNBCを有するコムキャストの131億ドルを上回る公算。果たして、TV局はドル箱であるスポーツ番組を放映権を維持できるの。詳細は、本誌をご覧下さい。

当サイトが定点観測するアップ・アンド・ダウン・ウオールストリート、今週はダウの最高値更新をよそに広がりつつあるダイバージェンスに注目する。抄訳は、以下の通り。

アクティブ投資に回帰するときなのか—Is It Time to Return to Active Stock-Picking?

その昔、スミス・バーニーという証券会社が存在した。1970年代の初め、同社は勉学に奮闘するハーバード大学ロースクールの学生を描いた映画”The Paper Chase(ペーパーチェイス)”の教授役だった俳優ジョン・ハウスマン氏をコマーシャルに登場させ、こう言わしめた「良い投資は歩いて来ない、底で噛み付き、ここにいるよと言うものだ。良い投資機会を得るには、昔ながらの大いなる努力が必要になる。調査こそ、スミス・バーニーの仕事である」。そして、CMは「スミス・バーニーは昔ながらのやり方で利益を計上してきた。努力の賜物である」で締め括られる。そのスミス・バーニーはサンディ・ワイル氏の手によってシティグループに呑み込まれ、金融危機を経てモルガン・スタンレー傘下に移った。

それでも当時のCMは今でも人々の記憶に残り、”昔ながらのやり方”に回帰するプレーヤーの台頭を招いている。例えばエリオット・マネジメントのポール・シンガー氏は、4〜6月期の投資家向け書簡にて「パッシブ投資は、資本主義を破滅に追いやる危機にさらしている」と警告した。それは、バーンスティーンが2016年に発表した歴史的なレポート”パッシブ投資がマルクス主義よりである理由”を想起させる。両者の主張は、アクティブ投資のように資産配分に努め資産運用の責任を持たなければ経済システムの破綻を招くというものだ。

仮に全ての投資マネーがインデックス投資へ振り向けられれば、株価に神経質でない投資家が割高株を買い上げ、割安株をアンダーウェイトとしかねない。逆にアクティブ投資家は、高値で売り安値で買う機会を得られるというものだ。

市場は、別の圧力にも直面している。上場株数の減少をたどり、1997年11月の7,355銘柄から足元では3,600銘柄以下に減少した。結果、流動性が低下し、企業の自社株買いも拍車を掛けた。おかげで上昇圧力が掛かると、多くの株もつれ高となったものだ。

しかし、ルイーズ・ヤマダ氏いわく最近では相場に逸脱が生じている。ダウはアップル、ボーイング、マクドナルドが上昇を支えてきた。もっともゼネラル・エレクトリックは52週高値から20.5%下落し、弱気相場に突入しつつある。S&P500も同様で、優良株は過去最高値近くで推移するものの中型株指数のS&P400、小型株指数のS&P600は下落の兆しを見せ始めた。古典的なダイバージェンスも確認済みで、ダウ輸送株平均はダウと正反対の動きを見せ下落をたどる。

何より、ナスダックがダウを後追いせずにいる現状も気掛かりだ。6月9日や7月27日(ダウ:0.39%高、ナスダック0.63%安)のように、高安まちまちで取引を終える日も増えている。流動性の低下も著しく、予想以下の決算を発表した銘柄が大幅続落する傾向も高まってきた。向こう数カ月以内に、市場が調整を迎える可能性が高い。

ダウが絶好調な一方、ナスダックは伸び悩み。

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(出所:Stockcharts)

ダウが最高値更新記録を8日へ伸ばすなか、米7月雇用統計は労働市場の力強さを示したように見える。労働参加率は62.9%と前月から0.1%ポイント上昇したものだ。とはいえ、2015年9月に過去最低をつけた62.4%から大きく改善したとは言い難い。平均時給も前年比で2.5%の上昇にとどまる。雇用の伸び自体も、リシオ・レポートいわくバーやレストランのほかヘルスケアが全体の44%を占めた。その他の小売、金融、輸送で増加したとはいえ、リシオ・レポートにしてみれば「辛うじてポジティブ」に過ぎない。

MFRのジョシュア・シャピロ氏は、雇用と平均時給の伸びを受け2017年の個人消費につき「2%増」を見込む。マクロメイブンズのステファニー・ポンボイ氏によると、4〜6月期の個人消費のうち「住宅とヘルスケアが最も増加し、インフレを含む個人消費の伸びのうち58%を、国内総生産(GDP)の35%を占めた」という。しかも生活費の値上がりなしでは「4〜6月期の個人消費は2.8%増ではなく1.8%増へ鈍化し、1〜3月期の1.9%増を下回る」。個人消費が芳しくないように、自動車をはじめ一般消費財の在庫は減少中だ。

米10年債利回りも、ダウの最高値更新と逸れた動きを示す。7月に2.4%をつけた後、直近では2.27%まで低下した。おかげでドル安も進み、FF先物市場でも年末の利上げ織り込み度は40.2%に過ぎない。市場は、こうしたダイバージェンスに気を配るべきだろう。

——今回の同コラム、個人的にも同感です。ダウが連日の過去最高値を更新する過程で、ラッセル2000など内需関連も下落し始めています。米4〜6月期GDP速報値でも指摘させて頂いたように、米国の成長率は個人消費が力尽きて鈍化する兆しを見せていますよね。米7月雇用統計では、フルタイムが減少した一方でパートタイムが増加したほか不完全失業率が横ばいにとどまるなど、質的な改善にもブレーキが掛かっています。GDPの7割を占める個人消費には向かい風が吹き始めており、夏の終わりとともに米株ラリーも終止符を打ち調整に入ってもおかしくない。問題は、その時にFedが資産圧縮を決定できるかどうかです。

(カバー写真:Scott Beale/Flickr)

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