Almost Two-Thirds Of Those Polled Says North Korea Poses A Deep Threat.
トランプ米大統領、北朝鮮との緊張が高まるなかドラマチックな言葉遣いでニュースのヘッドラインを飾ります。8日には北朝鮮に対し世界が見たこともない「炎と怒り(fire and fury)」に直面する、11日には「(北朝鮮への)軍事的解決の準備は万端(locked and loaded)」との決め台詞を放ちました。前者はキリスト教ロックバンドスキリットの曲名で、後者もラッパーのリル・ウェインやデトロイト出身のシンガーソング・ライターのボブ・シーガーのタイトル曲です。また後者はライフルを準備するための用語として生まれ、ジョン・ウェイン主演の映画「硫黄島の砂」(1949年)で登場しました。トランプ米大統領が一連の表現にヒントを得たかは不明ですが、人々に強烈な印象を与えたことは間違いありません。早速、バージニア州シャーロットビルでの白人至上主義者と反対派の衝突では、「fire and fury」の文字が紙面を飾り掲載した新聞社は批判を浴びました。
キャッチーな言葉の使い方はトランプ氏のお家芸ですよね。米大統領予備選ではテッド・クルーズ上院議員に「嘘つきテッド(lying Ted)」、ジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事に「元気に乏しいジェブ(low energy Jeb)」と口撃、米大統領選ではヒラリー・クリントン候補への「いんちきヒラリー(crooked Hillary )」が記憶に新しい。こうした地道なネガティブ・キャンペーンが、トランプ氏の勝利につながったといっても過言ではないかもしれません。
攻撃的な発言と言えば、ついついトランプ米大統領の専売特許のように見えますが、歴代の米大統領も展開してきました。レーガン米大統領(当時)の場合、西ベルリンのブランデンブルク門で1987年に演説した「この壁を壊せ」が有名。当時、ペレストロイカやグラスノスチを推進していたソ連のゴルバチョフ書記長に冷戦の象徴であるベルリンの壁を壊すよう訴えたものです。挑戦的な言及とみなされスピーチからの削除が検討されたものの結局残り、その2年後の1989年にベルリンの壁が崩壊したのは歴史が証明しています。
もう少し最近では、ブッシュ大統領(当時)が2002年の一般教書演説で北朝鮮やイラン、イラクを指して使用した「悪の枢軸(axis of evil)」が強烈な印象を与えましたよね。2003年には、イラク戦争での軍事作戦名「衝撃と畏怖(shock and owe)」が世間に周知されることとなりました。
こうして振り返ると、米大統領の威嚇は歴史を変える節目となる場合が多いように映ります。その半面、トランプ米大統領自身は過激な発言で知られ鵜呑みにできないことも事実。トランプ米大統領の牽制で北朝鮮はグアムへの攻撃をちらつかせるだけに、少なくともトランプ米大統領がトーンを緩和させることはないでしょう。
米国と北朝鮮が互いにけん制し合う現状で、アメリカ人の意識がどうなっているのか確認していきましょう。
CNNの世論調査(8月3~6日実施、1,018人を対象)では、北朝鮮を「深刻な脅威」と回答したアメリカ人の割合は62%と、2000年以来で最高に達しました。米国本土を射程距離に収める大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験を成功させただけに、4月時点の48%から急上昇しています。ただし、「深刻な脅威」で最も多かった回答はイスラム国(IS)で64%でした。前回4月の70%から低下しつつ、高水準を維持しています。
北朝鮮を「深刻な脅威」と捉える層は男性が57%に対し女性が67%、白人は63%で非白人の60%を上回りました。年齢別では年が上がるに従って割合が大きくなっていますが、所得別や政治スタンス別で大きな違いは見当たりません。
(出所:CNN)
アメリカ人が感じる北朝鮮への脅威がほぼ一枚岩の状態とあって、軍事攻撃を支持するとの回答は50%でした。「不支持」の43%を大きく上回らないにしても、北朝鮮の行動次第では支持が傾くリスクは見逃せず。北朝鮮に近い日本人にとっては、穏やかでない結果となりました。
(カバー写真:Morning Calm Weekly Newspaper/Flickr)
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