15089333500_5e5bc33d04_z

米8月ミシガン大学信頼感・速報値、バージニア州の影響は限定的

by • August 21, 2017 • Finance, Latest NewsComments Off1368

Michigan Consumer Confidence Hits Highest Following Charlottesville Clashes.

米8 月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値は97.6 と、市場予想の94 を上回った。2016年10月以来の低水準だった前月の93.4も超え、1月以来の高水準バージニア州シャーロッツビル事件後であり、かつトランプ米大統領の助言機関が解散する事態となったが、センチメントは予想外に上振れした格好だ。内訳をみると、現況指数が111.0と市場予想の112.9並びに2005年7月以来の水準へ上昇した前月の113.4から低下。一方、見通し指数は89.0と、市場予想の81.5並びに前月の80.5を超えヘッドラインと同じく1月以来の水準へ急伸している。

原油先物が50ドル割れを維持するものの、1年先インフレ見通しは4ヵ月連続で2.6%となる。5~10年先インフレ見通しは2.5%と、6ヵ月ぶりの高水準となった前月の2.6%を下回った。インフレ見通しは、引き続き低迷を続けている。

ミシガン大学の主席エコノミスト、リチャード・カーティン氏は、今回の結果を受け「消費者信頼感指数は見通し指数が強まり7ヵ月ぶりの水準へ上昇し米大統領選挙後のピークに接近した」と振り返る。ただし、バージニア州シャーロッツビル事件に触れ「消費者の評価を確認する上では少なすぎる回答数にとどまった」と指摘。その上で、事件の影響で「トランプ米大統領の経済政策の実施見込みが遠ざかり、特に共和党の間で見通しの楽観度が後退する」と予想した。とはいえ、個人消費の見通しを6月の「2.3%増」から「2.4%増」へ上方修正。1月時点の2.7%増を下回るものの、底堅い水準を見込んでいた。

ミシガン大学消費者信頼感、今回は見通し指数が牽引。

michigan
(作成:My Big Apple NY)

――米8月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値は予想外に上振れし、バージニア州シャーロッツビル事件の影響を感じさせません。カーティン教授が指摘する通り、事件後の調査対象が全体的に少なかったことが一因でしょう。それでも、医療保険制度改革(オバマケア)の撤廃・代替案移行への失敗と税制改革期待の後退、ホワイトハウスの人事交代(プリーバス前首席補佐官、スパイサー前報道官、スカラムッチ前広報部長など)を踏まえれば、上々の仕上がり。米7月雇用統計・非農業部門就労者数が示したように、雇用が活発でセンチメントを下支えしたと考えられます。バージニア州シャーロッツビル事件の影響が8月後半に及ぶのか、注意が必要です。バノン首席戦略官の辞任も、加味されることでしょう。

(カバー写真:Web Summit/Flickr)

Comments

comments

Pin It

Related Posts

Comments are closed.