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バロンズ:政府機関の閉鎖を阻止するのは、米株の調整?

by • August 27, 2017 • Finance, Latest NewsComments Off711

Barron’s:Stock Market Correction Could Stop Government Shutdown.

バロンズ誌、今週のテーマに宇宙へ進出する企業を掲げる。60年前の10月、エルビス・プレスリーの”All Shook Up”がチャート1位に輝いた当時、BBCの監視局がその音を拾い世界を揺るがした。同じ頃のソ連によるスプートニク1号打ち上げは、世界の宇宙進出を促したものだ。2017年になり、億万長者は宇宙に投資している。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)率いる電気自動車メーカーのテスラは宇宙プロジェクトとしてスペースXを有し、商業衛星シェアで欧州のライバルであるアリアンスペースを抜き40%を奪う状況だ。オンライン小売最大手アマゾンのジェフ・ベゾスCEOは、独自に宇宙開発会社ブルー・オリジンを始動済み。バージン・グループのリチャード・ブランソン会長は、宇宙旅行のサービス提供を計画中だ。果たして、億万長者らの夢に死角はないのか。詳細は、本誌をご覧下さい。

当サイトが定点観測するアップ・アンド・ダウン・ウォールストリート、今週は債務上限引き上げ交渉や予算協議を取り上げる。抄訳は、以下の通り。

米株相場、政府機関閉鎖に対する最良の防衛―The Stock Market: the Best Defense Against a Shutdown.

”債券自警団(bond vigilantes)”という言葉を覚えているだろうか。1980~90年代でみられた金融市場の法則のようなもので、金融政策や財政政策担当者が過度の楽観に振れた時、市場関係者が反応し金利を急伸させていた。こうした日々に対し「遠くなりにけり」とつぶやくのは、ストラテガス・リサーチ・パートナーズのジェイソン・デセナ・トレナート氏である。同氏に言わせれば、金融危機後に中央銀行が何兆ドルもの債券を購入したため、市場が警告を発するような仕組みはなくなったも同然だ。

しかしながら、米株相場となれば話は違う。トランプ米大統領は事あるごとに雇用増加と共に就任後の米株高に言及してきたが、トレナート氏いわく、「ダウの値動きを重要視することで政権は綱渡り状態を余儀なくされる」という。

恐らく、国家経済会議(NEC)のコーン議長が辞任する噂で米株が274ドル安を迎えた8月17日はまさに米株”自警団”が反応した象徴と言える。9月に入れば、政治日程が厳しさを増し米株”自警団”に休む暇を与えそうもない。10月1日の政府機関閉鎖を回避するには、債務上限引き上げや予算協議での合意が必要だ。

キャピタル・アルファ・パートナーズのチャック・ガブリエル氏によると、たとえトランプ米大統領とマコーネル上院院内総務並びにライアン下院議長の関係が悪化していても合意の可能性が高く、10月初めの政府機関閉鎖を回避する可能性は60%以上で、特に債務上限引き上げ交渉が決裂するリスクは非常に低いという。同氏いわく、予算協議は財政調整でひとまず12月までの暫定予算を組み、かつ債務上限も5,550億~6,000億ドル引き上げれば、その頃までは十分となる見通しだ。

もちろん、医療保険制度改革(オバマケア)の撤廃・代替案移行で失敗したように、共和党内での対立も意識される。しかし、マコーネル上院院内総務やライアン下院議長は、中間選挙を前に党内対立による政府機関の閉鎖回避に全力を尽くすだろう。だからこそ、テナート氏は共和党内の結束を固めるべく、米株相場において5~10%の調整が必要だと主張する。

S&P500、仮に25日終値から10%安となれば2,200が目途となり以下のチャートで反映されない領域へ。

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(出所:Stockcharts)

ストラテガスのワシントン・チーム、ダン・クリフトン氏は政府機関が閉鎖された2013年を振り返り、米株ラリーが8月頃にブレーキが掛かったと指摘する。同年9月から10月には4%下落、ただしその後はラリーが再開し、同年10~12月には17%高を遂げたという。

仮にそうなれば、9月に下落した局面は押し目買いのチャンスだろう。しかし、テナート氏は「今回は違う」と警鐘を鳴らす。トランプ政権は税制改革に着手する見通しで、コーンNEC議長と全米行脚に回る。また、ハリケーン”ハービー”が直撃したテキサス州を訪問しなければならない。2005年のハリケーン”カトリーナ”が猛威を振るった後、ブッシュ政権による対応が問題視されたことは記憶に新しい。税制改革の主張とハリケーン”ハービー”への対応がいかに米株に影響を与えるか、注視すべきだろう。

米金融市場は米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長によるジャクソン・ホール会合講演でも、グッド・ニュースを得られなかった。FRB議長は金融政策を語らず、金融危機後に講じられた規制が金融システムの耐性を強め安全にしたと述べるにとどめた。しかし、FRBが金利正常化を進める過程で、低金利に乗じて自社株買いを行ってきた米企業はその規模を減らしつつある。ソシエテ・ジェネラルによると、米株市場の時価総額は過去6年間で17.5%減少した。自社株買いの落ち込みは2009年に相当し、過去12ヵ月間で前年比1,000億ドル減に及んだという。社債発行で資金調達してきた自社株買い、配当、設備投資合わせて、非金融機関のネットキャッシュフローは、過去最大のマイナスという有様だ。

税制改革のうち、2つ提案された内容は企業の自社株買いを促進するものではない。1つは純金利費用の税控除を廃止するもので、税引き後の債務負担が拡大しかねない。もう一つは資本支出の即時全額控除が挙げられる。前者は反対の憂き目に遭うに違いないが、後者は歳入減につながるだろう。

税制改革の年内成立はトランプ政権の重要な目標で、コーンNEC議長もそう英フィナンシャル・タイムズ紙で言及していた。しかし、税制改革が協議されるのは債務上限引き上げ交渉と予算協議の後だ。税制改革へ進む前、9月にはFRBが資産圧縮を発表する可能性を残し、米株相場の”自警団”が動き出してもおかしくない。

――2013年に政府機関が閉鎖した当時、共和党の支持率が過去最低を更新しました。しかし、2014年の中間選挙で共和党が上院で多数派を奪回、上下院で過半数を獲得したのは歴史が証明しています。米株もラリーを続け、必ずしも今年9月に生じる波乱が大勢を変えるとは限りません。むしろ税制改革やインフラ投資で折り合いがつくのかが問題で、米株の自警団の働きは9月よりむしろ年末にかけ活発となり得ます。

(カバー写真:Tomás Fano/Flickr)

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