U.S. Q2 Growth Revised Up, Above 3% And Highest In Almost 2 Years.
米4〜6月期国内総生産(GDP)確報値は前期比年率3.1%増と、市場予想並びに改定値の3.0%増を上回った。前期の1.2%増(修正値)から大幅改善を果たしただけでなく、トランプ政権の目標である3%成長を達成。2015年1~3月期以来で最大の伸びを遂げ、税制改革の推進を目指す政権には追い風となりそうだ。前年同期比は改定値と変わらず2.2%増となり、速報値の2.1%増並びに前期の2.0%増を超え2015年7~9月期以来の高水準を示す。なお2016年通期のGDPは1.5%増で、3年ぶりに2%台を割り込み2011年以来で最低となった。
GDPの7割を占める個人消費は、4~6月期に前期比年率3.3%増と市場予想並びに改定値と一致した。速報値の2.8%増だけでなく、1年ぶりの低水準だった前期の1.9%増(修正値)も超え、1年ぶりの高水準を達成。GDPの寄与度は2.24%ポイントと、改定値の2.28%ポイント以下ながら前期の1.32%ポイントを上回った。
▽個人消費の内訳
・耐久財 7.6%増<改定値は8.9%増、速報値は6.3%増、前期は0.1%減と2011年4~6月期以来のマイナス
・非耐久財 4.2%増、1年ぶりの高水準<改定値は4.3%増、速報値は3.8%増、前期は1.1%増
・サービス 2.3%増>改定値は2.1%増、速報値は1.9%増、前期は2.5%増
民間投資はまちまち。項目別では、企業の設備投資の一角を担う構築物投資や機器投資、無形資産などがそろって上方修正された。住宅投資も3期ぶりに減少したとはいえ、下げ幅を縮小。民間投資の寄与度は0.64%ポイントと、改定値の0.60%ポイントから上方修正。前期の0.20%のマイナスから、プラスへ転じている。在庫投資の寄与度は0.12%ポイントと改定値の0.02%ポイントから上方修正され、前期のマイナス1.46%ポイントから改善した。
▽民間投資の内訳
・民間投資 3.9%増>改定値は3.6%増、速報値は2.0%増、前期は1.2%減と3期ぶりに減少
・固定投資 3.2%増<改定値は3.6%増、速報値は2.2%増、前期は8.1%増
・非住宅(企業の設備投資) 6.7%増<改定値は6.9%増、速報値は5.2%増、前期は7.2%増と2014年7~9月期以来の高水準
>構築物投資 7.0%増>改定値は6.2%増、速報値は4.9%増、前期は14.8%増と2014年1~3月期以来の高水準
>機器投資 8.8%増、3期連続で増加し2015年7~9月期以来の高水準=改定値は8.8%増、速報値は8.2%増、前期は4.4%増
>無形資産 3.7%増<改定値は4.9%増、速報値は1.4%増、前期は5.7%増と3期ぶりの高水準
・住宅投資 7.3%減<改定値は6.5%減、速報値は6.8%減<前期は11.1%増と2016年1~3月期以来の高水準
・在庫投資 55億ドル増>改定値は40億ドル増、速報値は26億ドル減、前期は12億ドル増
GDP、Q2確報値は約2年ぶりの3%乗せという快挙を果たす。
純輸出は、2期連続でプラス。政府支出は0.03%のマイナスと改定値の0.05%ポイントのマイナスから下げ幅を縮小しつつ、前期のマイナス0.11%ポイントを含め2期連続で弱かった。
▽純輸出
・純輸出の寄与度 0.21%ポイント=改定値は0.21%ポイント、速報値は0.18%ポイント、前期は0.22%ポイント
▽政府支出
・政府支出 0.2%減、2期連続で減少<前期は0.3%減、速報値は0.7%増、前期は0.6%減と3期ぶりに減少
・連邦政府 1.9%増、4期ぶりにプラス=改定値は1.9%増、速報値は2.3%増、前期は2.4%減と3期連続で減少し2014年10~12月期以来の低水準
(連邦政府は防衛支出が4.7%増、非防衛財は1.9%減と2期連続で減少し2013年10~12月期以来の低水準)
・州政府・地方政府 1.5%減、3期ぶりに減少>改定値は1.7%減、速報値は0.2%減、前期は0.5%増
GDPデフレーターは前期比1.0%上昇、改定値や速報値のほか市場予想とも一致した。前期の2.0%から減速、2016年1~3月期以来の低水準を示す。PCEデフレーターは改定値や速報値と同じく0.3%の上昇と、原油価格がピークアウトする以前である2014年1〜3月期以来の水準を回復した前期の2.2%を大きく下回る。コアPCEデフレーターは0.9%の上昇、市場予想や改定値、速報値と並んだ。1年ぶりにFOMCのインフレ目標値「2%」へ回帰した前期の2.0%から大きく減退したままだ。
企業利益は税引き前(在庫価値・資本支出調整済み)で前期比0.7%増と速報値の1.3%増から下方修正されつつ、3期ぶりにマイナスに転じた前期の2.1%減を上回った。前年比では6.4%増(速報値は7.0%増)と、前期の3.3%増を含め3期連続で増加した。企業利益は税引き後(在庫価値・資本支出調整済み)で前期比0.1%増(速報値は0.8%増)と、前期の2.6%の減少から改善した。前年比では7.8%増(速報値は8.6%増)と、3期連続で増加した。
企業利益の伸び、前年比は原油価格の回復に合わせプラスに。
企業利益は税引き前(在庫価値・資本支出調整前)で前期比2.0%減となり、速報値の0.5%減を下回った。2015年10~12月期以来の減少となる。前年比では7.4%増と、前期の6.7%増を上回り4期連続で増加した。企業利益は税引き後(在庫価値・資本支出調整前)で前期比1.0%減(速報値は1.4%減)と、前期の0.9%増を下回り2015年10~12月期以来の減少に反転。前年同期比では6.2%増(速報値は8.1%増)と、3期ぶりの低い伸びにとどまった。
――税制改革の骨子が発表された9月27日の翌日に公表された米4~6月期GDP確報値が前期比年率3.1%増とトランプ政権の成長目標を達成するなか、共和党が好機を活かせるか注目です。ライアン下院議長は税制改革を「年内に成立できる」と発言、医療保険制度改革(オバマケア)とは異なり、党内での結束に自信をちらつかせます。とはいえ、今回の税制改革骨子では向こう10年で財政赤字が2.2兆ドル拡大するとの試算もあり、財政タカ派の共和党議員が抵抗すること必至でしょう。
(カバー写真:kellybdc/Flickr)
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