Existing Home Sales Rebound After The Hurricane.
全米リアルター協会(NAR)が発表した米9月中古住宅販売件数は年率539万件と、市場予想の530万件を上回った。1年ぶりの低水準だった前月の535万件から0.7%増加。8月までは2013年以来初めて3ヵ月連続で減少していたが、金利上昇一服や住宅価格の値上がり鈍化を受け4ヵ月ぶりに持ち直している。ハリケーン“ハービー”や“イルマ”の影響が依然残っているもよう。9月の販売件数は前年比では1.5%減となり、2016年8月から続く上昇基調に終止符を打った。
内訳をみると一戸建てが479万件と、前月の474万件(修正値)を0.7%上回った。ヘッドラインと同じく、4ヵ月ぶりに増加している。複合住宅は1.6%減の60万件と、前月から減少に転じた。
4大地域別では、3ヵ月連続で2地域にて増加した。今回はIT 企業が集まる西部が3.3%増の124万件と、前月から増加に反転。中西部も1.6%増の130万件と2ヵ月連続で増加している。一方で、北東部は前月に2桁増を記録した後、今回は±0%の72万件。住宅市場の規模が最大で石油生産地で知られ、かつハリケーン被災地が集中する南部は0.9%減の213万件で、2ヵ月連続で減少した。
在庫件数は前月比1.6%増の190万件と、4ヵ月ぶりに増加した。前年比では28ヵ月連続で減少。ただし、1999年以来での最低を更新していた2016年12月は165万件を上回る水準を維持している。販売と在庫がそろって増加するなか、在庫相当は5ヵ月連続で4.2ヵ月だった。販売日数は8月まで2ヵ月連続で30日だったが、今回は34日へ延びた。前年同月の39日から短縮した流れを保つ。
中央価格は前年比で4.2%上昇の24.51万ドル。前月の5.6%から伸びを縮めたとはいえ、雇用統計の平均時給の伸び率を大幅に上回る水準を保つ。中央価格の前月比では3.2%下落し、3ヵ月連続で落ち込んだ。なお6月は26.33万ドルで過去最高だった。
買い手の内訳は、以下の通り。
・差し押さえ物件 3%=前月は3%、前年同月は3%
・ショートセール(担保残債価額よりも安い価額で販売する住宅) 1%=前月は1%、前年同月は1%
・新規購入者 29%、2015年9月以来で最低<前月は31%、前年同月は34%
・現金購入者 20%=前月は20%、前年同月は21%
・住居用ではなく投資向け 15%=前月は15%、前年同期は14%
中古住宅販売件数、一戸建てが改善も複合が弱い。
発表元の全米リアルタ―協会(NAR)のローレンス・ユン主席エコノミストは、今回の結果を受け「家計の購入意欲が高い割に、足元の中古住宅販売件数は年初来の下限から脱却できていない」と振り返った。一方で住宅建設業者は、引き続き在庫不足に直面し「低価格帯の住宅で特に顕著」と指摘。新規購入を促すには時間が掛かる可能性を示唆した。
――中古住宅販売件数は9月に予想外の回復を示し住宅価格も前月比で下落したとはいえ、新規購入者の割合は前月から低下し29%で、2015年9月以来で最低を更新しました。住宅価格の値上がり率が鈍化したとはいえ平均時給の伸び率を上回るため、引き続き庶民にとって住宅購入の高嶺の花に。トランプ米大統領をして「低金利が好きだ」と言わしめたのも頷けます。そうなると、やはりFRB議長は現状の金融政策から逸脱しない候補を選ぶのでしょうか?
(カバー写真:Sherwood CC/Flickr)
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